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ジーニアス・サマー⑤

 翌朝、ライラは研究室にデータを纏め、立体投影で機体の破損部分から強化すべき点をリストアップした。

 手を動かし回転させて、半透明な機体の立体映像を眺めながら思案する。


 今回の失敗点において最も重要なのは、グラル・リアクターの出力……及びスラスター類の推進力と脆さ。それから、フレームの増設だ。


 スラスター類はティオが新たに錬金し、試行錯誤してくれているので後にして……フレームの構造に関して、ライラは頭を悩ませていた。


 言うなれば、人体の何処かに骨を追加して強靭な体に変えるようなものだ。ぶっちゃけ最難関な箇所とも言える。


「ここをこうしても……駄目だな」


 朝から2、3時間、立体映像を駆使してフレームの増設と稼働のシュミレーションを繰り返していたが……これでいいという確証がどうしても湧いてこない。


 そんな時だ、ふとライラの脳裏に1人の後輩が浮かんだ。

 ……自分が詳しくないのなら、恐らく知り合いの中で最も骨組や人体の構造……のみならず、鎧など人型の物に詳しい人を呼べば良いのではないか?


 そう思ってからの行動は早かった。ライラはポケットから携帯端末を取り出し、ある人物へとコールをかけた。


 数秒のコール後、相手は出てくれた。そして相手が口を開く前に畳み掛けるように口を開く。


「おはようレイア。突然で悪いんだが……今日から暇? 私の家に泊まりに来ないか?」


 電話の相手……レイアは、電話の向こうで少し嫌な顔をした。『今日から暇?』の部分に少々不満を……いや、言葉にし難いが何故か琴線に触れイラッとする。


『僕は友達が少ないからね、確かにこの先ずっと……ずーっと暇だよ先輩。だから……その御誘い、快く乗らせてもらおうじゃないか』


 苛立ちつつも誘いは嬉しかったレイアは、皮肉を込めてそう返答したのだった。レイアの軽い棒読み口調に、ライラは苦々しい笑みを見せながらも「待ってるぜ」と伝えるのだった。


……………………


 召喚魔法において、人体の構成を知るのはとても大切な事だが……そんな中でも特に意識しなければならない箇所がある。それは『関節』だ。例えば西洋甲冑をあげてみよう。甲冑に人が入った場合に素早く動くためには何処を削り、どのように関節を作るか……どの部位の装甲を強化すべきか、武器を持たした場合の重心など考える事が倍々に増えていく。


 だから使う人が少なくなっていったのだが、まぁそれは置いといて。後のメールで、ライラが欲しいのは自分が召喚魔法で最も得意とする《戦乙女》や《西洋鎧》などの構築に関する知識と理解だと察したレイア。単純に誘ってくれた訳ではないと知り思う所が無いとも言い切れないが……しかし、まぁ楽しそうなので別に拗ねたりはしなかった。


 レイアはパパッと準備を済まし、荷物を詰めた軽いリュックを持って学生寮を出る。電車を乗り継ぎ、揺られながら景色を眺めた。軈て景色の街並みは、都心のコンクリートジャングルから海沿いの密集都市へと姿を変えた。


 1時間程揺られると、目的地の駅に到着する。駅から降りグッと肩を伸ばしながら移動を開始した。


「……海沿いで大きな建物って言ってたけど」


 ライラから送られてきた地図を見ながら、海岸沿いを歩いていく。夏の日差しに照らされた砂浜と海は、キラキラと輝いていて美しい。更に、海から流れる涼しい風に煽られ意外と心地良かった。


(良い立地に住んでるなぁ。お金持ちって聞いてたけど……)


 携帯端末を操作して、送られてきた地図の他にもライラの自宅らしい家の写真を見る。円柱形の独特な形をした建物は、大きさだけでもお金持ちの家だと察せられた。


(……菓子折りくらい買ってきた方が良かったかな?)


 そんな無用の心配をしながらも歩みを進めていたレイアだったが、ある人物が防波堤に腰掛けているのを見て足を止めた。


 ローブを着た女性だ。ローブ越しに分かる程に胸の膨らみがあり、体格のしなやかさやスタイルの良さはローブ越しでも抜群だと分かる。


 それから毛先をゴムで纏められた、磨かれた黒曜石のような艶のある長い黒髪が、風に吹かれて不規則に揺れていた。


 それだけならば、まぁ古風な格好をした一介の魔法使いか怪しい不審者くらいとしか思わないが、しかしレイアが足を止めた最もな理由が一つあった。


 彼女は、見覚えのある『狐の面』を付けて素顔を隠していたからだ。


 その面を自分も持っている。

 昔とある田舎町でやっていた祭りに出店されていたものだ。木彫りの面はそこそこ高価で、しかも数が出回っているわけでは無い為に、珍しい一品と言えるだろう。


 レイアはそんな面をつけた彼女に興味が惹かれ、気がつけば初対面なのに話しかけていた。


「あの……」


 彼女はどこか遠くを見ていて上の空だったらしく、自身が話しかけると目に見えてピクンと肩を揺らし驚く素振りを見せた。それから、顔をこちらに向けてくる。狐の面の向こうから強い視線を感じたレイアは……話しかけておいて、続く言葉が思いつかず、たじろいだ。


 こちらに向けられた視線がどうにもむず痒い。直感でしかないが、まるで孫娘を見るような生暖かさを感じる。何故に。


 互いに沈黙し、1秒が長く感じる中……先に沈黙を破ってくれたのは仮面をつけた女性だった。


「……すまない。知り合いと……そう知り合いと似ていてな。つい見つめてしまった」

「知り合い、ですか?」

「とても……とても古く、そして大事な親友だ」


 くぐもった声からは、重くのしかかるような寂寥感が込められているように感じて、レイアは次の言葉をかけ損ねる。言い方からして、誰か亡くなった人と自分を重ねて見ているのだろうか?

 こういった場合何と言うのが礼儀だっただろうかと頭を悩ませるレイアを他所に、女は顔の向きを海に戻すと、静かに言葉を紡いだ。


「寂しさを感じる時に、私はよく1人で海を見るんだ。広く母なる海原は、私が犯した罪を赦してくれる気がしてね。まぁ……貴方にはどうでも良い事だな。すまない、ただの独り言だよ」

「えっと……」

「無理に何かを言わなくても良いさ」


 女は諭すように言う。優しい声色に、どこか親愛のようなものを感じるレイア。


「きっと、ここで巡り会ったのは『偶然』なのだろう」


 楽しそうに、女は言った。その仕草や話し方に親近感を感じ……はて、何処かで1度出会っただろうかとレイアは記憶を探るも、やはり誰も思い浮かばない。


 筈だった。


 ……該当する人物はいないと思っていたのに、何故か黒髪という共通点だけで、親友で最近会っていないリアの顔が脳裏に浮かんだ。


 なんでだと浮かない顔のレイアに、女性はは早口で捲し立てるようにこう言った。


「……海には大きな試練が眠っている。我々の理解が及ばぬ存在は常に愉悦を求めているからな。気をつけたまえよ少女。……時間だ」

「へ?」


 言葉の意味を考えようとした瞬間……刹那の一時の間に、女はまるで夏の陽炎の如くその姿を消してしまった。


 まるで幻だったかのように左右何処を見ても、海に向けて笑顔で駆ける子供達や、住民らしい大人の姿しか見つからない。ローブの女性など、最初からいなかったかのように、皆が此方へ視線を向ける事はなかった。


 彼女は誰だったのだろう。この夏の日差しの元、あんな暑苦しそうな黒いローブを纏いしかも仮面を付けていたが……


「まさか幽霊だったり? ひょー」


 夏にあんな格好をするなんておかしい。例え魔法使いでもだ。

 そんな考えが連想して、最後にまさかの可能性を想像してしまい、レイアは1人身震いした。その後、忘れるように早足でライラの家に向け歩みを再開するのだった。


…………………


 レイアが立ち去ったのを遠くから見送りローブの女性は一つ、肺の空気を吐き出して、湿った夏の空気を吸い込んだ。海に近いが故か潮の香りを感じ精神が落ち着く。


「あの時、あの場所で……彼女に再び出会えば助言や助力を頼めるかもと思ったが。無理そうだ。因果が歪んでしまう。それに……レイア、君が私の知る世界よりも早くに来たという事は、きっと『分岐点』まで手を加える事は不可能なのだろうな。これも……リアが《剣》を捨て《籠手》を手に入れた結果か」


 ローブを手で払うと、女の足元の空気が蜃気楼のように揺らぐ。

 今日は特に陽射しの強い日だ。しかし、その陽射しは女の影法師を地面に浮かばせる事はない。


「やっぱり、少し早くに来すぎたらしい。先輩は時々、適当な人だったからな……送る場所を間違えたって仕方がないか」


 面の奥で、女は数年ぶりに笑えた気がした。

 しかし、彼女の顔を観測した者はいない為に、本当に笑えていたのかは誰も分からない事だ。


「さて、リアが『掴む為の手』を手に入れた。小さな変化だが、だからこそ世界に修正されず着実に『真実』が変化している。準備は万端……最後は私が一発かましてやるだけ。それまで保ってくれよ……私の命よ」


 胸元で拳を握りしめながら、苦苦しく女は呟いた。


……………………


 少し街中から離れた場所に、ライラの家はあった。


 海辺の高い丘の上にある家は、土壌の緩そうな大地かと思われがちだが、この家は一味違った。全てが鉄骨で補強してあり、余程大きなハリケーンでも来ない限り崖が崩壊する事は無いだろう。

 更に並行してプライベート専用らしき砂浜も完備されており、庶民感覚のレイアは足がすくむような思いだった。


 それでもなんとか家の前まで辿り着き、城門のような鉄格子の扉横に配置されたチャイムを震える指で押す。すると家主は一拍の間で応答してきた。


「来たか後輩!! まっ、勝手に入ってきてくれ。玄関は開いてるぞ」

「開いてるぞ、って言いますけど。まず門が閉まってるんですが?」

「みんな飛び越えて入ってくるから閉めてたの忘れてたぜ。飛び越えて入ってくれ」

「意味ないですねこの門」

「だいたい、門なんざあっても意味ねぇよ。このご時世だしな!!」

「確かに」


 ライラの言葉に納得するレイア。魔法使いの多いこの連合国で、本気の防犯対策をするならば、物理的な門よりも結界などの方が防犯効果があるだろう。そんな訳で、レイアは一つ頷いてからマイクに向かって一言発した。


「では、勝手に入りますよー?」


 了承の否は確認せずにレイアは短距離の《門》を開き鉄格子の向こう側に渡った。門を通る為に《門》の魔法を使う……中々に皮肉が効いているのではないだろうか。


 なんてしょうもない事を考えていたその時だ。「ジリリリリリッ!!」と侵入者を知らせる、警報らしきサイレンが鳴り響いた。


「切っとけよ!!」


…………………


 警報が鳴り響いているのにご近所の方々が全く通報する気配が無い件について聞いたところ……


「この近辺の住民の方々は何が起きても(またか)としか思わないようでな」

「訓練されてやがる……」


 一体、日々どれだけの迷惑を振りまいていればこうなるのだろうかと思い、口の端を痙攣らせつつご近所の方々に同情した。


 それから部屋に案内される。

 広い吹き抜けのリビング、そのデザインに感嘆したり、高価そうな革のソファの上でグデっと寝ていたティオと軽く挨拶を済ましたりしてから、鞄を置きに寝室に入る。


 寝室は少々手狭で、角に大きなベッドがあり、クローゼット前には幾つか服が乱雑に投げ捨てられていた。言い方を変えれば、整理整頓された他の部屋よりもここが1番生活感があるとも言える。


 ……あれ、何故生活感があるんだ? とレイアは疑問に感じ


「シーツも皺くちゃだし、誰かここで寝てるのかい?」


 鞄を置きながらライラに問う。ライラはなんて事のないようにサラリと言った。


「注文しているベッドがまだ来なくてな。今は私とティオが一緒に寝てる」

「い、一緒に!?」

「……? なんだ、変な事言ったか?」

「いや変じゃないと思うけど……って、なら僕もここで寝るのかい!?」

「そうなるな。嫌ならリビングのソファでもいいが……」

「ならそうさせてもら……」


 ライラの提案に即、乗ろうとしたレイアだったが、しかし次に出てきた台詞で考えが180度変化する。


「最近、夜になると物音が酷くてなぁ。もしかしたら幽霊かなんかが……」

「実は僕、ソファでは眠れないタチだった」

「実は私とティオもそうなんだ。一緒だな」


 レイアの変わり身の早さにライラはふふっと笑い、笑われた彼女はサラリと横目で視線を逸らした。それから、ライラは「さて」と前置きしてからレイアに部屋の外へ出るように促した。


「最後に……君を呼んだ理由、それをお見せしよう」

「大仰に言ってますけど、本当に何用で呼んだんですか?」

「見りゃ分かる、行くぞ!!」

「ま、まってください先輩!!」


 眼鏡を光らせ、無駄に長い廊下を駆けるライラの背を、レイアは必死に追いながら移動するのだった。


……………………


 そこは、研究室や工房と呼ぶには余りにも……素晴らしく圧巻されるような光景だった。最新機器は勿論の事、周辺には立体投影された様々なモニターや立体投影がオブジェクトの如く無駄に無駄な数が配置され、サイバーパンクっぽさを演出している。


 そしてその中央に位置するのは、『シストラム』の1/50サイズの立体投影の模型。まるでこの部屋はこの『シストラム』の為だけに存在しているとでも言わんばかりの堂々とした存在感だ。

 まぁ、実際その通りで、この部屋は『シストラム』関連のあれこれが根幹となっているのだが。


 そんな部屋を見たレイアの、最初の感想はといえば……。


「これは……ヒェ、見ちゃダメな奴では……」


 魔法使いとしての腕を除けば、一般市民であり庶民であるレイアにとって、この部屋は重要機密の宝庫に見えてしまう。「凄い」や「カッコいい」といった感想の前に、見ちゃいけないモノを見てしまったかと、恐怖心が先に浮上した。


 それを表情で察し、分かった上でライラは悪ノリする。


「見てしまったか。我が社の重要機密の数々を」

「そ、そんな先輩がここに連れて来て……」


 言い訳をしながら震えるレイアの肩に、ポンと優しく手を置くと。


「これで……君を簡単に帰すわけには行かなくなってしまった。クックック、こうなったら我々の研究に付き合ってもらうしかない」

「僕に何をさせようっていうんだ!!」


 怖がりながらも強気な姿勢のレイアをみて、ライラは加虐心を燻られ(可愛いなぁ)なんて思いながら口を開いた。


「ロボット作りだ!!」

「……はぁ?」


…………………………


「すげー」


 その後勘違いの数々を説明してもらい、別に重要機密でもなんでもないと分かったレイアは、研究の数々に驚愕しながら研究室を見てまわる。そして最後に中央に置かれた『シストラム』の投影機と『グラル・リアクター』……の前に置かれた無線充電器の上で眠る小さな機械人形に目を向ける。コレが、さっきライラ先輩が説明してくれたオートマトンの『ティガ』なのだろうと当たりをつけ、マジマジと観察した。


(時々、寝返りもうってる。可愛い)


 小動物的な可愛い外見に心を惹かれ、レイアは無意識にその小さな頭を人差し指で撫でていた。すると突如目がパチリと開きティガは起きる。そして突然の起床に驚くレイアを一瞥すると口を開いた。


『寝ている少女の髪を撫でくりまわすとは……気持ち良いのでもっと撫でてください』

「喋った!?」

『はい、世界最高妙の天才であられるマスターが作った人工知能ですから。会話くらいできます』


 レイアがライラに向けて確認の視線を送ると、清々しいドヤ顔でグッと親指を立てて返してきた。先の話では半信半疑だった『考える人工知能』の話が本当だったのだと……素直に心の中で研究成果を拍手喝采で賞賛した。

 あとティガは予想の何倍も可愛らしかった。


 そんな訳で撫で撫でを強請るティガに応えて、頬や頭を撫でながら思わずにやけていた時だった。唐突に思い出しかのようにティガは目を細めながら口を開いた。


『ところで貴方は誰ですか?』

「僕かい? あぁそういえば自己紹介がまだだったね。僕は『レイア・ヨハン・フェルク』。ライラ先輩の後輩だよ」

『レイア様、ですか。了解です、大事なお客人として新規、顔パスにて認証登録します』

「え、ありがとう?」


 そうして、レイアがライラ邸を歩き回っても、防犯の警報が鳴り響く事は無くなったのだった。


…………………


「よし、じゃあ挨拶やら部屋案内やらが終わった所で本題だ」


 手を叩き視線を集めると、ライラは説明の続きを始める。


「私とティオが先日、魔力を元に電気エネルギーを増幅させる『リアクター』とロボットを作った」

「サラリと何気に凄いこと言ってますね……まっ、理論とか説明された所で解らないんで続きをどうぞ」

「実は試作1号機のロボットは飛びはしたんだが、空中でぶっ壊れてなぁ。レイア、君に助言を頼みたいんだ。知識として召喚魔法のノウハウを教えてくれ、頼む!! 開発メンバーに君の名前も加えるから!!」


 先程からの態度とは打って変わり、両手を合わして媚びを売るように願うライラに、少々勢いを削がれつつもレイアは快く了承した。


「別にメンバーに加えなくても結構ですけど、僕が力になれる事なら出来る範囲で」

「っ!! そうか、ありがとうな!! 機体構造で何処が悪いか、修正点を助言してほしいのだが……」

「先輩の言うロボットって、この空中に浮いてる立体映像の……?」

「あぁ」


 ライラがサッと手を振ると、機体の立体映像の周辺に文字情報が詰め込まれた小窓が多数展開される。その一つに大きく『機体名:シストラム』の文字が前面に浮かんだ。そこから(機体名、気に入っているんだなぁ)と心の中で微笑ましく感じつつ。


 レイアは細かい理論は良く分からないが、どうやら《召喚魔法》の知識は多少役に立ちそうだと思い、頑張って見回していった。そして一言、当たり前のようでライラやティオがパッと気がつかなかった点をあげた。


「サスペンション(衝撃を吸収する機構)が足りないのでは? この構造だと、そりゃ空中じゃ耐えきれずに壊れますって。 あとはメインスラスターですが……固定箇所を増やして安定を図るのはどうでしょう? 首回りや背中全体で衝撃を逃す感じで……って、これならサスペンションを増やすだけでもいいか? ……あれ、先輩?」


 黙りこくって聞いていたライラの目は点になっていた。

 『衝撃を吸収、又は逃す機構が足らない』。それは、まさに目から鱗な助言だった。


「成る程……盲点だった。よっし、ならばまず大型のバネを作るとしよう!!」

「錬金術でいいなら、模型くらいは作れますよ。鉄鉱石とかあります?」

「あるぞ、頼んだ!! よしっ、やるか!!」


 その数分後、ティオも研究室にやってきた事で、3人はあーだこーだと『シストラム』の改良を進めたのだった。

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