なろうラジオ大賞2 • 3 • 4 • 5 • 6 • 7 参加作品
静寂な大地に流れるオルゴールの調べ
風が静寂が支配している大地の上で吹き荒れていた。
静まり返った大地にポツンと建っている家の開いていた窓から吹き込んだ風が、窓の直ぐ側にある机の上に置かれていたオルゴールを床に落とす。
オルゴールは床に落ちた衝撃で蓋が開き、クラシックなレクイエムを奏で始めた。
ポロロン〜
ポロロン〜
ポロロン〜
その音色は生命の息吹が途絶えた大地の上を静かに流れて行く。
生命の息吹が途絶える前、その大地の上で与えられた自然の恵みを受け取り生きていた全ての生き物の魂を慰撫するかのように、ポロロン〜とオルゴールの調べが流れていた。
巻かれていたゼンマイが解けきったのか? オルゴールの音色が唐突に止まる。
オルゴールの音色が止まると、放射能を含んだ風が吹きすさぶ音のみが聞こえる、放射能に汚染された大地が広がる静寂な世界に戻るのであった。




