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エレア様の正論で男の心は折れた!

 案内された場所は宮廷の庭だった。

 国王と第一王女が俺を見据えているという状況。


 なんというか、やっぱり地獄だ。


「全く……こんな朝早くから仕事かよ」


 そう言いながら、一人の魔法剣士が俺の目の前にやってきた。

 だるそうにしながら頭をかき、嘆息する。


「国王様に呼び出されたかと思えば、お前誰だよ。俺はこんな無名と戦わなくちゃいけないのか?」

「ははは……なんかすみません」


「謝るくらいなら出てくんなよ。こっちは国王に選ばれた魔法剣士様なんだ。無名相手と戦ってやるだけでもありがたいと思え」

「そ、その通りです……」


 男と話すたびに自信がなくなってくる。

 やっぱり相手は国王に選ばれた男なのだ。


 無名の俺と違って、実力は最高なのだろう。

 エレアは不満に思っているらしいが、俺よりすごいのは間違いない。


「レイン! そんな雑魚やっちゃって!」


 エレアがそんなことを言った瞬間、男の顔が険しくなる。

 ……頼む。俺のことを期待してくれるのはいいが相手を煽らないでくれ。


「レインってのか。お前が何者かは知らないが、癪に障る。すまないが、大怪我しても責任は取れないぞ」

「……覚悟は、できてます」


 ここで負けたら罪人なのだ。

 相手が何者でも、真剣にやらなければ俺の未来は閉ざされる。


「それでは、始めなさい」


 イル国王の声が響くと、相手が攻撃を仕掛けてくる。

 さすがは魔法剣士。一瞬にして、自分自身にバフをかけて仕掛けてきた。


 ――あれ?


 俺はバフ無しで受け止めるが、妙に軽い。

 確かに相手はバフを発動したはずなのだが。


「どうだ! 俺様の力は!」

「……?」


「な、なんだよ。不思議そうな表情をしやがって」

「いや、手加減してくれるのはありがたいんですけど……あなたも負けたら不味いんじゃないですか?」


 なんせ、相手も相手で負けたら専属剣士から外されるのだ。

 実質クビな状況下で本気を出さないのは不味い気がするんだけど。


「なんだ、お前……! なら分かった。こっちはもっと強力なバフを――」

「バフだけでいいんですか?」


 俺は相手の剣を弾く。

 隙きができた瞬間に、俺は『魔法』を発動した。


 俺の影が伸びていき、相手の影を掴む。


「な、なんだよこれ……! 動けねえ!」


 《影掴み》。俺が魔法使いだった時代に身に着けた魔法だ。

 まあ、あくまで平凡な技。器用貧乏なだけなんだけど。


 もちろん、技術的には簡単な魔法だからやろうと思えば余裕で解除することができる。

 でも……あれ? なんで相手は解除をしないんだ?


 このままだと負けちゃうと思うんだけど。


「えーと、これで勝負ありですか?」


 俺は木剣を相手に突きつけ、困惑しながらも声をあげる。

 しばらくの静寂。


「勝負あり!」


 イル国王の声が響く。


「さっすがレイン! 私が認めた男だわ!」

「えええ!?」


 エレアが急に抱きついてきたものだから、変な声が出てしまう。

 というか、勢いがすごすぎで尻もちをついてしまった。


 王女様……距離感距離感!


「クソが! 無名のお前に負けるなんてありえない! ズルだ、こいつはズルをしている!」


 エレアから引き剥がされ、男に胸ぐらを掴まれる。

 ズルって……俺はただ魔法剣士としての動きをしただけなんだけど。


 どうにか落ち着かせようとするが、相手は全く話を聞いてくれない。

 困り果てていると、エレアが男の肩を掴んだ。


「あなた、弱いだけじゃなくて精神面も雑魚なのね。諦めたほうがいいわ。そっちの方が、あなたのためになるわよ」

「え、エレア様……!」


 エレアがそう言うと、男は一歩下がって唇を噛み締める。


「お父様も。これで認めてくれるでしょ? 世界最高の魔法剣士はレインだって」

「……認めよう。事実、結果が出ているわけだからな」


 よ、良かった。

 これでひとまずは極刑を避けることができた。


 俺は胸を撫で下ろす。


「それじゃ、改めてよろしくね! レイン!」

「ああ。俺ができる範囲、全力で頑張るよ」

「もう! 自信を持ってよ!」

「ははは……頑張る」


 こうして、俺は正式に第一王女の専属剣士になった。

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