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#8 東京

▼東京


 その頃の雅樹達一行は、羽田で飛行機を降り、そして、浜松までモノレールを使い品川まで出た。そして、今度は品川から新幹線に乗り込むと、当てのない西へと目指すこととなる。

「やけに人が多いの〜これが日本の首都圏か?」

 泊は今までこんなに人を見たことが無いため、思わず出た言葉であった。

「これでも、人は少ない方ですよ?」

 雅樹は、平然とそう言ってのけた。

「空気がよどんどるし、良い環境とは言えんのう〜」

 確かに、北の果て。択捉島で育った泊としてはそう思うだろう。しかし、雅樹にはこれが普通である。逆にしっくり来るのだ。繁栄と腐敗の街東京。それが心地良い。

「あたいには、その様子が見えないのですが?でも、息苦しいですわね」

 とはよし乃の言葉。そうだろう。恐山の聖域に居た彼女には感じるはず。泊は思った。自分とそう変わらない自然と触れ合っているよし乃。だけど、

「こういったのも、良いものですわね?」

などと言い始める。

「人と触れ合うのには好都合ですわ」

 そうかも知れないが……意外な一面があるなと思う。排他的なイメージを彼女に抱いていたから。

 旅はこれから始まる。新幹線の中、三人は座席を互いに向け合いそして座った。

 雅樹は何を考えているのか?また、胸元のロケットを握り締めるかのようにしている。

よし乃は真っ直ぐ前を見ている。それが、泊に向けられていたから、一瞬ドキリとしてしまった。眼が見えないのは知ってはいるのだが、気にならないなんて事はやはり無い。そして、まるで一瞬心の中を見透かされてるような気分になり思わず目をそらした。どうも苦手かも知れないなと思った。

 その後、三人とも何も話さなかった。ジッと黙ったままだった。

これが旅の始まりであり、過酷な使命の下に生まれた者達の序章でもあった。

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