女神?現る
「ん、ここ、どこだ?」
俺は目を覚ますと、なんの捻りもない言葉を言い、立ち上がった。
周りを見渡すと、まるで宇宙のように美しく幻想的な空間に俺は立っている、というより浮いていると言った方が正しいのだろうか? 足元に床などの地面は無くガラス張りの様に下が透けており、宙に浮いているみたいに感じる。
本当に、ここどこなんだ?
俺はさっきまでの記憶を思い出そうと振り絞るが、いかんせん頭がボーッとしており、何も出てこない……
夢なのかとも思ったが体を触った感触が妙にリアルなので、そういうわけではないのだろう。
何故ここにいるのか、そんなことを考えていたって何も進まない、ゲームでもこういう時は何か行動を起こさないと何も始まらない。
「お〜い、誰かいないのか〜、できれば家に帰してほしいんですけど〜」
俺はとりあえず叫んでみた。意味は特にない、が、こういうところじゃないと大声叫ぶ機会などあんまりない気がしたからかは知らないけど、脳が直感的に叫べと命令した様に思えた。
しかし俺の叫び声虚しく、誰からも返事は来なかった……なので俺は寝ることにした。
やるべきことはやったと思うし、これで何も起きないのは連れてきたやつのせいだし……って連れてこられたって、誰にだ?
そんな疑問も、とりあえず寝ようという強い思いとゴリ押しした、というよりなんだか今が真夜中かと思うぐらいの眠気を急に感じてきたので、俺はとりあえず横になり目を瞑った。
これがよくわかんない夢なんだとしたらこれで覚めてほしい……
その瞬間、俺のそんな期待をぶち壊す様に、バチんと大きな音が鳴り俺は慌てて目を開け、飛び起きた。
「何が起きたんだ! 俺、なんかやっちゃったのか?」
まるで放置プレイヤーを罰するかの様な仕打ちに、俺は心底怯え、頭を抱えていた。
すると、目の前にいきなり、プレイヤーがマップ移動をするときとかに出てくる様な魔法陣がどこからか浮かび上がっていた。
「なにこれ? 魔法陣だよな、多分、かっこいいな〜、まるで異世界に行く前の前触れてきな感じだな! こんなのゲームでしかみたこたないな〜本物か以前にどれが本物かなんて知らないけど、生で見るとこんなにすごいんだな!」
俺は、初めて見る魔法陣に興奮を隠しきれずにはいられなかった。
やばいぐらい眠たいとか、そもそも何度こんなところにいるのかとか、そんなことも忘れていた。良い風にいうと、幼い頃のどんなものでも新鮮で、それがどんなものか知りたくて向ける、純粋なに視線で、うわーって風にいうと、目の前に巨乳のお姉さんが通りかかり、ダメとわかってもついついガン見してしまう欲望に正直な視線という感じだろうか。とにかくそれほど魅力的ってことだ。
そんな情熱的な視線を魔法陣に送りながらも、ふと、冷静になって考えてみた。
でも魔法陣って、敵の魔法使いとかが、自分の使い魔とか、仲間のモンスターを召喚するのにも使割れたりするよな、これって、実はヤバい状況なんじゃないか?
もしこの魔法陣からいきなり、よくわかんないやつとかが出てきたら、ひとたまりもないぞこれ……
俺は急に冴えてきた頭、でそんなことを考えてしまった自分を後悔した。
「ヤバい、とにかく逃げないと」
思い込みが激しいということもあるが、それ以上に本能的にそのことに意識を向けてしまうと、体が震えるし寒気が止まらない、それに耳にノイズがかった音も聞こえる、そのせいで体が動かない。
そこまで心配しなくても良いのかもしれないが、昔から人一倍怖がりだった俺に落ち着くことなんてこんな状況でできるはずがない……ん、待ってくれよ、こういう時、確か、お母さんはこうしろって言ってたよな。
俺がテレビで怖い話とかみた後、怖すぎてお母さんに泣きついてた時、お母さんは俺を抱きしめて必ず俺にこう言ってきた。「吾郎、大丈夫、怖い時はなにも考えずに寝ればいいの、寝たら全部わすれてるから……じゃあおやすみ」と、そう言ってすぐさま寝室に直行してたな、そういや母さんも肌、青ざめて、足とか震えてた様な気がする。でも本当に、なにも考えずに寝たら、その夜はいつのまにか寝てたんだよな。
そんな思い出に浸りながら、俺はなにも考えずに寝ることにした。
「あ〜気持ちいいな」
いざ寝てみると、先ほどまでの体の震えやらはすぐに消え、こごちよい気分と、少しのノイズ音だけが残る、そのノイズも時期に聞こえなくなるだろうと、思い再び無心になる。
がそのノイズは最初は耳鳴りの様な感じから、だんだん透き通った可愛らしい声に変わっていく。
「そ……ろ…き…すよ」
その声は最初こそなにを言っているかわからなかったが、徐々にはっきりと聞こえてくる。
「そろそろ着きますよ、、あ!ようやく通じましたよ、よかった」
通じたってどういうことだ? なんかくるのかここに?!
俺はその言葉に怯えながらも、どこか違和感を感じていた。
どこかで聞いたことがある様な声だな、でも最近女子と話すことなんてなかったし、一体誰だ?
「もう少しでそっちに着くのでちょっとだけ待っててください」
もう少しで着く,その言葉に不思議と俺は恐怖を感じなかった。
俺が心の平穏を取り戻し、ふと魔法陣を見ると、いつのまにか魔法陣が光だしていた。
「あ,まだ伝えてなかったので言っておきますね,僕の名前はソルト,君を異世界へ導く女神ソルトさ!……って言ってもさっきまでの記憶が飛んでて,良くわからないと思いますが,もうそろそろで記憶は戻ると思うので大丈夫ですよ」
女神ソルトは俺に包み込むような優しい声色でそう言うが,女神が来ると言う今の状況を知らされた俺は緊張でふるえ,それどこではなかった。
女神が来るとか無理じゃん,だって学校の女子ともろくに話せないのに,女神なんて来たら,もう終わっちゃうって!
そんな語彙力のない事を思う中でも,魔法陣の光がさらに強くなり、そしてあたり一面を光で包み込んだ。
やがて光が弱くなるとさっきまで魔法陣があった場所には……
「えっと,お前本当に女神か?」
そこにはさっきの声からは想像もできない,というか想像できるはずがない,どこぞやのスマホショップにいてもおかしくないロボットがいた。
嫌嫌、女神って普通もっとこう、可愛らしいのを想像するじゃん、それが何これ、ただの機械じゃん、流石に期待させといてそれはないよ……ていうか思い出したわ、さっきまでの事。俺こいつに連れてかれたんだっな。
「君、さっきまで、女神! どうしよう話せないよ、とか考えてただろうに、いきなりお前女神か? なんて失礼じゃないですか?」
その声、そして心を読んだような言動、やっぱり同一人物なのかこいつ、とはいえた確かにごもっともだ、綺麗な女性じゃないとわかった瞬間態度を変えるのは流石にひどいよな、それについてはなんも言えない。
「それはごめんなさいだけどさ、女神って言ったら、RPGとかラノベとかでもさ、もっとさあれじゃん」
「もっと綺麗で美人だし、普通は人間の見た目だよなとでも言いたいの? あのね神の世界にも色々と事情があるの、そこら辺は、なんとなく察してくれるとありがたいんだけど」
察しろと言われましても、俺にそんなこと言われたってよくわかんないですよ、にしても何故だろう、声は確かに可愛いけども、見た目がロボットだと何故か緊張しない。
「まあそんなことより本題にいきましょう、さあ椅子に座って」
女神がそういうと何もない空間から玉座のような椅子が生えてきた。
「すごいなこれ、どうやって出したんだ?」
俺がそんな些細な疑問を口にすると,女神は何を言ってるんだと言いたげねな表情でこう話した。
「自分の部屋だし、これぐらいできて当然ですよ」
嫌嫌、俺の部屋椅子生えてこないからな、てかどの家でも地面から椅子が生える事はないからな? 後、質問の答えになってないんだよな、どうやってって聞いてるのに、自分の部屋だからってなんか違うんだよ。
「はい、じゃあ座って座って、本題は座ってから話しますから」
俺は言われるがまま椅子に座った。
何これむっちゃ座り心地いいんだけど! 椅子の下に何か敷いてる訳でもないのにむっちゃ体にフィットする、家に欲しいな〜これ最高じゃん。
「あの、話してもいい?」
俺が椅子に感動を覚えていると、女神は呆れたような声でそう言ってくる。
「あ、ごめん、いいよいいよこの椅子の話でしょ!」
「たしかにこの椅子は最高だけど、そのボケはあんまりだよ」
嫌、別にボケてはないんだけど。その言葉はちょっと傷ついたからな、後で笑い転げるまでくすぐってやりたい。そもそもこいつってそういうの感じるのかな? そう疑問に思ったので俺は女神の多分脇腹らへんに手を伸ばした。
「あの、話させてくれませんか? 後僕くすぐったいとかは感じないから、それに僕一応女神だからね! 性別で言うと女だからね!」
別にロボットだから性別とかないだろ、まあこいつが思ってるんならそれでいっか。
「ごめん、そうだよな女性に気安く触るのはあれだよな、まあ、とりあえず話してくれよ、本題とやらを」
俺がそう言うと、女神は深呼吸をするかのようにスーッと声を出しこう告げてきた。
「あなたには、魔王たちを説得して欲しいんです!」
「は?」
作品を開いてみてくださりありがとうございます!
これからも頑張って投稿していきたいです。是非良いなと思っていただけたら、評価などをしていただけるとありがたいです。