表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/27

14

 この5年で、ゲーム通り悪役王女ヴィクトリアは腹黒宰相子息と婚約した。

 ゲーム通り政略だが、ゲームと違い2人の仲は良好らしい。それもこれも、2人の性格が大きく違うからだろう。

 ヴィクトリアは、高慢で縦巻きロールに大きなリボンをつけたキャラだったが、麗しさはそのままに、ゆるふわポニーテールで姉御キャラへと何故か変わってしまった。

 腹黒は、そう年に何度も会えるわけでは無いので隠しているだけかもしれないが、何故か普通に爽やか好青年へと成長した。

 町内会の爽やか青年部リーダーと、リーダーをしっかり支える姉さん女房と言う感じだ。

 まぁ、年齢的には腹黒もといリーダーの方が2歳年上なのだが。

 

 ヴィクトリアの髪型が変わったのも謎だった。いつものように、公爵家へヴィクトリアが突然現れて、オリビアとお茶をした。

 その時、そろそろ年齢的に縦巻きロールと大きなリボンってどうなんだろう?とオリビアはふと思った。

 そうしたら次の日、またヴィクトリアが現れて、髪型が変わっていたのだ。

 それから来る度に髪型が変わり、ポニーテールの時に“小顔だから何でもないポニーテールも麗しい“とオリビアが思ったら、それからずっとポニーテールのままなのだ。

 声に出したつもりはなかったが、きっと顔に出ていたのだろうとオリビアは恥ずかしくなった。


 実際は、頭の花が目をハートにして花を飛び散らせていたのだが、オリビアは知らない。


 脳筋は、ゲーム通り安定の脳筋だった。


 エリックはゲームと違い、リリアンと婚約した。

 2人は、あの10歳のお茶会以降手紙を交わし、年に1度の公爵家にお泊まりの際も大変仲睦まじく、婚約はごく自然な流れだった。

 エリックは、相変わらずのシスコンわんこキャラだが、婚約したことで婚約者溺愛キャラまでプラスされてしまって、もう何が何やらでオリビアにはお手上げだった。


 エリックの婚約は、次期公爵の婚約として発表され、貴族社会に激震をもたらした。

 公爵夫人の実子であるルーナが婿を取り、公爵家を継ぐものだと誰もが疑わず、愛人の子供としてエリックは遠巻きにされていたのだ。

 そんな中、次期公爵として発表されたものだから、同年代の貴族令嬢達にその親達の反応はすさまじかった。

 婚約発表をしたにも関わらず、婚約話が殺到したのだ。絵に描いたような手のひら返しである。

 もちろん、全て即日お断りした。


 勇気があるのか礼儀がなっていないのか、どうして我が子ではなくエリックを公爵家の跡継ぎにしたのですか?と夜会で公爵夫人に聞く強者まで現れた。

 公爵夫人はポカンとして、どうして男の子がいるのにわざわざ娘に婿を取らせる必要があるのですか?と素で聞き返したそうだ。

 その事で、公爵夫人の株はうなぎ登りで、聖母だの女神だの言われて崇められている。

 

 それに引き換えオリビアは、王宮主催とアプリコット家主催のお茶会にしか参加しないレアキャラな上に、何を考えているのか全く読めない微笑み、口を開けばちょいちょい出る毒舌に、あまりいい印象は持たれていなかった。

 いや、むしろ怖がられるか、年上の者からは高慢だと眉をひそめられた。

 オリビア自身は、やっぱり悪役令嬢だから嫌われキャラなのね~と、さほど気にしていなかった。

 まぁ、公爵邸に引きこもっていて、滅多に人に会わないから、あまり実感がないのかもしれない。


 レオンハルトは、ゲーム通りザ・王子様キャラに成長した。

 ただ、オリビアと2人になると、手を繋いだりといささか距離が近い気もするが、何か言おうとしても爽やかスマイルで見つめられるので、これが普通だと思っているのかもしれない。

 ゲームと違い、オリビアとレオンハルトの仲は良好なように思われる。

 今日も今日とて、こうして公爵家の庭園で2人きりのお茶会である。

 

「オリビアももうすぐ入学だな。分からないことがあったら、何でも聞くんだぞ。そして2年後、オリビアが卒業したらいよいよ「お姉様~!」ちっ!またか!」


 オリビアの胸にピンクの髪の可愛らしい天使が飛び込んできた。


 “ああ、私の妹はなんて可愛いのかしら!天真爛漫で、まるでルーナがヒロインみたいね。

 あら、でもさすがにそろそろレオン様とのお茶会に乱入してくるのは、やめさせなきゃいけないわよね……”


 頭の花も、目をハートにして花を撒き散らせていたが、はっとなって思案顔でうんうん頷いた。


「ルーナ、殿下の前ではしたないですわよ?お茶会中に飛び込んでくるなんて……貴族令嬢らしからぬ行いですわ!

 レオン様、妹が申し訳ありません」


「いや、気にしなくていい。ルーナは今日も元気だな」


「レオン様もいいって言ってくださいました!お姉様~、お勉強で疲れたのでよしよししてください!」


 そう言って、ルーナはオリビアの豊満に成長した胸にすりすりした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ