第二十七話
「さあ、この紅一点の貴重な参加者相手に、あの容赦ないコンボをビルゴが打ち込むのか、もし容赦なかったら、ブーイングを浴びせて差し上げましょうね」
実況はセルフィの事を知らないらしく、場を茶化し、会場を盛り上げ,
ビルゴは大きく深呼吸していた。
その態度が、この実況にはいつもの『クール』な態度に見えているのか、そのまま対戦の合図が声高に響いた。
「アラバ、どうしてセルフィがここにいる?」
「ゲームが彼女の趣味なんですよ。
私も暇つぶしにゲームセンターに寄った時に知ったのですが、こういう大会は予選まで出るらしいのですよ」
「へえ、レフィーユにあんな妹いたんだな。
でも、世界一が相手だったら、不味いんじゃないのか?」
「ご心配なく、オルナさん…」
次の瞬間、歓声が上がる。
そこには『K.O』と大型ビジョンに表示され、
「セルフィさんはゲーマーの中じゃ、最強と言われてる女性なんですよ」
セルフィは『ふん』とする態度は、勝利者の証である。
「さ、最強?」
「ええ、今じゃ、彼女の参加する予選大会が隠れた世界一決定戦といわれるほど…」
『世界一が、予選一回戦落ちだ!!』
「噂では海外からも挑んでやって来る人がいるらしいですよ?」
「何をやってるのだ、アイツは…?」
手加減無いのは、姉に似たのだろうか、セルフィはその後も淡々とトーナメントを駆け上がる中、姉の心境は複雑なモノなのだろうが。
「しかし、ロレリア・アミティか…」
「セルフィさんのもう一つの名前というトコロですね。
レフィーユさんも知っていたと思ったのですが?」
「ハンドルネームの類だという先入観があったのでな、気づかなかった。
ふっ、だが、久しぶりに聞く名前だ」
「どういう事でしょうか?」
「セルフィが天才機構、インテリジェンス出身と聞いた事があるだろう?
そこの試験を受ける時に使った名前だ」
「どうして、偽名を使ったのですか?」
「簡単な話だ、アルマフィは名家だからな。
アイツは自分の名前で、試験の優劣を決められるのを嫌がったのだろう。
当時、私の家の使用人の名前を使って試験を受けて、住所もそこのモノを使ったから、試験に合格して大騒ぎが起きたのは、今となっては良い面白話さ」
「そ、その前に使用人って、メイドって事か?」
「何を驚いている?」
「レフィーユさんには、この驚きは絶対、わからないでしょうね。
ですが、そういうトコロは、レフィーユさんに似てますね?」
すると案の定か大会を制した、セルフィを見たレフィーユは言った。
「ふっ、まあ姉妹というのは、妙なトコロが似るようだ」
「どういう事だよ?」
「アルマフィを毛嫌いした女は、ここにもいるという事だ。
さて、どうせオフなのだろうが、治安を守る輩が何をやってるのか、みんなで冷やかしに行くとしよう」
「やめてあげましょうよ」
「構わんだろう、どうせ予選まで出るという事は、本選には出ないという不謹慎な事をするのだ。
そんな大会荒らしをするのは、さすがに姉として注意の一つくらいしておく必要があるだろう」
そう言ってレフィーユを立ち上がろうとしたのだが、
「ちょっと、静かに…」
「どうした、アラバ?」
「あれ、ゼジさんじゃないですか?」
比較的、人が混雑していたので探すのにレフィーユは最初、探すのに手間取るがゼジがセルフィに接近するので、ようやく発見した。
「セルフィと知り合いだったのか?」
レフィーユはオルナに聞くが知らないらしく、セルフィの方も見る限りだが、一方的に話しかけられている感じがあった。
何を話しかけていたのか、さすがにこの距離ではわからなかったので、
「そこのポニーテール止まりなさい」
「すみやかに、生徒手帳を見せるのだな」
検問を仕掛ける事にした。




