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最高にロックな王家だなおい

「んあああ……」


 かなり寝ていた気がする。

 というか、こんなにも良質なベッドで寝たのはいつぶりだろう。


「おはようございます。朝ですよ」

「おはよう――おは!?」


 目を開けると、隣にはナミナの姿があった。

 もちろん隣と言うと、俺はベッドの中にいる。


 とどのつまり、彼女は俺の隣に入り込んでいるというわけだ。

 ナミナの温もりが地味に伝わってきてるし、長いこと潜っていたのは間違いない。


「どういうつもりだ……?」

「ご奉仕です」


「ちなみに……誰かに頼まれたりした?」

「エレア様が。きっと喜ぶからと」


 エレアさん、何を考えていらっしゃるのですか。

 頭が痛くなるのを感じながら、体を起こす。


「おはよう!」

「……エレアもか」


 目の前にはエレアの姿があった。

 ベッドに入り込んではいないが、腰を下ろしている。


 こちらに顔を向けて、百万点の笑顔をこちらに向けていた。


「早速だけど、ご飯を食べたら特訓に付き合ってほしいの」

「もちろんいいよ。それが俺の仕事だし」


 俺は体を起こし、顔を洗ってから食事場に向かう。

 さすがは宮廷と言った感じか。なんとも上品なご飯が並んでいた。


「で、昨日はナミナちゃんとは何を話したの?」

「んー、まあエレアのことかな」


「え……? それだけ?」

「それだけって、他に何かあるのか?」


 俺はパンをちぎって、疑問符を浮かべる。

 他に話すことって何かあるだろうか。


 ナミナのことについて話す……と言っても彼女はそんなキャラじゃないし。


「男女が同じ部屋で二人っきりなのよ……?」

「エレア、それ父親の前で言ってみろ」


「嫌だわ。セクハラよ」

「俺に対してセクハラしてるの分かってる?」


「私の場合、セクハラじゃなくてサービスよ。女の子から、こんな話題振られるの男の人は喜ぶって聞いているわ」

「あの……ちなみに、どこの知識?」


「小説」

「うーん、なんて小説を読んでるのか一応聞いてもいい?」


「○○○○○――」

「もう言わなくていい。分かった、理解したわ」


 イル国王は俺を警戒するよりもまず、彼女の本棚を警戒した方がいいと思う。


「ちなみに、お父様公認」

「最高にロックな王家だな……」


 ここまで来ると尊敬しちゃう。

 俺でさえ親にはそんなこと言えないよ。


 というか、バレてるって考えるだけで頭が痛い。否、頭痛が痛い。


「ごちそうさまでした。それじゃ、行くわよ! 特訓よろしく!」

「ごちそうさまでした……。面白い話を聞けて楽しかったよ」


 俺は隣に置いていた剣を握り、立ち上がる。

 さて、彼女の実力を拝見するとするか。


 本当に、俺と特訓してタメになるかは分からないが……。

 ベストを尽くすって決めた以上はちゃんとやらないとな。

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