部屋と使用人とヒモ生活
「専属魔法剣士……と言っても、俺は基本何をすればいいんだ?」
「そうね。基本的には、私が呼んだら来てもらって一緒に戦うなり訓練相手になるなり。お父様からは、冒険者としての活動も許してもらえたから、そんなところかしら」
第一王女にしてはアクティブだな。
イル国王が心配するのもうなずける。
まあ、それを許したってことは俺に期待しているってことだろうけれど。
ああ……胃が痛い。
「うーん、それ以外は特にないから自由にしてていいよ」
「自由……? それってどういうことだ?」
「あくまでも私専属――まあ護衛だから国家の防衛に駆り出されることもないし、用件がなければご飯を食べてぐっすり寝て。そんな感じかしら」
「ま、マジで?」
「大マジだけど」
それってまるで……ヒモじゃないのか?
確かに仕事はあるにはあるが、ほとんどは宮廷内で食っては寝ての生活って……。
本当にいいの?
「あ、そうだ。レインには部屋も用意しないとね」
「部屋まで用意してくれるのか!?」
「当たり前じゃない。もしかして私と一緒に寝たかった?」
「いやいや、そんなわけじゃないだけど」
なんか、色々盛りだくさんじゃないか。
申し訳無さも出てきたんだけど、本当にいいのかな。
「そうだ。使用人も用意しないとね。ちょっと待ってて!」
「え、あちょっと!」
走っていくエレアを俺はただ見届けることしかできなかった。
使用人も用意してくれるって……俺、本当に王女様のヒモじゃないか。
◆
「はい! ここがレインの部屋!」
「うおお……すごい……」
まるで貴族が住む場所。絢爛な内装に豪華な家具。
ベッドはふかふかだし、大量の剣も用意されている。
「そして、彼女があなたの使用人。ナミナちゃん!」
「初めまして。ナミナと申します。どうぞ、よろしくお願いします」
「は、初めまして……」
白銀の髪に、鋭い視線。ものすごくお硬そうな方だ。
「諸々の面倒はナミナちゃんが見てくれるから、赤子のようにのんびりしていいからねぇー」
「それはやばくないか」
「任せてください。レイン様が赤子になったとしても、わたしはオシメを替える準備はできております」
「どんな準備ですか? しなくていいですからね?」
ナミナさん、もしかして癖の強い方?
とりあえず本当にオシメを準備している当たりマジなのだろう。
「それじゃ、私は眠いから寝てくるから。二人でごゆっくりしててー」
「エレアさーん、ちょっとー?」
パタン、と扉が閉められる。
ナミナさんと俺は二人きりになった。
……気まずい。
「あの、ナミナさんのお仕事は?」
「レイン様の面倒を見ることです。それと、さんは付けなくて結構です」
「もしかして、ここにずっといるんですか?」
「基本的には」
なんてことでしょう。
使用人とずっと二人きりが確定しました。
いや、何かあった時が助かるけど……。
やっぱり気まずい。
「気まずい、そう思われていますね?」
ナミナがそんなことを言った。
「ま、まあ」
返事をすると、コホンと一つ咳払いをする。
そして、拳を構えた。
ん? ちょっと待って。
俺今から殴られるの?
「じゃんけんをしましょう。仲良くなるためには、小さなことからです」
「んんん?」
ヒモ生活が始まりました!そして新たな使用人。この子、かなり癖が強いですよ。秘密もかなりあるのでお楽しみに!
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