表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/41

もう遅いんだよ(ざまあ)

「急がなきゃ! 早く行かないと!」


 俺たちは《超加速》を発動して、王都へと帰還を目指していた。

 魔王軍が暴れているのだろう。轟音が遠くの方から聞こえてくる。


 音がする度にエレアは涙を浮かべ、焦っている様子だった。


「私は王女なの! 絶対にみんなを守らなきゃいけないの!」


 彼女は必死の形相を浮かべていた。

 額には汗が滲んでいて、顔色は決してよくない。


 とにかく急ぎ、どうにか王都の門付近までやってきた。


 しかし……事態はかなり重いようだった。


「すごい数だな……」


 門付近には、数多くの魔物でひしめき合っていた。

 まるで海のように、波打っている。


 門を絶対に踏破させないよう、多くの冒険者の姿も見える。

 しかし状況はあまり良くないようだ。


 なんせ、相手の数の方が圧倒的に多い。

 あまりにも不利すぎる。


「私、行ってくる!」

「おい! ちょっと待て――」


 手を伸ばそうとするが、エレアは先に行ってしまった。

 ……エレアは確かに強い。


 けれど、これほどの量を相手するというのは現実的ではない。


 あまりにも無茶だ。


「俺も行かないと……!」


 そう言った刹那、背後から攻撃が飛んでくる。


「おいおい! 人間が一人でこんなところにいるぞ!」

「……邪魔するなよもう!」


 目の前には数体の魔族がいた。

 クソ……エレアがただでさえ心配だってのに!


「来るなら来い! 俺が全て叩き斬ってやる!」


「ひゃひゃひゃ! おもしれえ!」

「ならやってやるよぉ!」

「ミンチにしてやるぜ!」


 迫りくる魔族に対して、俺は剣を引き抜く。

 だが、数体の魔族を相手にするとなると少し時間がかかる。


 《影縫い》。これは《影掴み》の上位魔法。

 複数体の影を強力な力で地面に縫い付け、動けなくするものだ。


 かなりの魔力を消費するが、これくらいどうってことはない。


「《桜一撃斬》」


 剣を引き、そして一撃を放つ。

 一瞬にして放たれた剣は相手の魔族を瞬時に葬った。


「苦労するな、全く……」


 俺は嘆息しながら前方を見る。

 多くの魔物の波。こいつらを処理しなければならない。


 それよりも――エレアだ。


「まずはエレアを優先しないと……不味いよな」

「ええ。不味いです」


「はぁ!? ナミナ!?」

「お疲れ様です。現在、王都はかなり不味いことになっております」


 いつの間にか、ナミナが俺の隣にいた。

 気配なんて微塵も感じなかったのにいつの間に……?


「ひゃっはー! 女だ――」

「せい」


 新たな魔族が出てきた瞬間、ナミナが蹴り飛ばした。

 一撃。使用人が一撃で魔族を倒した。


「ははは……さすがだな」

「いえ。これくらい朝飯前です」


 それよりも、とナミナが指を立てる。


「エレア様の状況がよろしくありません。急ぎで向かってください」

「わ、分かった!」


 俺は魔物を迂回して、王都へと走る。

 急げ……急ぐんだ……!


「おい! レインじゃないか!」


 向かっている途中、何者かに声をかけられた。

 無視しようと思ったが、あまりにも聞き覚えのある声で反射的に止まってしまう。


 そこには、見覚えのある三人の姿があった。


「俺たちさ、魔物が攻めてきたってことで避難してたんだ! いやー、ちょうど良かった! お前に用があったんだ!」

「アルキ……? お前、どうしてこんなところに――」


 とにかく今は急ぎたいので、話を切ろうとした。

 が、急にアルキが胸ぐらを掴んできたのだ。


「早く俺たちにかけているデバフを解け」

「そうよ。早く解いてちょうだい」

「さっさとしてほしいな。ここで死ぬのはごめんなんだ」


「お前ら……何言ってんだ? 俺、デバフなんてかけてないぞ?」


 そう言うと、アルキたちが目を丸くする。

 まるで、現実なのかどうか受け止められていないかのようだった。


「う、嘘だろ……? それじゃあ、俺たちはなんで弱くなったんだ?」

「分からないけど……多分俺がバフを解いたのが関係するんじゃないかな?」


「ば、バフ!? お前、俺たちにバフをかけていたのか!?」

「そうだけど……いや、それよりも俺は早く行かないと――」


「待ってくれ……それなら僕たちが間違っていたのか」

「そ、そうだったんだ……私たちが……」


 俺は状況が理解できず、ただ硬直するばかりだった。

 彼らは一体、何を考えているんだ? 今、この状況で。


「な、なあ。レイン。お前は万能だったんだな」

「アルキ……急にどうしたんだ……?」


「ごめんよ、勘違いしていたわ。だからさ、パーティに戻ってきてくれないか? こんな危ない場所からはさっさと退散して、地元でもう一度やり直そうぜ?」


「お前、正気なのか?」


 こんな状況を見て、本気で言っているのか?

 今ここで逃げたら、地元に戻ったところで待っているのは地獄だ。


 それに……俺はもう心に誓っているんだ。


 一人の英雄を育てると。


「分かってますよ。レイン様のお気持ち。なので、私が代弁しますね」

「ナミナ――」


 ナミナがアルキを蹴り飛ばした。

 ふぅ、と息を吐いて睨めつける。


「帰りやがれ、です。邪魔です」

「な、ななな……!」


「早く行きましょう。時間がありません」

「あ、ああ……!」


 俺はアルキを置いて、再度走り出す。


「待ってくれ! おい、ちょっと!」


 背後からそんな声がするが、もう俺には関係ないのだ。

 彼らと俺は、もう他人だ。

【夜分からのお願いです】


・面白い!

・続きが読みたい!

・更新応援してる!


と、少しでも思ってくださった方は、


【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】


皆様の応援が夜分の原動力になります!

何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押していただけると作者への応援になります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ