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ただいま殺し屋営業中  作者: 零燐冬華
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プロローグ

こんにちは。

零燐冬華です。

初投稿の小説です。

色々と目に余る部分はあるかもしれませんが、暖かい目で見てくれるとうれしいです。

 ピピピピ………。

 目覚まし時計の鳴る音が、部屋中に響き渡る。

 私は、目覚まし時計の音を遮るように、布団を深くかぶった。

 ああ、どうかこの目覚まし時計の音が夢であってほしい!

 私はそう祈りながら、ますます布団を深くかぶり、布団を強く握った。

 ピピピピ………。

 でも、目覚まし時計の音は無慈悲に鳴り響く。

 ガシャン!

「紫織!起きてんだろ、うるさいよ!」

 お母さんの怒号が、廊下の奥から聞こえてくる。

 ああ、あの音、また酒瓶を割ったのかな……。

 私は、観念して布団から抜け出し、目覚まし時計を止めた。


 私の名前は神原紫織。

 中学校に通う、普通の中学一年生。

 ……なんだけど、家庭環境にちょっと、いや、大分問題がある。

 さっき、何か割る音が聞こえたでしょ?

 さっきも言ったけど、私の予想だと、割れたのは酒瓶だと思うんだよね。

 ただ何かが割れた音でなんで何が割れたか、予想とはいえわかったと言うと、そんなのはしょっちゅうだから。

 しょっちゅうどころか、日常茶飯事。

 一日で十本は酒瓶が割れている。

 ひどい時だと、窓ガラスが割れたりすることもある。

 誰が酒瓶を割ったり窓ガラスを割っているかと言うと、私のお母さんの神原紫と、お父さんの神原修。

 両親は、二人ともそろって精神異常者。

 そのうえアルコール中毒者ときている。

 割とひどい家庭環境だと思う。

 当然朝ごはんなんか作ってくれないから、二人の目を盗んで財布を取って、途中のコンビニで買うしかない。

 あんまりお金を使いすぎるとばれるから、オニギリくらいしか買えないんだ。

 中学校に通えてるのが奇跡みたい。

 お父さんとお母さんは、私が中学校に上がるまでは、どこにでもいる、普通の優しい両親だった。

でもある日、突然人が変わったんだ。

 きっかけは……、何だったかな。

 確かあれは、私が中学に入ってから初めてテストを受けた時。

 その時お腹が痛くて、数学の結果がひどかったんだ。

 元々数学は苦手だったけど、小学生の頃は基礎を学ぶだけだったから、まだ80点とか90点とか、たまに100点も取れた。

 でも中学生になってから、数学の難易度が増して、授業にだんだんついていけなくなった。

 しかも、中一の数学なんてまだ序の口。

 ついていけなきゃいけないんだ。

 だから、数学は五教科の中で一番熱心に勉強していたし、予習復習も毎日していた。

 でもテスト本番になって、急にお腹が痛くなったんだ。

 私は昔から、緊張するとお腹が痛くなっちゃうの。

 そのせいだって言い訳するつもりもないけど、お腹が痛いせいでそのことばかり気にして、実力を出し切れなかったのも事実。

 そのせいかどうか、ただ単に私の実力が足りなかったか、数学のテスト結果は、五教科の中でずば抜けてひどかった。

 そのことで、お母さんとお父さんがひどくショックを受けていたのを覚えている。

 私のお母さんは、昔から完璧主義なところがあった。

 花瓶の位置はいつも決まったところじゃないと納得できないし、私が家で歌を歌っている時も、音程があってないとか、細かく指摘された覚えがある。

 でも、だからって私の点数が100点じゃないと認めないとか、そこまでひどくはなかった。

 お父さんは高校の先生をやっていて、数学科の先生なんだ。

 だから昔から、数学の宿題を教えてくれたり、テストで出そうなところを教えてくれたりした。

 そんな二人だから、私の数学の点数が今までで最低点数だったことに、ショックを受けたんだと思う。

 その次の日から、二人の様子が段々おかしくなった。

 昔に比べて暴言がひどくなったり、夫婦喧嘩が多くなったりして、私は常に怯えていた。

 そのうちに、酒瓶を割ったり窓ガラスを割ったりするようになって、私は一時期、警察に通報することも考えていた。

 でも、今のところ私に暴力を振ることもないし、酒瓶を割ったり窓ガラスを割ったりは、器物破損だけど、他人のものじゃなくて自分のものだから、罪にはならない。

 だから、警察には行けなかった。

 でも、物を割る音は毎日ひどくなっていって、罪になっていなくても、相談と言う形で、警察に行けばいいのだろうか、でも、こんなことで相談なんてできないし……。

 と、ぐずぐずしているうちに、二人は、私にも暴力を振るい始めた。

 これは、たぶん虐待にあたるんだ。

 子供を叱って叩いてしまった、とかなら、虐待にはならないんだろう。

 でもあの二人は、どう考えても私を叱っている様には見えなかった。

 狂ったようにずっと、私を叩いていたんだ。

 今も私の体には、切り傷や青あざが残っている。

 でもこうして振り返ってみると、いくら意識が高めな二人だとしても、数学のテストの点が落ちたくらいで、ここまでおかしくなるとは思えない。

 そこで私が考え出した結論が、精神異常者だった。

 つまり、二人は私を産む前から精神に異常を抱えていて、今までは何とかやってこれたけど、数学の点数を私が落としたことがキッカケで、精神のコントロールができなくなったのではないのかと言うことだった。

 調べられるものならネットとかで調べたいんだけど、生憎、私はスマホやパソコンを持っていないし、仮にスマホやパソコンを持っていたとしても、うちにはネットがつながってないから、意味がない。

 学校の授業で調べることも視野に入れてるけど、何しろ、パソコンの授業はもう終わってしまった。

 申請してパソコン室を使うことも出来るけど、そこまですることじゃないかな、と思って、いまだに踏み切れていない。

 でもそろそろ潮時なのかなあ……。

 ……潮時の使い方、間違ってる気がする。

 トントンと階段を降りながら、私は、階段の途中に飾ってある大きな鏡を見た。

 この鏡は、我が家で唯一割れていない鏡。

 気づいた時には鏡はうちにあって、お父さんもお母さんも、こんな鏡買ってないって言う。

 その鏡は、白い壁に似つかわしい赤い鏡。

 楕円形の形の全身鏡で、装飾は綺麗なんだけど、一番上に、悪魔の羽のような装飾がついている。

 ずいぶん悪趣味な鏡だけど、私は、この鏡が結構好き。

 だって、私と同じように感じるから。

 鏡には、私の姿が映っている。

 腰ほどまでの長さに伸びた黒い髪。

 私の黒い髪は、一房だけ赤色に染まっている。

 染めたわけじゃないよ。

 天然らしい。

 電気の付いていない暗い廊下に、私の黒い目と、赤い目が光っている。

 私、オッドアイなんだ。

 オッドアイって言うのは、左右で色が違う目のこと。

 ほら、猫の目とか、たまに片方が黄色、片方が黒、みたいなことあるでしょ?

 それと一緒。

 人間のオッドアイなんて聞いたことないけど、実際自分がそうなんだから、認めるしかない。

 もちろんこれも天然。

 バチッ。

 今は壊れてしまったけれど、昔は煌々と光っていた電気が、火花を発した。

 火花で一瞬光った鏡に映った私の目は、赤と黒のはずなのに、その時だけ、両目が赤に見えた。

読んで下さりありがとうございます。

ちなみに、主役の神原紫織は、「かみはらしおり」と読みます。

ルビをつけると変な感じになったので、基本的にルビはつけません。

ご了承ください。

今回はありませんが、シリーズ化する予定なので、後々グロイ描写が出て来ます。

それが大丈夫だと言う方は、完結まで見てくださるとうれしいです。

それでは、読んでいただきありがとうございました。

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