表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/65

第三十六話

 「心理学上、勿体ぶった言い方をする場合、二通りの捉え方が出来ます。


 一つは、自分が悪役であるという表明なんですが、貴方は不慣れなようです」


 しかし、ゼジはアラバに言った。


 「私を何かしら、疑っているのですか?」


 「いえ、私なりに考えただけです。


 心理学上、人間は勿体ぶった言い方をする場合、相手の気を引く行為に用いられたりするモノでして。


 貴方の場合、レフィーユさんに調査をして欲しいと訴えている様にしか見えないのです」


 「つまり私に調べてほしい事があるという事だな?」


 「レフィーユさん、ですが、それは彼の嘘です。


 彼は忘れるワケもないのです。


 貴方は今まで経緯を話して、後手に回った振りをした、先行者なんです」


 するとゼジは、ある資料を取り出した。


 「それがアラバの調べていた資料か?」


 「はい、気になるのは、ここです」


 そこを見たレフィーユは静かにアラバを見た。


 そこには一人の女性を抱き抱えて、男性の姿の写真が撮られている。


 「二年間で人間は早々、整形でもしない限り、顔なんて変わるものではないです。


 これは貴方ですよね?」


 「……」


 アラバは思い切り息を吸い込む中、ゼジは言った。


 「アラバさん、話を伺わせてもらえませんか?」


 そして、次の日。


 「レフィーユさん」


 レフィーユは呼び止められて、振り向くとイワトがやって来た。


 「コレは一体、どういう事ですかい?」


 「聞いての通りだ。


 シュウジ・アラバは、ある事件の重要参考人に挙がった」


 「何かの間違いですよ」


 「だが、事実だ」


 「アイツに限ってありえんこってすって!!」


 「イワト、落ち着け…」


 「じゃが…」


 「その件に関しては、ゼジ達が嗅ぎ付ける前に私も知っていた事だ」


 「は?」


 レフィーユのこの言葉に、さすがのイワトも驚いた顔をした。


 「ふっ、私もオルナの事を調べていた際に、あの資料を見た事があってな。


 そこには新聞の切抜きだったが、アイツの顔が写っていたよ」


 「アイツ、そんな事を一つも言わんで…」


 「イワト、お前が心配するのはわかるが、アイツの気持ちもわかってもらいたい」


 「どういう事なんですかい?」


 「それが重要参考人と扱われたとしても、犯人として扱われる可能性は低い要因と思っている。


 資料によれば、


 大きな音がした『すぐ近くに』知り合いらしき男性がおり、彼女を抱き抱えていた。


 …とある。


 つまりアラバは…。


 落ちてくる様を見ている…」


 レフィーユとて、さすがに顔をしかめて言い難くなってしまうのは、人間としての当然の反応だろう。


 「…つまりあくまで参考人として、取調室に呼ばれただけだ」  


 これを聞いてイワトは安心したのか、頭を下げて戻っていったが、レフィーユはまだ顔が暗く。


 少し静かになった廊下にて、こんな音がした。


 じ~


 安い監視カメラの動く音だった。


 そして、彼女は自分の権限を使って、一人、カメラの映像を確認して、もう一度、カメラの場所にもどって呟く。


 「監視カメラは、この時も動いていた。


 あれほど監視カメラを気にしていた男が、随分と迂闊な動きを見せる…。


 アラバ、お前は何を狙っている?」


 その時だった。


 『……』


 彼女の背後に一人、気配がした。


 驚いて背後を見るが、そこの廊下には日常の雑音がしているだけだった。


 そうして彼女の向かう先で、大きな音がした。


 机を叩く音だったのを知っていたのは、良く自分も感情任せに机を叩く事があるからだった。


 自分もこんな感じなのかと、少し顔をしかめてしまう中、取調室には怒声が響き渡る。


 「何で黙ってた!?」


 オルナは今にも殴りかかろうかという雰囲気だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ