第二話 六第ダンジョン
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気がつくと僕は保健室のベッドで寝ていた。
(保健室?どうして…)
時計を見るともう午後の授業が始まっている時間だった。
そして、ベッドから起きあがろうと体に力を入れると激痛が走った。
「痛っ!」
(何だこの痛みは…)
そう思いながら服を上に上げて体を見ると、あちこちに痣ができていた。
(そっか、僕はルイスと戦ったんだ。ルイスは相変わらず強かったな。)
そう思いながらルイスとの模擬戦を思い出す―――
「それでは模擬戦闘初め!」
教師の模擬戦開始の合図と同時にルイスは僕の方に向かって走り出した。
(速い!)
ルイスは僕との距離を詰め、無理矢理僕を間合いに引きずり込んだ。そして、背中に背負っている大剣(の形をした木剣)を素早く引き抜き、僕の横腹目掛けて大剣を振った。
(……ッ!)
間一髪のとこれで僕の得物の刀(の形をした木剣)で大剣の一撃の軌道をずらし、威力を減らし受けるダメージを軽減した。なのに…
(クソっ!威力減らしたのに今のでもうHPの3分の1持ってかれた!少し当たっただけでこんな―)
そう考えているとルイスはいつのまにか僕の目の前にいた。
そして、気付いた時には腹を殴られ飛ばされていた。
「ガハッ!」
(…モロに受けた。)
痛みを我慢し、土まみれになりながら体勢を立て直すとルイスがもう目の前にいた。
「くッ!」
ルイスの縦の大振りな攻撃を横に避けて回避し間合いをとった。
「チッ。」
すぐに仕留められなくて不満だったのかルイスが舌打ちをする。
「もう、いい。すぐに終わらせてやる。」
そうルイスが言うと全身に雷電を纏った。
(【豪雷天神】か。まずいな。)
そう考えていると雷電を纏ったルイスが消えた。
(速い!どこだ!どこからくる。………上か!)
上を見るとルイスが雷電を大剣に付与して向かってくる。
(避けられない!避けられても余波の電撃で攻撃を喰らう。受け止めるしか無いのか。)
そう考えているともう攻撃が来た。
(クソっ!)
少しでも威力を少なくしようと刀を構える。そしてルイスの攻撃が僕の刀に触れた瞬間、電流が刀を流れた。そして僕の刀が折れてルイスの一撃が僕の体に入った。
重い打撃と意識が飛びそうなほどの威力がある電撃を喰らった。
そこで僕は意識を失った。
そして現在、僕は保健室のベッドで横になっている。
(ルイス強かったな…)
そう考えているとドアから綺麗な紫色の髪で眼鏡をした美女が入ってきた。
「シン、目が覚めたか。」
「はい。手当てしてくれてありがとうございます。
クリーナ先生。」
「まあ、怪我した生徒を手当するのが私の役目だからな。また酷くやられたな。大丈夫か?」
この綺麗な紫色の髪で眼鏡をした知的な女性はクリーナ・アロン先生。保健室担当の教師だ。
「はい。今はもう痛みは引いてきましたし問題ないと思います。」
「そうか。じゃあ最後にもう一回《回復魔法》かけるからこっちにきなさい。」
「はい。」
そしてクリーナ先生に《回復魔法》で手当てをしてもらい教室に戻った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
教室に戻るといつもの様に他の生徒の罵声が聞こえる。
「お、最底辺が帰ってきた。」「あいつももう退学かな。」「ルイスさんにボコボコにされて惨めでかわいそうだったな〜」「本当にそうだよな〜」
そんな罵声を気にせずに机に戻るとルイスがやってきた。
「よう最底辺。これで分かっただろ、おまえはこの学校にあるべき人間じゃないんだよ。分かったらさっさと学校辞めろ。」
そう言うだけ言うと自分の席へとと帰っていった。
(僕のいるべきところじゃないか…確かにそうだな。なんで僕はこんなに弱いんだ。こんなんじゃ…)
そう思っているとチャイムが鳴って6時間目の授業が始まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
6時間目の授業が終わると毎日の日程であるダンジョンへと向かった。
ダンジョン
この世界の最大の謎であり、世界最大の財産でもあるそれは、なぜ出来たのか、いつどうやって造られたのかすらわからない建造物。このスエル大陸に六つありその内の一つがここハルドバッド王国の中心部に立っておりこの国の財政、経済のほとんどはダンジョンの特産物で回っている。また世界にあるダンジョンは未だに一度も踏破されていなく、最大深度はハルドバッドの「回生ダンジョン」で80階層である。ダンジョンは1〜20は下層、21〜40は中層、41〜60は上層、61〜80は深層、81からは無層に分かれており下に行くほど出てくる魔物は強くなり、採れる産物の価格は高く、貴重になる。とくに魔物から出る魔石は生活に欠かせないエネルギー源となっている。そしてダンジョンは10階ごとに強力なエリアボスがいる。なおエリアボスは一回倒すと二度と出てこないのでこの「回生ダンジョン」は80階層までエリアボスは居ない。
冒険者
基本的にはダンジョンの中の産物を取ってきたり魔物を倒し採れる魔石で生計を立てる者と、富、名声、力を得る為にダンジョンに入る者の二つがある。そして僕は両方だ。
ダンジョン6階層
1〜9階層までは天然の洞窟エリアとなっており、出て来る魔物は初心者向けの弱い奴しかいなく貰える経験値も少ないし、出てくる魔石や産物も安い物かしかない。
「ハッ!」
ズバッと肉が切れる音を出しながらゴブリンが倒れていく。そして体が黒くなりボロボロと崩れていき魔石が出てきた。
「はあ…はあ…これで5体目!あと2体。」
そう言い前を向くとそこには2体のゴブリンが弓と棍棒を持って構えていた。
僕がゴブリンへと向かっては走ると同時に奥にいるゴブリンが矢を打ってきた。矢を走りながら避け棍棒を持っているゴブリンまで近づき振って来る棍棒を避けて、胴を刀で一閃し、倒した。
(あと1体。)
そしてもう一体の方へと駆け出す。
こちらの弓使いは倒すのに時間がかかると思ったが安直な攻撃だったので案外簡単に倒せた。
「レベルが1アップしました。」
「お!レベル上がった。ステータス見るか。」
―――――――――――――――――――
シン・アリステア 16歳 ランク : 0
レベル:9
SP:18
MP:5
HP:82/ 82
攻撃力:31
耐久力:34
速 度:30
知 性:29
精神力:26
幸 運:2
ユニークスキル:【 】【 】
スキル:身体強化LV1・初級魔法LV 1
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(相変わらずレベルの上がりが弱いな。)
そしてステータスを閉じ、落ちている魔石を拾う。
(えっと魔石は…全部で7個か。と言う事は大体1500マニーくらいか。)
「よし。もう少しレベル上げしとうか。」
と考えていると…
「誰か!誰かいませんか!助けて下さい!」
と大きな声が聞こえた。
(何だ?)
声が聞こえてきたところへと向かうとそこでは女の子がゴブリンとリザードに囲まれて座り込んでいた。
(リザードだと!?何で6階層にいるんだ!?それ以前に何で回復術師が一人であるのだ?しかも見るからに生気がない、多分魔力不足だ。あ!まずい!)
前を見るとゴブリンが女の子に棍棒を振りかざそうとしていた。
(しかもあの子は見るからに初心者だ。まだランク0で魔物の知識も少ない、あの攻撃でも下手したら死ぬ。くそ、間に合え!)
全速力で走り出し、女の子とゴブリンとの間に入り、刀を抜刀し棍棒を斬る。そして、
「大丈夫かですか?」
と言うと女の子が泣きながら、
「ありがとうございます。」
と言った。
女の子を見ると足から血を流していた。
(だから動けなかったんだ。傷が深い、立てそうにないな。僕じゃリザードには勝てない。…抱えて逃げるしかないな。)
そして刀を鞘に納めて「すみません。」と言って女の子を抱えると「きゃっ!」と言う可愛い声がした。後で訴えられないよね。大丈夫だよね、きっと!緊急事態だし!
そんな事を考えながら彼女を抱え魔物のむれから勢いよく飛び出して安全圏の1〜3層へと向かう。そしてこれから3層まで地獄の鬼ごっこが始まった。
第ニ話はこれで終わりです。面白いと思ったらいいねや☆☆☆☆☆で応援してくれると嬉しいです。