第二十五話
だが、向かう先に何となく、
「おい…」
「アラバ…」
女性陣が先に不快感を示す。
「やっぱり、そういう反応が来ますか、分からないでもありませんが…」
そう見上げると独特の門構えが自分達を出迎えるようにある。
歓楽区である。
昼間とはいえ、隠し切れない独特の雰囲気に、
「確かにここなら、偽名を使われている場所は多そうだがな…。
だが、こんなトコロを女性二人を捜査を誘うのは、いかがなモノかと思わないか?」
レフィーユは視線をアラバに突き刺し。
「人としてサイテーだな」
オルナも軽蔑の眼差しを投擲するので、さすがに反論する。
「誰がそんな如何わしい店に、行くと言いましたか?」
幸いにも自分が向かおうとしている先が、歓楽区の入り口付近にあったので指を差した。
「ゲームセンター?」
すると二人は疑問に思っていたがレフィーユはそのまま着いて行くので、オルナは聞いてきた。
「こんなトコロに何の用があるんだよ?
新作のゲームでも気になったとか、言うんじゃないだろうな?」
「相手は地域限定型のモブという事ですからね。
意外と偽名を持って交流する手段として、ここなら簡単に人を信用する環境は整っているのですよ」
「ゲームは一人でやるもんだろ?」
「そうとは言えません。
今や個人データを表示しないゲームはないと、言われるほどです。
そんな環境の中、対戦ゲームなど『勝つ』ためのアドバイスをもらおうために交流を深めようとしたり。
ゲームセンター内で使われるトレーディングカードの交換話を持ちかけられて対応すれば、その時のゲームの名前を使うケースが多いのですよ」
ちょうどゲームセンターの玄関には、スタッフ手製のトーナメント表が張られており。
レフィーユはそれをしばらくの間、じっと見て頷き、何やらを取り出しながら頷いていた。
「なるほど、中には本名もあるかも知れないが、あだ名、ハンドルネームと言ったネーミングが多いな。
確かにゲームセンターなら、地域で集まれ、偽名を名乗れる条件は揃っているかも知れん」
「そんなに簡単にうまくいくもんか」
「オルナ、こちらは後手に回るしか出来ないのが現状だ。
アラバとて駄目で元々だと言っているのだ、付き合ってやろうじゃないか?」
オルナはしぶしぶ承諾した様子で、その店の自動ドアを開けるとレフィーユの様子に気付いた。
「…というより、そのメガネはどうしたんだ?」
「ふっ、伊達メガネだ。
アラバに、私は遠目でも目立つと注意を受けた事があってな。
こうやって髪を崩す程度に弄って、メガネを掛ければ、遠目だと私だと気付かないだろう?
邪魔をするつもりはないさ」
「まったく『空振り』というのに、随分とコイツの事を評価する事だな」
そんな会話をする女性陣に、まるで水を差すように言う。
「先にお手洗いに行ってきますね」
そうして、トイレの脇にある通路に、隠れて二人の様子を見ようとしたのだが…。
「『空振り』する理由、その2、オルナがいるからだ」
いつの間に近寄ったのだろうか、レフィーユが横で話しかけてきた。
「気配も無く近付かないで下さい。
ですが、良くわかりましたね?」
「ふっ、それは周囲の警戒振りを見ればな。
どうも『オルナ』という名前は、治安部を指すというには最短な言葉らしい。
そこに行く道中にしても、警戒されていた感じ取れてならんかった」
するとタイミング良く、周囲の声も聞こえて来た。
「おい、オルナだ」
「やべ、気をつけろよ。
アイツ、キレたら何を仕出かすかわからねえからな?」
「好き勝手に言ってくれるモノだ。
だが、普段、周囲の事を考えない治安維持をするのだから、怖がられて当然か…」
しかしレフィーユは、これ以上オルナを見る事無く、別を見つめていた。
「私としてはお前が何を観察しているのか、気になるのだがな?」
「おや、空振りする理由、その二を観察していたつもりなのですが?」
「ふっ、どうだかな。
私には誘い込まれた気がしてならないと思っているが?」
「さすがに鋭いですね、ですがわかっているのでは?」
「お前は私を何だと思っている?
わからん時もあるから聞いているのだろう?」
単刀直入、彼女らしく確信を突くような態度をとったが、
「えっ、本当に?」
当の本人は、思わず別の方向を見て『きょとん』としていた。
「……」
こういう時の態度というのは、人間、誤魔化しが効かないモノである。
さすがの彼女もアラバの方に視線を追うしかなかった。
そんな場所から、こんなアナウンスが聞こえてきた。
「ええ~、ただいまより。
『戦劇』の予選を始めたいと思いますので、大会参加者は集まってください」




