撤退宣言(アルキ視点・ざまあ)
アルキたち『英雄の灯火』一行はレインが抜け、嬉々としていた。
なんせ、お荷物が一人減ったのだ。
一人当たりの報酬も増えるし、いいことばかり。
「Sランク昇格依頼を受ける前に、ちょっと腕試しするか!」
「そうね。ちょっと適当に遊びたい気分だわ」
「賛成。やっぱり事前準備は必要だしね」
三人はそう言って、Aランク依頼であるオーガの討伐を引き受けた。
もちろん、Aランクにまで到達したのは自分たちの実力だと思っている。
何から何まで勘違いしているのだ。
レインの実力は器用貧乏ではない。
更にその上、万能なのだから。
ギルドから目的の場所への移動中。
ビビがふとこんなことを言った。
「なんだか、レインが抜けてから力が上手く入らない気がするのよね」
「僕もだよ。なんでだろう」
「気の所為だ! 俺たちはSランクレベルの実力を持っているんだぞ?」
「それもそうだね」
「うん。勘違いだったかな」
「そうだそうだ!」
王都から少し離れた森。
目標であるオーガはここら辺に潜んでいるはずだ。
アルキは剣を引き抜き、周囲を確認する。
ビビは観測魔法を、エイルは攻撃魔法の準備をした。
「あ! オーガ来るよ!」
ビビが叫んだ瞬間、オーガが飛び出してきた。
アルキは嬉しそうにオーガを見て叫ぶ。
「雑魚が出てきたぞ! いやー、俺の一撃で楽に殺してやるからな!」
剣を引き込み、思い切り突く。
これでいつもなら一発で仕留めることができていた。
しかし、オーガはびくともしない。
『なんだこの一撃。攻撃なのか?』
とでも言いたげな表情を浮かべている。
「あ、あれ?」
アルキは疑問符を浮かべながら、もう一度攻撃する。
しかし、またも攻撃は通っていないようだった。
「どうしてだ!? クソっ! エイル! 早く魔法を打て!」
指示を送るが、魔法が飛んでこない。
いつもならこの時点で攻撃は完了しているはずだ。
「ちょっと待ってくれ……どうして。どうして魔法が上手く発動できないんだ……」
エイルは何度も詠唱するが、全てキャンセルされる。
いつもならできていたのに……。
「ならビビ! もっと俺にバフをかけろ!」
「やっているわ! 最高出力で!」
「ああもう! ならレイン、こいつを殺れ!」
そこで、ハッとなる。
レインはもういないのだ。
いつもピンチがあれば、レインに頼んでどうにかしてもらっていた。
「アルキ……? レインはいないわよ?」
「そうだ。俺が追放したんだ……」
瞬間、オーガの一撃がアルキに飛んでくる。
呆然と立ち尽くしていたため、防ぐこともできずもろに喰らった。
吹き飛ばされ、木々にぶつかる。
「アルキ!」
「大丈夫か!」
アルキは血を流しながら立ち上がり、手をあげる。
「撤退だ……撤退するぞ」
「撤退!? だって、相手はたかが『Aランク』よ!?」
「そうだよ! ここで撤退したら、まるで――」
「いいから撤退だ……!」
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