異界の骨董品屋2 ~猫の王者~
時間の流れがない世界。
表も裏もない世界。
人も妖怪も区別のない世界。
俺はそこで、第二の人生を歩き始めた。
人生、といっても俺はもう人じゃない。妖怪でもないけど・・・と思いたいけど。
俺は欲しくもない不老不死を得た。
弟の命と引き換えに、俺は今までの日常的な世界から切り離されてしまった。
切り離されて放り出された世界は、異常なほど不可思議な世界だった。
骨董品屋、『音木箱』。
古ぼけた小さな店の中は、外から見たよりもずっと広い。なんとかの法則を無視した作りだ。
まあ、店の主が難しそうな頑固おじいさんではなく、赤毛の可愛らしい少年だってことが、俺には一番不思議に思えるけどね。
その少年、龍稀は俺に緑色の瓶を手渡して笑う。
「それ、そこに仕舞っておいてね。くれぐれも割らないように。」
「あの、これ・・・何?」
弟の栄二とあまり変わらない年の少年がにこりと無邪気に笑う。
「マンドラゴラの絶望の叫び。開けたら死んじゃうよ。まあ、リョウは死なないけどさ。」
龍稀の足元で宝麟がくるりと回る。
「りょーは不死だもんね。」
本を抱えてお手伝いしてた禮麒もにこりと笑う。
「りょーはずっと生きるもんね。」
「老いもせず死にもせずとは、我々と似た生き物でありんすなあ。」
いつの間にか、着物を着た艶美な女が立っていた。
もうこんなことは日常茶飯事だ。俺は驚きもせず言った。
「えーっと? どちらの精さんで?」
くすり、と妖艶な笑みで俺を見つめる。ただ、どうやら不老不死になると人間三大欲求とやらは消えるらしく、俺はときめきを感じることはなかった。
「あちきはこれでありんす。」
顔を少し背け、髪に差した簪を指差した。
「簪の精さんね。名前は?」
「この簪に彫られてるもの、存じておいでで?」
簪には、美しい大輪の菊が彫られていた。
「ああ、お菊さん?」
「白菊花魁でありんす。以後、よしなに。」
色っぽい流し目を送ってきたが、俺は心臓はまったく高鳴らない。こんなとき、不死じゃなければなあ、なんて思ったり。
慎重に瓶を棚に仕舞うと、次の仕事がすぐに飛び込んできた。
「はい、これ。あっちの箱ね。」
渡されたのは五つの手鏡。言われたとおり運びつつ、いつもその商品の由来を聞くのが習慣になっていた。
「これは?」
龍稀が重そうな巨大な槍を軽々と持ち運びながら答える。
「それはバシリスクを退けた破邪の鏡だよ。」
「バシリスク?」
「蛇の姿をした魔物のことだよ。目を見ると即死するから、バシリスクが出そうな砂漠ではイタチと雄鶏と、その鏡を持っていったのさ。」
そういった知識がまったくない俺に龍稀は嫌な顔一つせずに説明してくれた。
「イタチはバシリスクの毒が効かないから唯一うち倒すことが出来る動物なんだ。雄鶏はね、バシリスクが雄鶏の声を聞くと体が固まって動けなくなるから連れて行くんだ。鏡は毒の視線を跳ね返すことが出来るから、それで殺すんだよ。その鏡は成功したやつなんだ。」
「へえー。五回も成功してるんだ。案外怖くないな。」
鏡の数を数えて呟いた言葉を聞いて、くすくすと龍稀が笑った。
「逆だよ。ほとんど成功してないから、何でも流れ着くうちにも五つしか入手出来なかったんだ。欲しがる人は山ほどいるねえ。」
ぞっとして顔が引きつる。それを見て双子が笑った。
丁寧に箱に鏡を仕舞った、そのときだった。
ちりん。
ちりん。
入り口に着いたドアベルが、ドアが開いてもいないのに鳴る。
それが、客が来る合図だった。
緊張が全身を走る。
俺がここに働き始めて何人も客は来たが、いずれも異形の姿をした妖怪やモンスターばかりだった。
時には俺を食おうと狙う奴もいたからたまったものではない。
「ああ、誰か来るね。えーと、十八世紀、かな。」
その言葉に、こそりと龍稀に聞いた。
「なあ、なんであのベルって開いてないのに鳴るんだ? それに、なんでどっから来るのかわかるんだ?」
俺の頭の埃をはたきながら龍稀が答える。
「あのベルはあの子たちだよ。」
そう言って禮麒と宝麟を指差す。
「あの子たちは双子の鈴の九十九神。お客さんが近づいてくると敏感に感じ取って知らせてくれる。それと同時にどこの時代なのかもわかるんだ。人間世界のほうが表現するのにわかりやすいでしょ?」
へえ、と俺が声を上げるのと同時に、店の扉が軋みながら開いた。
ちりん。ちりん。
涼やかな鈴音が店に響き、辺りはしんと静まった。
誰も彼もが、扉を開けた人物に注目しているのだ。
緊張して俺もドアを見つめる。
見つめるが、外から霧が入ってくるだけで、誰もいない。
あれ? と首を傾げようとした瞬間だった。
「いらっしゃいませ。お探しのものなら、あなたをここで待っていましたよ。」
龍稀がお決まりのセリフでお辞儀をした。
この言葉が出るってことは、どこかに客がいるってことだ。
俺は辺りを見回そうとして、やめた。
視線の下にひょこひょこ動く何かを捉えたからだ。
「ここが・・・噂のオルゴール・ハウスか。」
やけに低い声が聞こえる。声の主を見て、俺は息が止まった気がした。
黒くしなやかな毛を持った、美しい大きな猫。
それが、喋ったのだ。
と、いうことは、もちろん普通の猫ではないだろう。
丁寧に頭を下げる龍稀を見習い、俺も頭を下げた。
「ようこそ、オルゴール・ハウスへ。」
音木箱とは本来オルゴールのことを指す。なので、西洋の客人に対してはオルゴール・ハウスと名乗っているのだ。
「お見受けしますところ、あなたはケット・シーですね?」
「いかにも。そなたがこの店の主か。」
高貴そうな喋りのその猫は龍稀と俺を交互に見た。
「あなたがお探しの物は、こちらですね?」
瞳を尖らせながら、龍稀が棚から何かを取り出した。
ちりん、と鈴が鳴る。
だが、それはドアのベルの音ではなかった。
龍稀が丁寧に出したそれ。それが、音を立てたのだ。
赤い色をした、可愛らしい首輪。
それを持ってきた瞬間、黒猫の瞳が輝いた。
「おおっ。それだっ。まさしくそれだっ。」
うっとりと首輪を見つめる黒猫に視線を合わせるように、龍稀は腰を屈めた。
「これは人間と猫との契約を結ぶ、首輪というものです。これをつけることによって人間を主と認めることになります。」
「これが首輪というものなのか・・・」
不思議そうにしげしげと凝視している。元人間の俺としては、首輪を知らないということのほうが不思議に感じた。
「由来をお聞きになりますか?」
「ああ、聞かせていただこう。」
黒猫がゆっくり頷く。
それを見て、龍稀は黒猫を奥へと案内した。
アンティーク調のイスとテーブルがちょこんと置いてある部屋に着くと、龍稀はどこからかやってきた美しい西洋の貴婦人にお茶を淹れるよう指示した。貴婦人は嬉しそうに頷いて姿を消す。
黒猫がイスの上に行儀良く座るのを見て、龍稀は首輪を赤い衣の上に丁寧に置いた。
「今、お茶の精にとってもおいしいお茶を淹れるように言いました。少しお待ちくださいね。」
そう話す龍稀の後ろに待機してた俺にも龍稀は座るよう進めてくれた。素直に腰を下ろす。
黒猫の金色に光る瞳が俺を見据えた。
「一つ、聞いてよろしいかな?」
「なんでしょう?」
「いや、ただの興味本位なのだが・・・そこの少年は人間と見受けられるが、ここで働いているのかね?」
「へ、俺?」
驚いて声を上げる俺に、龍稀が軽く小突いた。こそりと囁く。
「相手は王族なんだから、言葉は丁寧にね。」
「お、王族?」
龍稀が答える前に黒猫が再び聞いた。
「どうなんだね、少年。」
「あ、はい。俺はその、元人間です。」
「元?」
「今はえっと・・・死なない体になったので、人間とはいえないんです。」
ほう、と猫は丸い瞳孔をさらに丸くさせた。
「不死者か! 初めて見るな。」
頷きながら俺を見つめる黒猫の前に、ことりと紅茶が置かれた。
「お待たせいたしました。ダージリンティーです。」
龍稀と俺の前にも置くと、ぺこりと頭をさげて消えていった。
確か、お茶の精霊が空の茶箱に住んでいたな。
そんなふうに考えている俺の前で龍稀が首輪を取った。
「では、お待たせいたしました。こちらの首輪の由来でございますが。」
「うむ。頼む。」
「こちらは、十七世紀スペインで使用されたものです。ある少女が飼っていた猫につけていたもので、この首輪があったお陰で二人は別れずに死ぬまでともにいられました。」
「というと?」
「その猫は過去に五回、少女の前から姿を消しました。少女は猫を探し回るときにこの首輪を目印にしていたため、五回とも巡り合うことが出来たのです。実は、帰巣本能や偶然と言う言葉で片付けることは出来ません。何故なら。」
ちりん、と首輪の鈴を鳴らした。
「実は五回、少女は両親とともに引っ越しています。それもいずれもかなり遠くに。そしてその五回とも、両親がわざと猫を家に置き去りにして捨てていったのです。しかし、猫の強い想い、少女の強い想いによって首輪は霊気を帯びることが出来ました。猫はこの首輪の導きによって五回とも少女の下へと戻り、最後は大人になった少女に看取られて天国へと旅立ちました。少女は猫が置き去りにされていたのだということを知らずに、七十年後に生涯を閉じました。」
黒猫が少し切なそうに眉根を寄せている。
「この首輪は彼女と猫のとても強い信頼の証。傍にいるという契りの証。少女の死後、この首輪はここに流れ着きました。この首輪には信頼や愛が詰まっています。さて。」
黒猫に穏やかに微笑みかけた。
「あなたは何をお売りになりますか?」
言葉に詰まったように猫は口を少し開けて黙り込む。迷っているようにも見えた。
しばらく耳をぴしぴしと震わせ、忙しなく尻尾を動かす。焦ることなく、龍稀は返答を待った。俺も大人しく待つ。商品と代価の重みを比べるというのは、考えても考えても足りないくらいだというのを知っているからだ。
黒猫は自分の顔を洗った。落ち着かせるためのグルーミングだ。その姿がとても可愛らしいが、本人は悩んでいるのだ。可愛いなどと言って撫でてはいけない。それは無粋だ。
「・・・わしが持っているものは、愛や信頼とは程遠いもの。ある者にとってはそれは何の値打ちもないものだ。」
「ですが、ある者にとっては生涯をかけても手に入らないもの。そうではありませんか?」
うむ、と黒猫は頷く。覚悟を決めたようだ。
「首輪を買う代わりにわしの・・・王位を売ろう。」
ぎょっとして驚く俺とは対照的に、龍稀の瞳は静かに細まった。選定しているのだ。
じっと黒猫を見つめ、時折首輪を見る。
しばらくすると龍稀は目を元に戻した。
「はい、お売りいたしましょう。」
「真か!」
「しかし、よろしいのですか?」
王位を売るというのはとんでもないことである。黒猫は苦い顔で笑った。
「・・・わしは本当は王位など欲しくなかった。叔父上のように自由に生きたかった。父上が王でなければ、わしも同じように出来たのかもと、いつもそう思っていたよ。」
泣きそうな笑みで首輪を見た。
「それは叔父上の首輪だ。王位を弟である父上に譲り、猫の国から人間界へと飛び出していった叔父上の物・・・叔父上は幼い子猫の頃に人間界へと迷い込んでな、馬に轢かれそうになったところを人間に助けてもらったそうだ。それ以来、人間と共に生きることをずっと夢見ていた。王位継承する三歳になる前のことだったな。国民から罵声を浴びる中、叔父上は誇らしげに人間界へと行ってしまった。わしも・・・連れて行って欲しかったな。わしはいつも叔父上から人間の話を聞かされていたから・・・」
憧れたのだよ、と小さく黒猫は呟いた。
黒猫は両方の前足を瞳に当てた。少し動かして何かをしている。
ころりと何かがテーブルの上に落ちた。
「これが、王位継承者の証だ。」
金色の目玉が二つ、美しく輝きながら転がっている。
俺は驚いて黒猫を見た。前足がゆっくり離れる。
そこには、緑色に輝く瞳がちゃんとあった。
「わしら王位を継ぐものは、この金色の瞳をはめるのだ。王冠と一緒だな。」
「は・・・はめるって、いったいどうやって?」
俺の答えに黒猫が意地悪く笑う。
「それは教えられぬ。これを知っているのは王と神官のみだ。神官ははめる儀式を行うからな。」
落とさないように丁寧に龍稀が瞳を受け取る。
「確かに、王位継承の証を受け取りました。では、こちらを。」
ちり、と首輪が涼やかな音を鳴らす。
「すまないが・・・着けては、くれぬか?」
一変して緊張した声で黒猫が言った。目は首輪に釘付けである。
ちらりと龍稀が俺を見た。その視線を受け、俺は静かに立ち上がり、首輪をそっと受け取った。
黒猫の後ろに回り、首輪を首にかける。きつくならないように緩め、落ちないようにしっかり固定した。
おお、と黒猫から感嘆の声が上がった。
「叔父上の首輪が・・・ついにわしの元に・・・」
緑色の瞳がきらきらと輝く。本当に嬉しそうだ。
「では、こちらを買わせていただきます。」
どこからか持ってきた小さな小箱の中に赤い布を敷き、その中に金色の瞳を収めた。
頷こうとした首が途中で止まる。
それに気づき、龍稀が箱を仕舞う手を止めた。
「どうされました?」
黒猫は答えず、じっと金色の瞳を見続けている。
「ご購入をお止めになりますか?」
今ならまだ間に合う、と龍稀は一言添えた。
「いや、買わせていただく。ただ・・・」
ぴんと張ったひげが力なくしな垂れる。
「王位は売ったものの、王国の行く末が気にならないわけではないのだ。」
す、と龍稀が小箱を前に出した。
「この瞳の購入者が、気になるのですね?」
「ああ・・・いったい、誰が王位を継ぐことになるのか。わしに子どもはいない。正統継承者はいないのだ。国は荒れるのだろうか・・・」
不安と罪悪感の色を混ぜたような顔で猫は情けなく鳴いた。
「わしの夢のせいで・・・」
その言葉を制したのは、龍稀の穏やかな声だった。
「いいえ、これは運命です。あなたがここにいらっしゃったのも、あなたがこの首輪を受け取ったのも、すべて運命のなせる業。王国にまったく新たな王が生まれることも、すべて運命のシナリオの一つです。」
ふふ、と黒猫は苦笑とも微笑ともつかない笑みを浮かべた。
「そうか。そなたは時間など無きに等しいのだったな。わしが人間界に行くことも、王国に新しい歴史が生まれることも、そしてその新たな王が導く世界のことも、すべて知っておるのだろう?」
「ええ。知っています。」
「ならば・・・国が消えることは無いと、そう祈っておこう。」
ゆったりと黒猫は立ち上がった。
静かに龍稀は頭を下げた。俺も慌てて頭を下げる。
堂々と黒猫は店の中を歩き、扉の前に立った。
くるりとその場で振り返り、笑った。
「わしを、わがままだと思うかね?」
龍稀は優しく頭を振った。
「わしは、叔父上に言われた言葉が忘れられなかった。―猫は自由であれ、と言ったその言葉が。」
思い起こすように呟くと、改めて黒猫は言った。
「世話になった。お陰でわしは人間界に行くことが出来る。」
何を思ったのか、くすくすと龍稀が笑い声を上げた。
「あなたの叔父上様も、同じことを仰っていましたよ。その首輪をつけて。」
俺と黒猫は同時に驚いた。が、黒猫はすぐに穏やかな笑みを見せた。
「なるほど。そなた、食えないやつだ。」
好ましそうに言って、黒猫は扉を開けた。
再び、外から霧が中に流れ込んでくる。日の光りに反射して光る靄は、とても美しかった。
「ではな。」
短くそう言うと、猫は扉の外へと歩き出した。
扉が音をたてて、ゆっくりと閉まる。
後に残ったのは薄くなった霧と、静かに頭を下げる龍稀の姿だけだった。
古くなった本を丁寧にはたきながら、俺は龍稀に声をかけた。
「なあ、龍稀。あの黒猫の国って、どうなったんだ? 知ってるんだろ?」
釣竿を丁寧に磨きながら龍稀が笑う。
「知ってるよ。聞きたい?」
「ああ、うん、まあ。」
ことりと釣竿を置くと、後ろにあった本棚に手を伸ばした。
ページが古いため、千切れないようにそっと捲る。
「えっとねえ、あ、これこれ。あの黒猫の王がいなくなった後、金色の瞳が行方知れずになったために争乱が始まったんだ。それを手にした者が王になれるから。」
「って、やっぱり戦争が始まったってことか!?」
「そう。あの王が危惧していた通りにね。」
「そりゃあ気の毒になあ。」
「その争乱が始まってから二十九年後に真っ黒な猫が金色の目を持って生まれてきた。その子は次代の王として崇められ、かくして戦は静まり、国に平和が訪れた。」
俺は首を傾げた。
「それって、じゃあこの金色の目は?」
仕舞おうとテーブルに置いてあった小箱を指差した。
「そう。その目。それをね、ある猫が買っていったのさ。」
「ある猫って?」
「あの黒猫の王の息子。父に代わって王位継承の証を買い、次代の王となる生まれたばかりの猫に渡したんだ。」
「ったって、どうやって子猫が王になるってわかったんだよ?」
ぱたん、と閉じて本棚に戻すと、また釣竿を磨き始めた。
「さ、仕事仕事。ぼんやりしてるとすぐにお客さんが来るよ。」
ぱっと閃くものが頭にあった。俺は咎めるように目を細めて苦笑する。
「おい、龍稀ぃ?」
「さあさあ、リョウもお仕事しよう。」
誤魔化すようにきゅきゅっと音をたてる。その目は泳いでいた。
「運命に介入していいのかよー?」
「ま、まあ、それも運命の一つだよ。」
あはは、と笑う声はわざとらしい。
「ほんっと、罰当たっても知らねえぞ?」
「当たるならとっくに当たってるさ。」
「つーことは、それが初めてじゃねえな?」
墓穴をいくつも掘ってしまった龍稀は最早言い訳する気にもなれず、ただただ笑うだけだった。
龍稀は運命に介入することを許された存在なのだろうか。
いったいこいつは何者なんだろう?
疑問を飲み込み、俺はまた、双子の相手をしながら掃除を続けた。
満月の光りがもう、店を包み込んでいる。