38話 使い方次第でとんでもないスキルに化けます
洞窟の複数の場所で一斉に光は爆ぜ天井が落ちた。
当然洞窟内に潜む生物の全てが生き埋めとなる。
「やっぱ生成って便利だな」
洞窟の天井の崩落を引き起こした犯人の俺とリンは作業中だ。
俺が生成を行使して壺の様な俺オリジナルの植物を生み出し、リンがその植物に大量の魔力を流し込み異空間に収納する。
「よく思いつくわよね」
「まあね」
洞窟を出た俺達はまず初めに生成という新しいスキルについて調べた。
その結果、俺の生成した植物は一定のダメージまたは生成時に宿した魔力が尽きると死に絶えるようになっていて、生成時に宿した魔力量に比例して植物の耐久値が決定するようになっていることが分かった。そして、実験がてら俺が小さな魔力で生成して後からリンが魔力を供給させても耐久値が上がらない分かり俺はあることを思いついた。
「よし、完成」
「じゃあ早速やるね」
リンは空間魔法を駆使して一度探索した洞窟内のあちこちに俺が生成してリンが魔力を流した植物を召喚する。
「完璧よ」
「よし、じゃあ次にこれをその召喚した植物の三メートルほど上に召喚してくれ」
俺はそう言いながら、地面から先端の尖った大樹を数本生やし、それを切り取ってリンに渡す。
「任せて」
大樹を渡されたリンは直ぐに俺の指示通りに召喚させた。
すると、洞窟内から轟音が響く。
「ちゃんと作動したみたいだな」
ん? 何が起きたかって?
仕方ないな、説明しよう!
壺の植物の上から尖った大樹を落下させて壺の植物の耐久をゼロにする。すると壺の植物は死に消滅するが内部に残り行き場を失ったリンの流した魔力は暴走し、消滅し始めている植物ごと爆散する。その結果、俺は植物ダイナマイトの生成に成功した。
「よし、次でラストだ」
俺はリンに洞窟の入口を雷光で破壊させた。
「これでもうドラゴン種は洞窟外の個体だけになっただろうな」
「ん、これで精霊種は安全になる」
ホントに頑張ったよ。
「ある程度片付いたし、村に帰りましょ」
「そうだな」
リンの提案で、村に帰り結果の報告をしに戻ることにした。
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「二十四日か……」
「そうね」
「なんか、緊張するな」
「そう?」
やっとの思いで村の前までたどり着いた俺とリンは精霊達と久しぶりの再会を果たそうとしていた。
「さあ行きましょ」
「ああ」
リンに半ば強引に連れられる。
「あ、タクヤさんとリンさん!」
「ホントだ!」
早速、子供の精霊に発見され他の精霊も集まってくる。
「お戻りになられたのですね」
「あ、ああ。ただいま」
「あの、一人がプウさんを呼びに行ったので、ここで待ってもらえますか?」
「分かった」
それから待つこと数分でプウは俺とリンの目の前にやってきた。
「プウさん、ただいま戻りました」
「戻りました」
「おかえりなさい。よく戻ってきてくれました」
プウ達は安堵しながら出迎えてくれた。
「それで、どうだったのですか?」
まあ、一番気になるところはそこだろう。
俺達が村を出たのはドラゴンを討伐するためだったのだから。
「ちゃんと結果を残してきたぞ」
その一言で周囲に集まった精霊は「おお」と声を漏らす。
「それで、何をされたのでしょう」
「洞窟に潜むドラゴン種の長を殺して、その洞窟を埋めてきた」
「「「………………」」」
ん? 変なこと言ったか?
誰もが固まり何も言わない状況となっていた中一人だけ早くも復帰し問うてくる。
「あの~そのドラゴン種の長とは一体なんなのですか?」
「えっと、白銀の鱗を身にまとい青い目の男だが」
「「「………………」」」
こいつら何なんだよ。
「なあリンよ」
「何?」
「俺って変なこと言った?」
「一言も言ってない」
「だよなぁ」
溜息混じりの声を出して一同を見る。
「なあプウさん」
「は、はい」
「戻って来てくれたか……」
「あ、すみません。びっくりしていたもので」
すみません、びっくりさせちゃって。
「それで、ドラゴンの長を殺されたのですよね」
「そうだが、俺まずった?」
「いえ、そんなことは決して」
「そうかならよかった……じゃあ、なぜそんなに驚く?」
「ドラゴンの長は神話で言い伝えられているものですので」
予言書に続いて今度は神話かよ。
で、そうなると俺はドラゴン種の神を殺したということか。
神話ではそのドラゴンの神は森を守り続けがある時、力の衰えを感じ神は意志のある人間にドラゴンの力を宿し深い洞窟に姿を消したとなっているらしい。
「その洞窟から出るときに何か目立ったものはみませんでしたか?」
「……特には無かったな。てかその洞窟は崩壊させちまったし、あったとしてももう見つけようがない」
「そうですか……」
わざわざ確認をするということはまた何かあるのか?
経験から今後の予想を立て、目立つものについて聞いてみると。
「その目立つものというのはドラゴンの鱗です」
だそうだ。
「その鱗って何になる?」
「その鱗はとても丈夫ですので魔族は高い値で買い取ると思うのですよ」
なるほどね。
「タクヤさんとリンさんはこの村を出てまた旅に出られるならお金が必要だと思いまして……」
プウはばつが悪そうな顔をして
「もっと早くに伝えるべきでした……」
と一言。
俺はそんなプウに笑って返す。
「あはは、まあそんなこともあるさ」
「申し訳ありません」
「ドラゴンの鱗と言っていいのか分からんが、代わりのものは拾ってきたから大丈夫だって」
そう言うと皆が「それは?」と言いたげな表情だったので異空間から取り出して見せる。
「えーと、神の鱗です」
「「「………………」」」
銀色に輝くそれを見た精霊達は開いた口が塞がらないといった状態に変わった。
「タクヤいつの間に」
「なんか……記念に」
数十秒くらい経ちプウが鱗を見ながら震える声で言った。
「それは絶対に売ってはいけませんよ」
「さっきと言ってること変わってるよ」
「いいですか? 絶対にですよ」
プウの急な変化に戸惑いながら首を縦にふり約束する。
「なんで売っちゃいけないの?」
と素朴な疑問を持ったリンが質問した。
「考えてみてください。神の鱗ですよ、つまり神の素材。もしも一流の鍛冶師が手にしたら間違いなくその素材で武器や防具を作ります」
「それで?」
「結果、最強の武器が登場してそれをめぐる争いが起こるでしょう」
リンは「そうなの?」と俺に聞いてくる。
「ああ、それだけじゃ済まない可能性もある」
「プウさん私達、絶対に鱗売らないから」
「ありがとうございます」
俺は異空間に鱗をしまい一つお願いをすることにした。
「話は変わるんだが」
「なんでしょう」
「俺達を今日一日泊めてくれないか? なんか疲れがどっときて直ぐにでも寝たいんだ。明日には出ていくつもりなんだが」
どうだろうか?
とプウの顔をうかがうが俺達がいちいちお願いするまでもなかったようだ。
「この村はタクヤさんとリンさんのおかげで今も存在しています。自分の村だと思って暮らしてくださいな」
その言葉を聞いた俺は集まった精霊達の顔を一つ一つ見渡して、そこに一つも迷惑といった顔をしている精霊がいないことが確認でき、感謝の言葉を告げた。
「ありがとな」
その後、俺とリンは昼の間はプウの家で休むようにと言われその言葉に遠慮せずに甘えさせてもらった。




