表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/65

第二十八話

 「メガネ掛けているから、誰に声を掛けられたのかわからなかったわ」


 「一応の変装のつもりだ。


 だが、ここは優勝、おめでとうと言っておく」


 「ふん、別に大した事じゃないわ」


 そう言いながら、セルフィは平静を装うが少し顔を赤く、レフィーユは事情を説明しているとやはり気になったのだろう。


 「ゼジとは知り合いなのか?」


 「ああ、あれ…」


 するとセルフィはもういないゼジが去った後を見て。


 「ゼジ・クリフトフでしょ。


 私のいた機構インテリの中では有名なのよ」


 「ほう、ゼジもインテリジェンス出身なのか?」


 レフィーユのこの質問にセルフィは、ため息をついた。


 「『毎年、いつも試験を受けている』と言えばわかる?」


 その一瞬、セルフィの言った意味がわからなかったが、


 オルナ「あっ」


 アラバ「ああ…」


 二人が意味を理解する頃、気まずくなるのを避けようとして、


 「どうしてお前達は、こういう時に私の意見を待つ?」


 打ち合わせでもしているような動きを見せた。


 「でも天才機構の試験を受けようするのも、さすがゼジだ」


 「だが、その度に試験に落ちていたら格好はつかんだろう」


 「それを努力で何とかしようとしているんだろ?


 ゼジは心理学だけじゃなくて、武道でも昔、この地区の大会にも出てたし、努力家なんだぞ?」


 「そういう問題じゃないわよ」


 しかし、セルフィのため息は深くなっていた。 


 「セルフィ、あまり良く思っていないようだな?」


 「言っては悪いけど、あの人は絶対に合格出来ないからよ」


 「酷い言い様ですね。


 だからこそ、受かろうと努力をするモノだと思うのですが?」


 すると、レフィーユは言った。


 「ふっ、インテリジェンスに努力は必要ない…か?」


 「どういう事ですか、レフィーユさん?」


 「説明するより、セルフィ、インテリに出るテストをこの男にやらせて見たらどうだ?」


 「え、私がですか?」


 「そうね、やらせた方が早いわね」


 そう言って、先ほどの集合場所に集まり、3対1の席順で座っているとセルフィは携帯を突付いて言う。


 「そんなに難しい問題じゃないわ。


 でも、問題を用意する前に、一つルールを決めておくわね。


 本来なら10分以内で結構な量の問題が出るけど、そんなに用意は出来ないから、一つ問題に対して10秒以内で答えて」


 「なるほど、ですがどうして、そんな問題を用意出来るのですか?」 


 「テストの採点方法には、インテリの生徒がランダムで数名、選ばれるからだ。


 セルフィも選ばれた事もあるらしい」


 「レフィーユさんは、やった事があるような言い方ですね?」


 「まあ、興味が沸くものだからな」


 「それで、その結果は?」


 「とりあえず受けてみたら、セルフィの言わんとする事が解るさ」


 そう言っている間に、セルフィが用意出来たのらしく。


 「準備は良い?


 いくわよ…」


 そして、セルフィは携帯を見せた。


 そこには普通の野球のボールの絵が描かれており、


 「ここに野球のボールがあります。


 さて、このボールは今からどこに転がるでしょう?


 転がっていく方向と、その根拠を述べよ。


 なお、このボールは平面、地面に置かれているモノとします」


 突然、ワケのわからない問題が出る。


 「え…」


 「空欄は埋める、とりあえず答えてみなさいよ」


 「そ、そんな事を言われましても…」


 「第二問…」


 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」


 問答無用とばかりにセルフィは、次の画像を見せる。


 今度は数字の『16』と描かれているだけで、また、セルフィは問題を言う。


 「答えは16である。


 どんな数式を使っても構わないので、この数字になるように数式を書け」


 こんな問題が続いていき、ほぼ答えられないでいた。


 「なさけないわね…」


 アラバのあたふたとしている様を、セルフィはそう表していたが、他の視線は同情的なのは言うまでも無かった。


 「何か最後に答えたのは、勢いでとりあえずって感じがしたな」


 「だが、その反応は間違いでは無い。


 こんな答えの無い問題ばかりが、インテリのテストなんだ」


 「ふん、さらに実際には、この問題をやる前には簡単な国語と、数学ではない算数を一時間ずつやらされるわ。


 それで採点者には、私たちがランダムで数名選ばれるというワケよ」


 「でもどうして、採点するのに生徒が選ばれるのですか?」


 するとセルフィは呆れていたので、


 「ええと、姉さんも同じ様な事を言っていたと?」


 「何でアンタ、私の思考が読めるのよ。


 IQを数値化するだけなら、誰でも出来るという事よ。


 人間は30ピースのパズルでも、一日一回、同じ作品のパズルをばらしては完成させる作業を続けるだけで、最終的には10分以内で作り上げる事が出来るような生き物なのよ。


 つまり鍛え上げる事が出来るという事よ。


 今や、IQを計るテストなんて、ネットで調べれば検索できるわ。


 そこで鍛練された人間が、単純にテストを受ければ、高い数値をたたき出すのは当たり前じゃない。


 でも、その行為で表された結果は、才能てんさいではなく鍛練どりょくというモノよ」


 「だから、インテリジェンスには、鍛練どりょくは必要ないという事ですか…」


 だから、最初の二科目のテストを行う上で、その人間の考える思考の骨組みを見て、さっきの問題で素質を見ているワケよ」


 「確か少ない言葉で、座標を正確に伝える能力ですか?」


 「そうだ、セルフィの作った足場を短時間に仲間に伝え、戦術幅を大幅に広げるのは、セルフィ独特の能力と言っても過言ではない」


 「ふん、それでも姉さんの指揮能力の高さには、足元には及ばないわよ。


 話は戻すけど、採点方法、テスト内容、そんな事もネットで調べられる事でもあるのよ。


 特にあのゼジは採点方法の対策を講じようとして、心理学を学んだそうじゃない。


 そして、毎年、私や、インテリの人間に交流を持とうとするのはどういう事か、私の口から言うつもりは無いわ」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ