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眠る世界  作者: 846u1
8/11

答え 8/10

長い廊下を女が歩いていた。

規則正しい靴音が響く。


歩みは止めずに、長い髪を揺らしながら、女は手元の書類に目を通す。

向かう先の人物の現状を確認する。


長くはもたない、という言葉がついて回る相手は、最初にその言葉を告げられてから3年ほど経過していた。

その期間を引き伸ばしたのが女の手腕によるものなのか、相手の執念なのかはわからない。

ただ、事実として、長くはもたないと言われつつ、意識のある状態で今を生きている。

治療と言う名の実験を引き受ける人物と言うことで、女は相手に会った。

そしてさまざまな確認をし、治療を行った。

それが相手にとって最良だったのかはわからない。

ただ、女は最善だったと思っている。


顔を上げ、俯いてずれてしまった眼鏡を直す。

突き当りは暗い。

長い廊下はそのまま光のある場所から影を落とす場所へと繋いでいる。

扉を叩く。

ノックに応える言葉がかすかに聞き取れる。

扉を開く。

病室にふさわしい微かな薬品のにおい。

ベッドに横たわるのは病人として間違いのないやつれた身体の相手。

ただし、目だけが爛々と女を見ている。

その相手を前に女は眼鏡を押し上げ、告げた。


「治療の時間だ」

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