MoI
作者コメント
物語を作るのには創造力、もとい想像力が必要なわけですが、これも度が過ぎれば恐ろしい怪物になってしまうものでして
そんな感じの物語たちです
「腹を立てた私は」
落雷の音。一筋の煙。震える手。赤い花。二つのガラス玉。人形が一つ。
「あくる日の朝」
衣擦れ。カーテンの隙間。朝の陽ざし。何かを焼く音。いい匂い。
「バイト中」
怒号。注目の視線。握られたグラス。瞑られた目。ハイヒールの音。
「朝目が覚めたら」
伸びた手。響くベル。押されるスイッチ。開かれた目。見えなくなる目。
「月の下で」
二人の男。大きな穴。水袋が落ちる音。スコップ。立ち去る足音。
「対談中」
開くドア。耳打ち。閉じるドア。歪む唇。電話の音。
「夕日の中で」
振り向く女性。笑顔の男性。水しぶき。波の音。
「画面の向こう」
座椅子に座る男性。電灯の明かり。キーボードをたたく音。踊る文字。さざめく物語。
想像。創造。私の、物語。