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2-1 始まりは突然に

朝早くから投稿とかクレイジーなことしてる私は寝不足です笑

2-1 始まりは突然に


 諸君。こんにちは。と偉そうに挨拶をしてみて思ったのだが、今の時間は何時なのだろう。もしやすると、こんばんはかもしれないし、おはようございますかもしれない。


 けれどこれを読んでいる時間帯など、これを記している今の自分にはてんで見当もつかないのだから、適当に全部の時間帯の挨拶をしておこうと思う。


「おはこんばんわ。」


 最初に誤解のないように言っておきたいのだが、これから記す物語は、全て、緋羽灯(ヒイバネ アカリ)彼女の物語だ。その事を頭の真ん中に入れて置いて欲しい。


 よってこの物語を語る端役の事など、歯牙にもかけず、かつ頭の片隅におく事もしなくていい。


 くどいがこれは彼女の物語。間違っても、主人公は彼女なのだ。この面倒な語り口の大昔からやって来た高校生ではない。


 しかし、この物語が往々にして自分視点で記させる事も多い。それは、自分が観測者としての役割を与えられているからだ。


 observer‥


 観測者は、遠く千里先も見通し、未来も過去も全てを記録する役割を担う。


 えっ?そんな大業をどこの馬の骨とも分からない若者に任せていいのか?


 それはごもっともだ。そしてその疑問は至極真っ当な意見だと自分も思う。しかし、この世の中はある種の理不尽さや、奇怪な事が起きるのが、世の中なのだ。


 故に自分が巻き込まれたこの出来事も、あるいは事件もその一つに過ぎない。それは偶然であったのか必然であったのか‥。それは彼女にしか分からない事なのかもしれない➖


 2221年四月某日、桜並木を通り抜け、勾配のあるこの上り坂を慣れない新品のホワイトとスカイブルーの意匠に富んだブレザーに、スラックスを履きこなし、これまた不慣れな黒のローファーの踵を摩りながら歩く。


 ふと自分とは比べようもないほど、澄んだ蒼穹を見上げては、細く長い息を吐く。どうしてこんなに天気はいいのに、心は晴れないのか。不思議なものだ。普通、天候状態と心理状態、そして体調には明確に影響がある。それはもちろん気圧、気温、体感温度などが関係し、体調にも心理状態にも影響を及ぼすからなのだが、だからと言って、天気が晴れているからと言って心が晴れるとは限らない。ハッキリ言って憂鬱だ。


 その原因はこれから待ち受けている、試練が理由だ。もしくは、未来だというのに、未来よろしく歩く歩道で自動的に目的地まで運んでくれずに、結局自らの足で地道にアスファルトの歩道を踏みしめて通学している事やもしれないし、はたまた、通学用の手提げ鞄にニヒルな書物を詰め込まれていた事かもしれない。


 まあ、複合的要因。と言った方が正解なのかもしれない。心理学のオーソリティならそう答えるだろう。


 そんな事を考えている間に、大きな門扉が見えてきた。もちろん腹には色々と抱えているものがあるものの、覚悟を決めて、その門扉の前に立つ。不思議な事に俯き加減を矯正するかの如く、前方から一陣の風が吹き上げて、自然と視線が上向く。


 その先には、未来を実感させるスタイリッシュな、建造物の数々。そして一番に印象的なのは敷地の中央に鎮座する縦横十字に広がり、その中心を軸に円を重ねるように回廊が貫く校舎だ。広大なキャンパスを四つのエリアに分割する役割も持つその校舎は遠くから見てもその威容には圧倒される。


 ガラス張りの回廊からは校舎のそれぞれの地区を見渡すにはさぞかし良いロケーションだろう。


 細かい説明はここでは省くが、とある理由で、未来へときてしまった中森佑は何も詳しい事情を知らないまま、ここ、国立千術専門高等学校へと来てしまった。いや、来ざるを得なかった。半ば強制だった。


 入学試験などおよそ受けてもいないし、入学前にあったはずのオリエンテーリングにも参加した事実は無い中で、何食わぬ顔で生徒に混じり、これまた何一つ周囲の生徒や先生に疑問を与えずに高校生生活を遂行しなくてはならないという、大変高度かつ困難な試練が待ち受けている。



 しかし、今日は朝から大変だった。彼女の力の片鱗をまざまざと見せつけられたからだ。


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