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ただいま殺し屋営業中  作者: 零燐冬華
3/4

炎の交通事故

こんにちは。

もしかしたら、こんばんはの人もいるかもしれないのでこんばんは。

ただいま殺し屋営業中、三話目です。

今回は、主人公の紫織が交通事故の現場に遭遇します。

それから、紫織の過去が少しだけわかったり……?

それでは、どうぞ。

キキィーッ!

 私の耳に、車の甲高いエンジン音が聞こえてくる。

 バアンッ!

 思わず耳をふさぎたくなるほど大きな音がし、音がしたほうを見ると、女の人が地面にうつぶせに横たわっていた。

 頭、腕、足、様々なところから血を流している。

「うわっ、やべっ、やっちまった!」

 車から、20代くらいの男の人が姿を見せた。

「あ、あの、大丈夫ですか……?」

 あれ見て大丈夫だと思えるんだ……。

 まあ、見た感じまだ若そうだし、前科持ちになりたくない気持ちはわかる。

 でも、倒れている女の人は返事もしないし、動きもしない。

 ……あれ、たぶんもう死んでるな……。

「や、やべえ、やべえ……。」

 男の人は、狂ったように「やべえ。」とつぶやき続けている。

 ちゃんと見てなかった自分がいけないのに……。

 とりあえず、警察に通報して事情を話して、罪を償うべきだと思う。

 でもあの分だと、見て見ぬふりしてどっか行きそうだな。

 まあ、あれじゃ言い訳できないから、どのみちばれるか……。

 男の人が乗っていたのは白いワンボックスカーで、車のボンネットの部分に、赤い血がべっとりついている。

 あれは落とすのに時間かかるぞ~……。

 仮に血を落とせて、犯人として疑われなかったとしても、あの人はこれから一生、人を殺してしまったという罪悪感に悩まされて生きていくんだ。

 まあ、自業自得だよね。

 私には関係ないや。

 そう思って歩き出そうとすると、そばにあった小石を蹴ってしまったのか、コンッと音がした。

 その時、男の人がこっちを見た。

 瞬間、くわっと目を見開き、つかつかと私の方に歩み寄ってきた。

「お、お前、見たよな……?」

「ええ、見てましたけど。」

 そう答えると、男の人はおどおどし始め、急に車の中に戻っていった。

 逃げるつもりかな?

 そう思ったけど、男の人は車から出てきて、私の手に何か押し付けた。

 手に乗っていたのは、一万円札五枚だった。

「そ、それやるからさ、黙っててくんねーか……?」

 あ、買収しようってことね。

 普通の中学生ならなびいてたかもしれない。

 だって五万円なんて、中学生からすれば大金だもの。

 でも私は、五万円なんて持ってても使わないし、お金にもあまり興味がない。

「いえ、結構です。」

 そういって、男の人に五万円を返した。

 仮に私がお金に興味があったとしても、この五万円を使い切るまで、ずっと罪悪感に悩まされることになると思うし、私は、汚いお金は使いたくない。

「お前、警察にいうつもりか!?」

「いいえ。別に、私はあなたが捕まろうが捕まらなかろうが興味ありません。学校に行かせてほしいんですが、いいでしょうか?」

 男の人は、一瞬ホッとしたように顔を緩めたが、そのあとすぐに顔を引き締めた。

「だ、騙されねーぞ!やっぱ信用できねえ!」

 一回も信用してないじゃん……。

 男の人はまた車に戻っていき、今度はナイフを取り出した。

 緊急時のために、防犯グッズとかを持ち歩いているようだった。

 ただ、防犯グッズを殺人に使っちゃまずいでしょ……。

 ……まあ、別に私は、今ここで殺されても構わない。

 どうせ生きててもいいことないし、死んだ方がいっそ幸せなのかもしれない。

「うわ、それは困るわ。」

 !?

 突然、どこかから声がした。

 今ナイフを持って近づいてきている男の人の声じゃない。

 男の人って言うより、男の子と言った方が適切な気がする声だった。

「あー……、こいつがいちゃ話しできねえな。殺すか。」

 ボウッ!

 あつっ!

 当然、私の目の前で炎が上がった。

 な、なんで急に炎が!?

 ガソリンをまいてライターで火をつけたわけでもないし……。

「ぎゃ、ぎゃあああ!!」

 すると、さっきの男の人の悲鳴が聞こえた。

 よく見ると、炎は男の人を取り囲むように燃えていた。

「な、なんだよこれええ!!お、おい、ガキ!お前がやってんのか!?」

「いえ、違いますけど。」

 急に炎を起こす能力なんて、私にはない。

「ふ、ふざけんなよ!おいガキ!さっさと何とかしろ!」

 何とかって……。

「どうすればいいんですか?」

「んなの俺にわかるかよ!水でも撒いて消せよ!」

 ええ……、そう言われても。

 さっきまで自分を殺そうとしてた人を助けるって……。

 ……嫌だなあ。

「そーそー!俺は、お前にそういう思考を求めてんだよ!」

 すると、また男の子の声がした。

「つーわけで、とっとと話したいから、お前、早く死んで。」

 ボオオオ!

 炎の勢いが強くなり、炎が男の人に迫っていく。

「ひ、ひぎゃあああ!!」

 ゴオオオオ!!

 炎は、数分間燃え続けてから、突然、煙のように消えた。

 道路には、燃えた痕も男の人も、女の人の死体も、男の人の車もない。

 ただ代わりに、大量の灰が、道路の隅に積もっていた。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回のお話、いかがでしたか?

感想などありましたら、お待ちしております。

あの謎の声の主は、次回で登場します。

それでは、次のお話でお会いしましょう。

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