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エピソード7 彼女は女王

「ごめんごめん!まさかえんちゃんがあそこでバイトしてて、女の子とデート中だったなんて思わなかったんだもん。電話でえんちゃんのカード借りていいか訊こうと思ったんだけど、出なかったし」

「それはもういいっすけど・・・まさか本当に、その・・・例のDVD借りたんじゃないですよね?」

「借りようと思ったんだけどいいのがなくってさー。結局やめたの」


 俺はほっとしてため息をつく。まさかバイト先で、自分のカードを使ってAVを借りられたらたまったもんじゃない。

 しかし、次の足立さんの一言で俺はまた焦ることになる。


「わざわざお金かけなくても、えんちゃんに頼めばただで借りてこられるってわかったし」

「嫌です!!それだけは勘弁してください!」


 足立さんは俺をからかうようにして笑っている。その表情はとてもかわいくて、今日レンタルDVDショップで感じた言いようのない感情を思い出させた。

 なんだったんだろう、あれは・・・


「さーて!今日徹夜で原稿完成させて、私も学校行かなきゃなぁ〜」


 その言葉に俺はふと疑問を感じた。


「学校って・・・足立さん何歳なんですか?もう大学は卒業したんでしょ?」

「レディーに年齢を訊くなんて・・・えんちゃんデリカシーがないよ。でもまぁいいか、24歳のぴっちぴちの大学院生だよーん」

「えっ!?ウチの大学院に行ってるんですか!?」

「そうだよ、言わなかったっけ?」


 初耳だ。ひょっとしたら以前大学構内で見たことがあるのかもしれない。それを考えると少し新鮮な気持ちになった。


  ・・・・・・・・・・


 翌朝、俺が目を覚ますとすでによっちゃんが来ていて、机に突っ伏して寝ている足立さんにタオルケットをかけているところだった。

 俺が近づくと、よっちゃんはこっちに気づいて小声で囁いた。


「おはようございます。朝から勝手にお邪魔してすいません」

「いえ・・・できたんですか?原稿」

「はい。先生がさっきまで徹夜して完成させたんです。今寝たばっかりだからどうか起こさないでくださいね」


 眠っている足立さんの横顔が見えた。変態じゃなかったらすごくモテるだろうに、大学院ではどのように思われているのだろうか。


 その後、よっちゃんは朝イチで原稿を届けるためにすぐに出て行ってしまい、俺は自称・天才漫画家を起こさないように静かに朝食をとった。


  ・・・・・・・・・・


 その日の昼、俺は食堂でいつも一緒に食べているサークルの友達を探すと、ちょうど金髪に近い髪の色をした頭が見えた。

 誰から見てもちゃらい男だったが、俺はためらうことなく近づいていく。


「よー間宮」

「うぃーす」


 明るい髪の毛を割と長めに伸ばしているので、こういう系統の人間が苦手な人には近寄りがたいだろう。加えて、愛想笑いのしない男だからより一層孤立してしまう。

 だけど、話してみると結構庶民的な男で、俺はそういうところが話しやすくて、たぶんサークルの中で1番つるんでいるのかもしれない。


「佐伯さ、年上の女と同棲してるって本当か?」


 なんの前触れもない間宮の問いかけに俺は飲んでいたペットボトルのお茶を噴き出すかと思った。

 誰にも言ったことがないのに、なんで知れているんだろうか・・・


「なっなんで・・・」

「いや、川田たちがそんなようなこと言ってたから・・・なんかお前んちから女が出てきたとか」

「はぁ・・・まぁ、話せば長くなるんだけど――・・・」


 ふと、そのときあることに気づいた。


「なんで年上だってわかるんだ?」

「だってあれだろ?噂の・・・ウチのサークルの女王」

「は・・・?ごめん、なんの話かわかんない」

「知らねぇの?ウチのサークル、昔めっちゃ強い女がいたってこと。名づけて『ミステリーの女王』その人だろ?同棲してんの」


 俺たちが所属するサークルはミステリー同好会。人数も少なく、そんなに活発なサークルではなかったが、それでも俺はこんなアットホームなカンジが気に入っていた。

 だけどなんだ?そんな空気に相応しくない女王って言葉は?


  ・・・・・・・・・・


 だけど、俺はそれを身をもって体験することになる。

 俺たちはその後、川田がいるかもしれないサークル室に向かった。もちろん、ミステリーの女王についての話を聞くためだったのだが・・・それをする前に、すでに本人が現れていた。


「よっ!えんちゃん。まさかサークルの後輩だったとはね」


 ミステリーの女王が・・・・・・

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