37話 リミッター解除
三人がバラバラに分かれて数秒。
止まっていた時間が動き出した。
「これならいけるかもしれない」
「タクヤ……ナイス」
「まだ、力を残していたか」
にらみ合う三人。最初に動いたのは俺だった。
今の俺ならリンのサポートなしのドレインで一気に吸収できる、
そう思った俺は突撃する。
「リンは魔力を回復させていろ時間は俺が作る」
「わかった」
ブラフを用意して俺の戦いが始まる。
男との間合いを詰めながら右手から大樹を生やし切りかかる。男は魔法で対応しようとするが俺の方が速い。
大樹が男の腕を弾く。本来は男の腕を貫くつもりだったのだが、ドラゴン特有の硬い鱗に守られているせいで上手く出来なかったが、それでもこの攻撃は有効だった。
男の腕を弾きその反動でのけぞった隙に地面から大樹を生やし重心のかかっている足を払い、地面に倒し声を上げさせる時間も与えずに根で男の腕、足、胴、首、尾を地面に固く拘束する。
「タクヤ、凄い」
あっという間に形勢逆転。
リンは魔力を回復させいつでも大魔法を使える。
対する男は地面に固定されていて身動き一つ取れる状態ではない。
「チェックメイトだ」
俺はそう言い男の胸に手を当て魔法を使おうとするが、
『ドラゴニック・フォース』
男が魔法を唱えると男の体が銀色に輝き拘束していた根が砕け出す。
『ドレイン』
とっさに発動を早めるがドラゴン自体の魔力が高いため、吸収に時間がかかる。その間に抵抗をされる。
男の顔が俺の方を向き、口を大きく開け魔法を放つ。
『ディオブレア』
半分は魔力を消費させていたこともあって、これ以上の魔法は使え無かったのだろう。
男の魔法は俺の胴体を消し飛ばしたが、今の俺にとって胴体を消し飛ばされることなどどうでもいい話。
男の魔法の効果が切れると同時に消し飛ばされた胴体を直ぐに生やし、しっかりと根で男を再び拘束してドレインを再開する。
「これが、敗北か……」
最後に男はそう残して、俺の養分となった。
やったか……
地面に転がるのは白銀の鱗、そこに男がいたことを意味する。
「タクヤ……」
「ああ、終わったな」
疲れ切った様子のリンと地面に座り込み戦いを振り返る。
今回の戦闘はかなり危なかった。リンが魔力解放を使っても苦戦を強いられる状況に陥ったリと、まだまだステータスを強化する必要がありそうだ。
それにしても、リミッター解除はなかなか使えるな。
未だに発動しっぱなしのリミッター解除を解きたいが、解き方がわからない。
「くそッ。まいい、取り敢えずステータスだ」
何はともあれ、ドラゴン種トップのドレインに成功した。そいつは強化された俺達を苦戦させる力を持っていたことから今回の成長はかなり期待できる。
俺は異空間からステータスプレートを取り出してステータスを確認した。
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タクヤ16歳レベル999
固有魔法:植物
筋力(——)
抗力(——)
体力(——)
瞬発(——)
魔力(——)
スキル:集中Ⅷ・魔力感知・魔力操作・多重魔法・特殊植物化・養分制御・魔力吸収・投擲・早業・高速移動・精密動作・魔力放出・生命感知・鑑定Ⅸ・感知範囲強化Ⅹ・イメージ強化・炎耐性・召喚・神の加護Ⅵ・空間指定Ⅱ・座標固定・威圧Ⅹ・部位硬質化・合成魔法・生成・生命の息吹き
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劇的なステータスの変化にはもう驚かないと思っていたが、想像の斜め上をいきやがった。
数値が消えてるし……
リミッター解除も無くなっている……
「どうなってんだよ……」
「どうしたの——あ、数字が……」
「と、取り敢えず鑑定だ」
『鑑定』
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リミッター解除:リミッターは解除されました。スキル以外のステータスの表示が不可となりました。
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合成魔法:魔法を組み合わせる
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生成:創造したものを実体化させる
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またとんでもないの増えたな。
喜ばしいはずの成長が恐ろしい。早速『生成』に挑戦してみたいところだが先にアドバイスを乞おう。
「リンよ何かを生成するのにはどれくらいの魔力がいる?」
「私の魔力の半分くらいかな」
そ、そんなにか……ならば日光の射す場所じゃないと無理だな。
一旦諦め、帰ることにする。
そこで気になったことを聞いてみた。
「リンは最初から竜族の長が出てくるの知ってるみたいだったが」
「昔読んだ本に書いてあったの。五体のドラゴンが召喚されたとき、勇者が誕生するってやつ」
「それとどんな関係があるんだい?」
「そのドラゴンは勇者とその仲間達に死闘の末殺されるの」
いい感じな物語だな。
「それで?」
「ドラゴンが死んで人間が喜び合っていると、そこにはドラゴン種最強の男が現れて世界は滅びる」
……ん? ハッピーエンドじゃないのか。
「それが今回の俺達と合っていたから、予測したのか」
「そうゆこと」
いやあ、ちょっと似てるけど違うな。
俺が殺しちゃったもんな、それにエレメント・ドラゴンはそんなに苦戦しなかったし。
「タクヤはすごいね」
「なにが?」
「世界を救ったんだよ」
なに言ってんだ?
「さっき話した内容は五年前に書かれた三十年後を予知した預言書の内容なんだけどね」
は?
「神を殺しただけはあるね」
「お、おう」
なんか俺、最強になっていってるな。
そう思ったとき、リンがすり寄ってきて口を開く。
「二十五年後の未来を救い神をも殺す未来の魔王様」
「どうしたんだよ、いきなり」
「世界一大きな城(魔王城)で生涯終えようね」
「直ぐに魔王の座を奪ってリンを幸せにしてやる」
「ん、楽しみにしてる」
俺とリンは軽く唇を重ねるのだった。




