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第十七話

 「アラバ、一つだけ言っておく、軍団戦術において最も有効な戦術とは、いたってシンプルだ。


 まずは指示系統を潰す事にある。


 指示を出す人物が明確にわかる場合、確実に倒す手段があるなら、それを使う事は定石と知っておくのだな」


 捜査本部と化した宴会場にて、レフィーユは笑みを浮かべていると、ユカリが言った。


 「あのお姉さま、一体、何をなさったのですの?」


 「スメラギ・マヨコ。


 ガトウの彼女に、今の状況を報告しただけだ」


 「それが、あのガトウを倒す手段に、どうしてなりますの?」


 ユカリの疑問も最もだった。


 ガトウ・レオナ。


 女の名前のように感じられるが、それと合い反なる大柄な男であり。


 体格が表す様に、性格は勇猛果敢で荒々しく、レフィーユが白鳳学園に転校して来るまでは、ここのリーダーでもあった男が、そんな事で引き下がるとは思えないのだろう。


 「もしかして、そのマヨコって方、恐妻ですの?」


 「いや、性格は至って温厚だ。


 私も話をした事があるが、色々と理解を示して、ガトウの良い理解者でもある、いい子だ。


 だが、そんな幼馴染の付き合いからか…」


 レフィーユは、今頃、彼女の機嫌を直そうと必死になっているガトウの姿を思い浮かんだので、笑みを浮かべていた。


 「彼女の哀しむ姿は、ヤツの弱点でもある」


 「い、意外ですわ」


 すると、さらなる報告が入る。


 「シュウジ・アラバの携帯の電波を探知、これより周辺GPS探知、出来ます」


 「よし、映像に映せ」


 彼女が指示を出すと、この地域全体を映し出しているスクリーンが、この旅館の地点から円が、広がりをみせる。


 先ほどのアラバの携帯から発せられた電波を元に、先ほどの円が狭まり。


 「周辺GPS反応、6体を感知。


 おそらく彼らのモノと思われます」


 それを見た、ユカリは言う。


 「あんな遠い所にいますのね」


 「ふっ、有料の駐車場前とはな…。


 待ち合わせ場所にしては、目的地は随分と離れているが、この旅館の電動車をレンタルしたのだろう。


 ご丁寧な、言い訳材料だ」


 「お姉さま、どういう事ですの?」


 「奴らにして見れば、最大の難関は『夜遅く帰る』という事だ。


 そのまま帰ったトコロで、結局、先生方の注意は避けられないからな…。


 そこで電動車両の出番となる」


 そういうとユカリの顔は頷いてはいるものの、理解は出来てなさそうなので、レフィーユは咳払いをして言った。


 「ユカリ、道に迷った事を理由に挙げて、一番、困る事とは何だ?」


 「帰る方法がなくなる事、お金が無くなる事、ですか?」 


 「それなら近場であれば、歩いてでも帰って来れる事が出来る。


 だが、唯一の移動手段が動かなくなった時、旅館の所有物を持ち出した場合、それから離れるワケにはいかなくなる。


 防犯のための電動車両は、補給は禁止されているからな。


 そのせいで車が止まったと言えば、笑い話混じりに怒られはするが、どこに行っていたなど聞かれる事はないだろう。


 それなりの予備工作ねんりょうぶそくを見て取れるのは、ご苦労な事だ」


 するとさっきから別のPCで何やら計算していた男が言った。


 「私の計算によりますと、燃料はもう一分もありません。


 ヤツらはこのまま車で、移動しているようですが…。


 先回りは出来そうですね。


 このジング…」


 この男が話す途中で、宴会場に備え付けてあった時計が一分を指そうしていた。


 「まもなくか…」


 しかし、彼女には疑問があった。


 「おかしい、燃料が一分もないとするなら、ヤツラはどうやって歓楽区まで行く気だ」


 明らかに一分では辿り着けない距離にある、歓楽区を睨み、とうとう時間が過ぎた。


 「止まりませんわね…」


 ユカリが先ほどの男を睨みつける。


 「こ、これは誤差です」


 その通り計算間違いや、誤差はあるかも知れないが…。


 明らかな車の移動速度の落ちる事のない事に、


 「噂は本当だったか…」


 レフィーユは舌打ちをして、駆け出して宴会場を出た。

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