第二十六話
「遅かったな?」
そして、このゲームセンター二階のある休憩所で、全貌を見渡しながらオルナが言う。
「何か大会が始まるらしいぞ?」
「ええ、戦劇ですね。
大規模なアーケードゲームの大会ですよ」
「大規模って、どれくらい?」
「確か、地域予選、その本戦があって、国内の一位を決める大会でもありますが。
果てには、その一位が世界一位を決める大会の代表になって、出場するための大会でもあるそうですよ」
「ふっ、つまり世界一を決める大会が開催されているという事か。
まあ、一つの技能を、世界レベルで競い合うと言うのは悪い事ではないが、私は好きではない」
「おや、意外ですね。
人の向上する姿を見るのが、好きだと聞きましたが?」
「競技がゲームだからな」
そう言いながら、レフィーユはゲーム広げて見ていた。
ちなみにこの雑誌、このゲームセンターにあったモノらしいが、レフィーユは自分で気に入らない理由が良く載っているらしく、その箇所を見つけたのか開いて見せた。
「去年の戦劇の優勝者、ビルゴのコメントですね」
「『確かにボクの、この大会で世界一位になったのかもしれないけど、まだ自分は高みに達したとは思っていない。
この大会もボクにとっては、ただの通過点にすぎないと思ってます』
と、ここに連覇を達成したビルゴは、優勝時いつものようにクールにそっけなく答え、観客の声援に応えていた…。
コメントも前向きで、ありきたりなモノだな?」
アラバとオルナは、頷きあっていると、レフィーユは真っ向から否定しているワケではないと付け足しながら理由を言った。
「向上意識を示すのも大事だが、私には自分を大きく見せようとしている姿勢が強いのが、ゲーマーと呼ばれる人種には多いような気がしてならん」
「……」
「アラバ、その文句がありそうな顔も解らんでもない。
だが大規模とはいえ、世間一般で知られていない大会は、マイナーな大会と呼ばれるモノだ。
大会に参加している人間は、大会をメジャーに持ち上げる義務が少なくとも発生しているというのに、自ら敷居を高めるような輩が多いのは感心出来ん…」
主人公は、
「だから、その顔は何だ?」
この顔である。
「その、レフィーユさんの言いたい事はわかりますがね…」
「お前は文句あると言いたそうだな?」
レフィーユは『聞いてやろうじゃないか?』と不機嫌にもなり出す。
「じゃあ、その世界一が、ここに来てましてね」
「なんだと!?」
コレにはさすがにアラバを除く、二人は立ち上がり驚きを見せる。
そして、彼の指を指した、大型ビジョンには、
「ホントだ、世界一だ」
雑誌に掲載されている写真と、そのビルゴと名乗る世界一を見比べるオルナを尻目に、こんなナレーションが手伝う。
『さあ、本日の初戦、いきなり苗木町に異変が起きた。
何で、コイツがココにいる?
昨年度、戦劇の覇者、ビルゴだ!!』
軽快なアナウンスに一層、歓声が上がり、レフィーユも思わず呟く。
「ホンモノのようだな…」
レフィーユも本人を目の当たりにして、驚きを隠せないでいたが、
「彼がどうしてこんなコメントを残すのか、私は少し理由を知っておりましてね」
アラバがレフィーユを見る目はとても細い。
『そして…対するは、今大会の紅一点。
ロレリア・アミティ』
「ある人物には、勝てた事がないからなんですよ…」
その時には、レフィーユはビルゴに視線は向いてなく、その大型ビジョンに映し出された人物に釘付けになる。
「まさか…」
幸い、その人物は自分達がここから見ている事に、気付いてないのか座る際に『ぴょこん』と揺れるポニーテールは『彼女』と示していた。
「はい、セルフィさんです」




