面倒な人はスルーが一番
「ギルドに付き合ってもらいたいんだけどいいかしら」
「となると依頼でも受けるのか?」
「ええ。私もみんなの役に立ちたいから」
彼女自身から理由は聞いていないが、レイナから聞いている。
英雄になりたい。まとめるならば、みんなの役に立ちたい。
エレアはそう思っているわけだ。
もちろん、俺は断らない。ヒモ生活をする条件ってのもあるけど、彼女の夢を応援したいからだ。
「ありがとう! お父様から許可が下りているって楽でいいわね。さてまずは……何をすればいいんだろ」
「……え? もしかして何も知らないのか?」
元気よく感謝を述べた後、不安そうな表情を浮かべてエレアが静止した。
思わず動揺してしまう。
「今までギルドとかには行ったことないのか?」
「ないない。だってバレたら騒ぎになるわよ」
「となると魔物退治とかってギルドを経由せずに単独でやってたのか?」
「そうよ」
おいおい、かなり危ないことしているじゃないか。
魔物退治等は基本、冒険者でないと行ってはならない。
つまりはギルドを経由しないとならないわけだ。
バレたら犯罪……だけど第一王女の場合はどうなるんだ。
まあいいか。事前に、そこから教えないといけないって分かっただけでもラッキーと捉えよう。
「それじゃ、冒険者登録をしないとな」
「冒険者登録?」
「うん。まあ、説明するより行ったほうが速いよ」
「さすがは専属剣士。期待しているわよ」
こうして俺たちは冒険者ギルドへと向かうことになる。
王都のギルドに行くのは俺も初めてなので、少し緊張した。
王都のギルドということもあって、建物はかなり大きい。
俺が以前使っていたギルドとは段違いだ。
中に入ると、多くの冒険者が騒いでいた。
酒を飲みながらはしゃいでいたり、依頼を見ながら悩んでいたりと、ここら辺はどこのギルドも同じらしい。
エレアはというと、念のためフードを被っていた。
騒ぎになるのは面倒だから、という理由でだ。
受付嬢さんには身分を明かすことになるが、そのあたりは問題ないだろう。
どこの受付嬢さんも冷静沈着。国家資格を持って働いている人たちなので信頼して問題ない。
「初めて来たわ……ギルドってこんなにも賑やかなのね」
「まあ、どこのギルドもそうだな」
「なんだかドキドキしてきたわ。冒険者って感じがする」
「その気持ち分かるよ。俺も初めてギルドに行った時はすごくドキドキした」
そんなことを話しながら、俺たちは受付嬢さんがいるカウンターまで向かっていた。
のだけれど――
「おいおい、新人じゃねえか! お前みたいなひ弱そうな野郎が来るようなギルドじゃ、ここはねえぞ?」
「ねえ。彼は何なの?」
「エレアは黙って」
俺はエレアの前に立ち、スキンヘッドと相対する。
「ギルドは誰もが使っていい場所……のはずですが」
「んなわけねえだろ! ここは強者しか許されねえギルドだ! なんせ、王都だぞ?」
全く、どこのギルドにもいる『自分がボスだと勘違いしている』人と当たることになるとは。
ここはスルーするのが一番だな。
「エレア、とりあえず行くぞ」
「え? いいの?」
「いいからいいから」
俺はエレアの手を引いてスキンヘッドをスルーする。
「ちっ。なんだあいつ」
危なそうな人には関わらないのが一番だ。
特に、俺はエレアの護衛でもある。
彼女を守るのが俺の使命。
下手なことをするわけにはいかない。
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