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美しすぎる伯爵令嬢(♂)の華麗なる冒険【なろう版】  作者: 原純
レディ・マルゴーと竜の咆哮
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17-5





 ネラとビアンカが小さすぎる事に目を取られたせいか、ボンジリがほんの少しだけ大きい点については何も言われなかった。

 いや違うな。

 たぶん、やっぱりマルゴーではこのサイズが標準なのだ。きっとそう。


「ネラもビアンカも姿格好は小さいままですが、ちゃんと成長していますよ。ボンジリだって、もう空間系の魔法を使って物を切ったりも出来るんです。竜人くらい楽勝です」


「空間……? ま、まあいまいちよくわからんが、猫も犬もヒヨコもサイズも含めて色々おかしいのはわかった。いや、サイズがおかしいからといって他もおかしいかどうかはわからんが、1年半前と比べて実力が落ちていないのであれば構わんだろう。それに──」


 父は不意に天井を見た。

 部屋にいた他の人々もつられて天井を見る。


「ひい!」


 と声を出したのは誰だっただろうか。

 天井の四隅には『死神』、『悪魔』、アマンダ、クロウが両手両足を壁に突っ張らせて貼り付いていた。

 私は慣れているから問題ないが、改めて見てみると気の弱い人間なら夢に見そうな光景だ。各々がそれぞれジャンルは違えどそれなりに整った顔立ちをしているところがまた恐怖を煽る。


「……いつの間にか、自力で人型の護衛も雇っているようだしな。まあ、あの連中も連れて行ってもいいのであれば許可しよう」


「あの方々は……」


 動じていなかったシェキナが目を細める。

 心なしか、アマンダや『死神』たちも緊迫した雰囲気を醸し出している。いや、天井に貼り付いた状態のままなのでどこか滑稽ではあるが。

 もしかして面識があるのだろうか。

 結社に居た頃に教団相手にヤンチャした事でもあるのかな。ありそうだな。これちょっとまずいかな。いや、雇用時に履歴書には何も記載がなかったから弊社に責任はございません。履歴書とか貰ってないけど。


「……この屋敷の女主人は今はミセルですから、あまり厳しくは言いませんが……。貴方がたの行動ひとつで主人が恥をかく事もある、ということはよく心に刻んでおきなさい」


 母が扇子で口元を隠しながら眉をひそめる。

 これ遠回しに私が今恥をかいているって言ってるのかな。十分厳しいです。


 ともかく、何とか父と母の了解は得られ、私は聖シェキナ神国に赴く事になった。

 いや了解が得られたとか言っているが、別に行きたくはなかったのだが。

 ていうか学園はどうするんだ。


 と思っていたら、次回のテストを先んじて受ける事で進級を確約してくれるらしい。さしずめプチ飛び級だ。

 本来であれば認められない措置らしいのだが、マルゴー辺境伯と巫女シェキナの威光は伊達ではない、のだとか。

 いや、お忍びはどうした。





 ◇





 インテリオラ王都を出立し、一行は一路聖シェキナ神国を目指す。

 足は女神教が用意してくれた。

 シェキナたちはお忍びということで、巡礼者か何かのふりをして歩いてやってきたらしいが、もうその必要は無くなったとばかりに王都の神殿に申し付け、馬車を用意させていた。余人を交えず私に会うためのお忍びだったらしい。

 買い物目的じゃなかったのか。


 馬車は2台用意され、1台には私とシェキナ、もう1台にはその他大勢が乗っている。

 その他大勢とはシェキナのお付きの人々と、私のお付きの人々だ。具体的にはディー、アマンダ、クロウ、『死神』、『悪魔』である。あちらは乗り合い馬車のようなタイプの車体を徴発したので大型ではあるが、それでもすし詰め状態なのは可哀想だった。主にシェキナのお付きの女神官の人とか。乗り込む際、男ばかりなのが辛いためかディーの隣に座っていた。まあ、本人がそれでいいならいいけど。


 大型の乗り合い馬車タイプを牽いているのはもちろんサクラだ。本来は3頭だか4頭だかで牽く設計であるらしいが、サクラは一頭で牽いている。

 本来、神殿ではそう大型の馬車など必要ないので、こうした場合のために車体こそ持ってはいるものの、馬は常備していなかったからだ。馬車という設備において、馬というのは最も維持費がかかる原動機なのである。それでいてフリー規格で使い回しが利くので、どうしてもという場合は貸馬屋から借りる形をとっているらしかった。

 今回はサクラがいたので他所から馬を借りる必要はなかった、というか貸馬屋の普通の馬たちは立派なサクラを見ると怯えてしまって一歩も動けなくなっていたため、借りられなかった。


 幸いサクラはしっかりしているので、一頭でも余裕だ。

 本当は私の乗っている馬車を牽きたかったようだが、そちらは普通の馬がいるので我慢してもらった。


 サクラと比べれば随分と貧弱で頼りない馬たちだが、後ろからサクラが大型馬車を牽きながら追い立てればそれなりの速度で走ってくれるので移動速度は随分と速い。


 もちろん、優しい私は休憩ごとに疲れ果てた馬たちを撫でて労ってあげている。

 サクラはこの程度で疲れてしまうほどヤワではないので毎回はやらないのだが、それがまたサクラには不満なようで、休憩後には私に労われた馬たちをやっかんでいっそう速度を出して追い立てたりしていた。


 おかげで行程を大幅に短縮できた。この様子なら、予定よりもかなり早く目的地に到着できそうだ。






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― 新着の感想 ―
[一言] ミセリア、おそろしいこっ
[一言] 馬かわいそう。というような感想を序盤のサクラ(まだ名前無い頃)に対しても言っていたような気がする。
[良い点] 更新ありがとうございます!! アマンダ達は影に潜んだりしてなかったのかw 飾りの甲冑の中とか良さげなとこが無かったのかな?
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