表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/65

第二十四話

 「ペンタグラムは、そもそも白鳳学園の治安部を指した表現でしょう。


 でしたら、その治安部ではない人間が入って名前を変えるのは、地域住民が困惑する要因になりますよ」


 「ふっ、地域住民のためか、お前らしい言い方だな」


 何のとりえの無い人間が、そんな官職に付くのは、誰の目にも見て好ましくもありませんでしょう?」


 「私はとりえの無い人間を、推薦したつもりはないのだがな?」


 レフィーユは笑み浮かべて自分の方を向くと、資料を見ているのを見たのか、


 「それで何か気付いた事があったか?」


 と聞いてくる。


 「資料を見るのは初めてですからね…。


 どこまで調査が進んでいるかによりますよ」


 「ふっ、実際、二十四話まで進んでいて何だが、何の進展も無いという現状だ」


 「…そんな裏話、知りませんよ。


 ですが相手はネットで無差別で集まって犯罪を犯す、神出鬼没の相手には、やはり後手に回りますか?」


 「雑な資料をまとめ上げる時間だけがあったという事だ」


 自分の指摘に少し気分を悪くしたのか、それを聞いたオルナはレフィーユを睨みつけていた。


 だが彼女はそよ風にでも吹かれたかのような様子で、オルナの無言の抗議に物申す。


 「分布図は印をしてあるだけ、状況も曖昧。


 そんな報告書どもをまとめ上げた、私の身にもなってなってから、睨みほしいものだな」


 「仕方がないだろう、それはネイ…。


 私のパートナーが、その係だったんだ。


 そこから全部、ゼジが引き受ける事になったんだ」


 レフィーユは思わず黙り。


 「ルキスア・ネイ。


 東方術者同士という事もあって、オルナさんのパートナーだった人ですか?」


 自分もここまでに留めておいたのは、治安維持活動の際による死亡が確認されているからだった。


 「悪い事を聞いたとは思う。


 だが、資料整理は捜査の基本でもある。こちらとしては割り切ってもらいたいモノだな」


 レフィーユもそこまで言って、何も言えないでいた。


 「指揮能力が高さを売りにしている、お前らしい言い方だな…」


 だが、オルナは『資料をよこせ』と言わんばかりに、半分をひったくる様子を見る限り、オルナは『割り切っている』のだろう。


 「それでこんな資料で、何が解るって言うんだ?


 相手はお前が言ったとおり、神出鬼没なんだぞ?」


 「だがモブが起こした一連の騒動は、この地区でしか起きてないという事がわかった」


 「それがどうした、犯罪形態はネットなどで集まった連中が、集団で事件を起こすのだろう。


 前に私が言った通りじゃないか?」


 「だから、全然、進んでないと言っただろう?」


 「大した事ないんだな?」


 そして、やはりこの二人、


 「相性、悪いですね…」


 にらみ合いになり、とても息苦しい空気に、自分の視線は資料を眺める。


 「しかし、ネットで集まって、無差別にテロを起こす集団ですか?」


 気になる項目を口にする。


 「ああ、チャットで騒いで『ここで集まって事件を起こそう』と誰かが言って、事件を起こすのがおおよその順序だな」


 レフィーユがそう説明を加えるが、逃げるなとばかりにオルナは言う。


 「どうせ、そこに書いてある名前なんて偽名だ。


 そんな資料なんか、結局役に立たない事くらいわかるだろう?」


 「そんな事は私も理解している。


 私が言いたいのは、この地区がどうして標的になっているのかだ」


 「そんなモン、知るか」


 そして、また、にらみ合いを再開する女二人。


 「嫌悪感丸出しで、ここまで言い争うのも珍しいですよ。


 ですがレフィーユさん、犯人像には首謀者がいるというのには、辿りついているようですね?」


 「なんだと?」


 驚くオルナを尻目に、レフィーユは得意な顔をする。


 「まあな、犯行の規模が小規模だったのでな」


 「犯罪に小規模、大規模なんてあるもんか、相手は神出鬼没の…」


 「なら、何故、この苗木町でしか起きていない?


 お前達の誇る検挙率の高い地域で、リスクを顧みず犯罪を犯す。


 そのメリットはどこにある?」


 「それはそんな地域で悪い事をすれば、有名になれるからだ」


 「対応策がとり続けている環境は、思っている以上に万全だというのにか?」


 するとオルナは黙り込んだ。


 元々、レフィーユの指摘されていたトコロは、思う節があったのだろうか、オルナは黙り込んで聞いていた。


 「私なら、別の地域を狙うようにするがな」

 

 「『だから、首謀者がいる』というのか、でも、どうやって探るっていうんだ?


 今の時代、ネットの監視網を抜ける方法なんて、山ほどあるんだぞ?」


 すると今度は、レフィーユがため息を付いて黙るが、


 「それだと網の目は、まだ広いですね」


 自分は資料を見ながら言うので、注目を集めてしまう。


 「ネットなんて、他の地域の人も見るのですよ。


 そんな人達が『事件を起こすから、集まろう』なんて言って、賛同する方がおかしいと思いますよ」


 「確かに相手は、偽名の相手だ。


 そんな人間の言う事を信じる方がおかしいな」


 「一般常識が通じないのが、犯罪者だ。


 そんな事、いちいち気に出来ないだろう?」


 「それもそうだ、だがネットだと確かに広がりを持ちすぎている。


 それを介さず、しかも繋がりを持てる環境」


 「しかも偽名で、話しても問題ない。


 そんな都合の良い環境、何処にあるんだ?」 


 「ありますけど?」


 自分のキョトンとした答えに、オルナだけでなくレフィーユも驚いていた。


 「まあ、どうせ空振りになりますでしょうが…」


 その際にレフィーユを見る。


 「どうした?」


 「行ってみる価値くらいはあると思いますよ。着いて来ますか?」


 そして相性の悪い二人は、思わず顔を合わせるがレフィーユは言う。


 「お前の誘いを、断ると思うか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ