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魔道具使いの物語  作者: b
~始まりの物語~
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第7話 過ちの認識

「あれはいったいどのような魔法なんですの!? 是非わたくしにご教授くださいまし!」

「あー、いや……」



 サイクロプスたちとの戦闘からしばらく。湊たちは襲われていた少年たち──バーニアとロムカスを送り届けるため行動を共にしていた。


 ルナがぬいぐるみ状態になったナクを抱きしめるように抱え前を歩き、その後ろを包帯のおかげなのか自身の回復力のおかげなのか、既に歩けるほどに回復していたバーニアと、それほどダメージを受けてないはずなのに何故か気絶したままのロムカスを、湊が肩に担いで歩いていた。


 しばらく歩いているとバーニアが思い出したように湊の近くに詰め寄ってきた。


 どうやら五体のサイクロプスを消滅させる少し前に起きたらしいバーニアはあの光景を見たとき、湊の魔道具を殲滅型の巨大魔法と勘違いしているらしく、どのような魔法を使ったのか問い詰めてくる。湊はというとはっきりとは答えず言葉を濁していた。

 答えない理由として、自分の魔道具が利用されるのではないかと危惧したからだ。バーニアやロムカスのつけている魔道具は湊たちの持っているものに比べると性能的にはるかに劣っているが、前にトムソンに見せてもらった一般の魔道具にはなかった少し複雑に刻まれた防御印と、明らかにつける必要がない、見栄えだけよくしようという作った人の魂胆が見えるなんの効果もない宝石が埋め込まれてあったのだ。

 これを見れば、この少年たちはどこかのえらい貴族かなにかじゃないかという事は簡単に予想できた。そしてもしその予想が当たっていた場合、うかつに自分の力を教えてしまえば国に仕えろ的な事を言われるかもしれない、と湊は考えていた。


 ちなみにバーニアたちの通っているリカラーム国立魔法学院は生徒や教師のほとんどが貴族なので、湊の予想は当たっていたりする。


 とはいえ湊は教えることを強く拒否することが出来なかった。もしこれが自分を利用しようとするような目的で力を知りたがっているのなら、何を言ってきても無視を決め込む予定だったが、バーニアは純粋に知識欲を刺激されたような目をしながら聞いてくるので、拒絶するという事が出来ないでいた。

 湊も魔道具について教わり始めた頃、トマソンにしつこい位に聞いていた記憶があるので気持ちは分からなくもなかった。湊自身、自分の作った魔道具について自慢したいという欲求もある。


 しかしもしこの子から色々なところに伝わってしまえば面倒な事になる──と、これからの事を考えるなら教えてはいけないという気持ちと自分の魔道具の素晴らしさを教えたいという欲求に板挟みになりながら、湊は頭を悩ませていた。



「さぁさぁ!」

「ちょ、ちょっと待った。少し待ってくれ。…………なあ、どうしたらいいと思う?」



 自分ひとりで考えても答えは出ないと、迫ってくるバーニアから少し離れ、ルナとナクに聞いてみる。



「うーん……。他言しないことを条件にするんなら教えてやってもええんちゃう?」

「ナクさんに同意」



 そう答えるナクとコクリと頷くルナ。あっさりしすぎてるように感じるが二人がそういうなら教えてやってもいいか──とバーニアの元に戻る。



「待たせたな。それでだけど……」

「いいんですの!?」

「うおっ! 近い近い!」



 ズイッと近づいてくるバーニアを押さえながら湊が説明しようと口を開く。



「ふう……。でだ、条件として俺が今から教える事を周りに広めないっていう事を約束してくれるのならやぶさかではないのだが……」

「分かりましたわッ! このバーニア・レムナントの名に誓いましても他言無用を貫きます!」

「だから近いってば!」



 さらに興奮した様子で近づいてくるバーニアに呆れたものを感じながら、湊は先ほどの攻撃は自身が作った魔道具だという事を説明する。それを聞いたバーニアは目を丸くしていた。



「そんな……。あれが魔道具……?」

「そう、俺が作った魔道具。あそこでルナが抱えてるぬいぐるみがさっきの武器だからな。誰にも言うなよ?」



 湊がそう言うと、バーニアはルナの胸の前に抱えられているナクをジッと見つめる。見つめられたナクはといえば、何故かしなを作ってウィンクをバーニアにしていた。その様子を見て考え込む。



「そういえばあの光景のインパクトが強すぎて、動くぬいぐるみという変なものについて見逃していましたわ……」

「そんなに変なのか? 俺の師匠はあんなのバンバン作ってたぞ?」

「そもそも意思を持ち、魔力を常に注がなくても動くという時点でおかしいですわ!」



 バーニアの話によると魔道具というのは、ほとんど身体能力の強化やランプなどの日用品ぐらいしかないらしかった。


 魔力を流すことで様々な効果を発揮する武器もあるのだが、発動するための魔力を多く必要とするため使うのは魔力を常人以上に持っている者だけだという。



「それに魔道具というものはあんな槍から生き物へなんて変身しませんわ! ただでさえ最近あの技術大国エトワールで“機構具”が発明されたばかりだというのに……」

「“機構具”?」



 気になった単語が出てきたので湊は思わず聞き返す。なんでもこの世界で一番の技術力を持つと言われるエトワールという国が作った最新型の魔道具らしい。

 それは魔法を機構具に“纏わせる”事が出来るシステムで、今まで魔道具に比べて圧倒的に使用する魔力量が少なくて済むというものだ。


 しかしそれには欠点があり、纏わせる技量がなければ戦っている最中に途切れてしまう、なんてこともあるそうだ。

 もちろん普通の武器にも魔法を纏わせる事はできるがそれはとても難しい。

 例えるなら、右手で定規を使わず正確な四角形を描きながら左手でコンパスを使わずに綺麗な円を描くようなものなのだ。

 機構はその難易度を少し下げる事に成功したものなのだが、いかんせんその難しさはあまり変わらないらしい。それでも画期的な技術ではあるので今はかなりの値段で売られているという。


 それを聞いて湊は少し顔を引き攣らせた。



(おい師匠……あんた、どんだけ時代の先を進んでたんだ……) 



 バーニアの話を聞けば魔道具に注ぐ魔力の事で悩んでいるらしいが、トマソンの屋敷にいる執事ロボたちはすべて魔力供給なしで動いていた。何故かといえば、トマソンは空気中に漂っている魔力を少しずつ取り込むことが出来る装置を開発していたのだ。


 魔力を使う武器にだってその装置を組み込むことで魔力のロスを少なくしていた。自身の魔力を武器に少し流すことで、さきほどの装置によって空気中の魔力を大量に吸い込み、効果を発動するための魔力に変換することで少量の魔力で大きな威力を持つ武器になるのだ。

 

 ずっとあの屋敷にいた湊は、あれが普通だと思っていたがどうやら認識を改めた方がいい、と自分の魔道具を思い出しながら思った。



「ま、まあそんなことはどうでもいいじゃないか。君が知りたいことも教えたし、この話は終わりだな」

「まだ気になるところが多く残っているのですけれど……」

「気にすんな。さて、そろそろ森を出るころだな」



 少し強引に話を終わらせ進んでいくと森の出口が見えてきた。なんだか何人かの騒がしい声も聞こえてくる。



「あ、この声は……」

「知り合いか?」

「ええ、担任の先生と友人たちの声ですわ。心配させてしまいました……」



 そう言って少し暗くなるバーニアを元気づけるように声をかける。



「まあまあそんな顔すんなって。『無事でしたー! ごめんなさい!』とでも言っときゃみんな安心するだろ」

「そんなんでいいんですの……?」

「大丈夫大丈夫、問題ない問題ない。あ、そうだナクさん。なんかぬいぐるみがしゃべるとおかしいらしいから黙っといてくれ」

「わいの存在がおかしいとでも言うんかもごもごもご!」

「……少し我慢」



 ルナがナクの口を抑え黙らせる。そんなこんなで森を出るとそこには数人の、生徒と思われる同じ制服を着た子供たちとピシッとしたスーツを身に纏ったいかにも教師らしい女性がこちらを見ていた。


 その人たちは魔物でも出てくると思っていたのか、生徒を後ろに下がらせた教師が何をされても対応できるように構えと取っている。



「えーと、我々は怪しいものではありません。だから警戒を解いてくれると助かります」

「……助かります」

「マキナ先生! ミーユ!」

「「バーニアさん(ちゃん)!?」」



 バーニアはその教師たちの元に駈け出していく。すぐに生徒たちや教師に囲まれ心配の声をかけられている姿を見ると慕われているんだなぁ、と湊たちは微笑ましげな表情で見ていた。それに比べて見向きもされないロムカス。



「大丈夫、バーニアさん!? そんなに包帯を巻いて……! どこか怪我でも!?」

「どこも怪我はしておりませんわ先生。魔物に襲われましたが、あそこにいる方々に助けてもらいましたから」

「まあ、そうだったんですか!?」



 驚いた様子でこちらを振り向く教師たち。そして湊たちは近づいていった。



「いやあ、偶然その場に鉢合わせましてね。間に合ったようでなによりです」

「そうだったんですか……。リカラーム国立魔法学院の教師としてあなたに感謝を」



 恭しく礼をするマキナというらしい女性に、湊は慣れていないのか胸の前で両手を振りながら慌てていた。



「いえいえ! 本当に偶然なんで! 気にしないでください」

「そういわれましても……。この子たちの保護責任者として何かお礼を……」

「ならリカラーム国まで俺たちも連れて行ってくれませんか? ちょうど目的地がそこなので……」



 湊がそういうとマキナはにっこりと笑いながら、



「分かりました、そういう事なら是非乗っていってください。二人ほどの余裕ならありますからね」



 と、快く了承してくれた。それを聞き誰にも気づかれないように胸をなで下ろす湊。じつは湊は結構な方向オンチだったりするので、この提案がダメだった場合街に着くのが数日は遅れる羽目になっていただろう。



「それとバーニアさん、今回のことはしっかりと反省してください。みんなにこんなにも心配をかけたんですから……」

「それはわたくしのせいじゃ……。はい、分かりました……」



 怒られているバーニアを尻目に湊たちはリカラーム国に着いた後の事を話し合っていた。一応肩に担いでいたロムカスは近くにいた他の男子生徒に預けておく。



「さて、とりあえずリカラーム国にいけることになった訳だが。着いたらひとまず一番にすることがある」

「……なに?」

「おぉなんや?」

「ああ、それはな……」



 二人の顔を見て湊は少し溜めて続きを話した。



「“ギルド”に登録することだ」


テスト前なのに1日中パソコンの前でカタカタやってた

一体なにやってんだか……

だが後悔は(ry

※7月22日

湊の魔道具とその世界での技術レベルとの差を追加

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