答え 7/10
次期宮廷魔術師長という肩書きをつけられた少年に出会ってから1年。
それは、数多いる宮廷魔術師の中でも突出した少年の才を見込んでたたき上げた期間とも言う。
現宮廷魔術師長として自分が教えることはすべて教えた、と思う。
もちろん事務手続き上のことは引き続き側役がやるだろう。
心構えだけは形成できたと思うと言う意味で。
これでやっと職務という名の拘束が無くなる。
友人や側役には「好き勝手に研究できる」と言ってはいるものの実際には何をしようか。
響くノックの音。
はぁい、と気の抜けた声を出せば恐る恐るといったように扉が開く。
相手は1年だけの自分の生徒。
待っていたのよー、と声をかける。
片付いた部屋に生徒は驚いている。
俯いていることの多かった生徒に、用意した物をみせる。
「そんなに顔を見せたくないのなら、面をつけてればいいのよ」
あなたの力がわかれば多少の奇行も許されるわよ、と続けながら生徒に白磁の面をつけてみる。
「うん似合ってる」
肌も白いしローブも白いしやっぱり白い面で統一しないといけないかなと思ったのよねー、彼女は楽しそうに笑う。
「じゃあ私はそろそろ行くから後はがんばりなさい」
ぽんぽんと頭に触れてひらひらと手を振る。
部屋の中には仮面をつけた生徒が残された。