第十五話
今年の暑さは異常です
レフィーユがそんな任務をこなし、温泉街、苗木町の夕暮れが最後に照らしたのは、六人の男達の姿であった。
「良し、みんな集まったか」
ガトウはいつも通りに、みんなの点呼を確認して、
「アラバ、この地図、ホントに正しいの?」
双子のシリウは、キリウの地図の持つ地図を覗き込んで聞いてきた。
「大丈夫だと思いますよ」
「こんなモンまで用意出来るなんて、さすが、アラバじゃ。
こういう地図をくれたムカイさんにも、後で感謝しとかんと…」
豪快にイワトが自分に笑う。
「それは良かったですね」
だが乗り気ではない。
「あなた方だけで行けば良いと思いますよ…」
この集団に対して、いつものように呆れ顔見せた。
その時…。
「この、お馬鹿野郎!!」
サイトにその呆れ顔を、思い切りビンタされる主人公の姿があった。
白鳳学園での自分が普段、一緒に行動している男子メンバーの面々、レフィーユ命名『ヘキサグラム』である。
「ええ!?」
そして、突然殴られたので驚く自分に、サイトはその開いた手を拳に変えて答えた。
「ええかアラバはん、温泉街と言えば何や!?」
「浴衣姿に!!」
「「女風呂!!」」
「ストリップ劇場やろうが!?」
イワト、双子、サイトがアクロバティックな叫びに、
『何を言ってるんだコイツら!?』
ガトウと共に思考を一緒にしていた。
「というより、こういう時のお前等って、設定を無視するな?」
「何や、アラバはんの付き合いの悪さは、ともかく、どうして今回はガトウはんもそっち側なん?」
「別に行きたくないヤツが増えただけだ」
自分を頷く中、このイワトには負けない体格を持つこのガトウが、
「マヨコにどう言えばいいんだよ?」
否定的になるのも無理も無い『マヨコ』と言うのは、この男の彼女なのだから。
「言わせてもらいますけど、この後、ロクな目に合わないですよ」
そう答えた自分を見て頷いたガトウは、
「とにかく、今回はお前等、四人で行け」
今回は自分の味方である。
「ええっ」
そして大袈裟に驚き、サイトは言う。
「レフィーユさん相手に『女風呂覗け』という方が、命がいくつあっても足らんの、見えとるやん」
「だからって、そこに行く方が間違いでしょう?」
「そうだ、下手すれば停学モンだぞ?」
今回のブーイングの量はガトウも加わって二倍増しである。
だが、コレを見てガトウは思った事だろう。
「俺らチームやん。
ヘキサグラムちゅう、チームやん。
チームは一人でも欠けたら、チームじゃないんよ」
「サイトぉ」
残りの三人がサイトに抱き付く、コレを見て思った事だろう。
「アラバ、これ、断れないのか?」
「正確には逃げれないと言いますね」
ガトウの姿と、頷く、いつもの様子の自分の姿があった。
その地図にある歓楽区を見ているのか、サイトは言う。
「とにかくや、開店と同時に直行すれば先生にもバレへんって」
「時間との勝負じゃの」
うきうきとしたイワトとサイトには悪いなと思った、自分の気持ちを、
「お前等な、ホントにそういう事を目的としてるいるなら、アラバだけは加えるのはマズい…」
ガトウが変わりに言った。
「ガトウ、そんな言い方ないと思う…よ…?」
「どしたの、アラバ?」
そして、双子は自分の様子に気が付いた。
この時、自分は口に人差し指を当てる事しか出来なかった。
恐る恐る手にしたのは、どんなに機種が出ても、その言葉の原型は留めた物体。
携帯電話。
さすがにこれには全員、静かになる。
無理も無い。
『レフィーユさん』
夜になってディスプレイに表示された、この文字はあまりにも冷たかった。
長い夜が、始まるのだろう…。




