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36話 竜種の長

 空間が歪み、そこから現れたのは人とあまり変わらない筋肉質な体格の男。

 だが人間とは違う、白銀の鱗を身に纏い長く棘のある尾を揺らめせる。青い瞳にはギラギラと輝いている、それだけでドラゴンであることを予想させる。


「ブルーアイズ……」


 海何とか社長が飛び出してきそうなドラゴン? を目の前にした俺の率直な感想はさておき、この男の放つ覇気はかなりのプレッシャーを与えるもので場の空気が氷ついているようだ。

 どうしたものかと思いこれから策を考えていると、男に動きがあった。


「お前達だな……」


 !? しゃべった! 魔物ではないのか。


「お前達だな……これをやったのは……」


 今まで魔物だと思っていたドラゴン種がしゃべるという衝撃的な光景に驚きながらも質問に応える。


「その通りだ」

「そうか……」


 男は間をおいて再び口を開く。


「我はドラゴン族を治めし者、お前達の行いはドラゴン族の敵対行動とみなした、そこでエレメント・ドラゴンに殺すように命じたがこの有様……よって我直々に死を与えに参った」


 エレメント・ドラゴン? さっきのドラゴンのことか。


 突然、説明を始める男に返す言葉も見つからず戦闘が始まる。


「死んでもらうぞ」


 男は背中から銀の翼を生やし、それ広げて高速で低空飛行し俺達との間合いを詰め叫んだ。


『ディルガルク・クロウ』


 叫ぶと男の振り上げた腕が竜化し大きくなった腕で俺達を襲う。

 それを大樹で受け止めようとしたが力負けして俺とリンは吹き飛ばされた。


 ドラゴンも魔法を使うのか……


 かなりのパワーで吹き飛ばされたが俺とリンにダメージはほとんど無い。


「今の一撃を耐え抜くとは……」


 余裕のある男は竜化した腕をまた人型に戻している。


 『雷光』


 リンは男の胴体に向けて魔法を放つが男はあっさりとかわす。


「なんて反応の速さだ」


 リンの雷光をかわせるやつなんて数人程度しかいなかったため驚愕した。


「その程度か!」


 男は口を大きく開く。


 やばいのが来ると判断した俺はすぐさま、リンに防御魔法を展開させ目隠しをするかのように地面から大樹を生やして予測される射線から逃げる。


『ディオブレア』


 男の口から放たれたレーザー状のブレスがリンの展開した防御魔法とぶつかるが数秒ともたずに破壊されそのまま壁に直撃し大爆発を起こして空間を震わせた。


「あぶねぇ」


 連発されたらたまったもんじゃない、攻撃をさけ作戦を考える。


「よくぞ、よけた。久しぶりに楽しめそうだ」


 くそ、余裕こきやがって。


「リン魔力はまだ十分に残ってるな?」

「もちろん。前に貰ったタクヤの腕もある」


 そうか……


「二人で殴りに行くぞ」


 それだけで俺の意図を伝える。

 リンは「任せて」と一言。

 俺とリンは男に向かって走り出す。


「肉弾戦を望むか」


 男は俺達が近づくのをその場で待っている。

 間合いが近づき、第二ラウンド始まった。


 今回はあえてリンを前にだし近距離で魔法を放ってもらう


 ある程度間合いが詰まり俺は魔法を使う。


 『弾樹』


 放たれた一発の弾丸は吸い込まれるように男の頭に直撃したが、男にダメージはない。


 やはり俺の魔法じゃだめなだ。


 そう確信したとき男との間合いに入った。

 男が回し蹴りを繰り出すのをバックステップで回避する。男の足が空を切るその瞬間にリンが合わせて魔法を放つ。


無限光粒砲アンリミテッドシャイニング』 


 近距離で放たれる大魔法。一つの動作の最中に別の動きをすることは不可能そこが生物の弱点となる。

 放つ距離もタイミングも完璧、目標をの全てを覆い尽くすほどの大きさで放っているため、もしもし万が一動けたとしても、体の一部には確実に命中する。


「計画通り」


 勝利を確信し、リンの大魔法が蹴りの動作の最中の男を覆い尽くすが


「その程度か」


 大魔法を生身で受けたはずの男は大魔法を受けながら接近し魔法を使う。


『テイル・ブレアス』


 男の尾が俺を真直ぐに狙う、それをギリギリでかわすが魔法を使いながら接近していた男の回し蹴りが俺の脇腹にめり込み、俺を吹き飛ばし壁に激突させる。


「タクヤ!」


 吹き飛ばされた俺に目を向けたリンの決定的な隙を男が見逃すはずがなく魔法を使う。


『ディルガルク・クロウ』


 竜化した男の腕がリンを襲い俺の方向に吹き飛ばしリンは俺とぶつかる。


「ぐう、タクヤ、ごめん」

「大丈夫だ……」


 とは言うものの全然大丈夫じゃない。圧倒的な魔力を生身で受けてもダメージが入らない。


 仕方ない……


「リン魔力解放だ」

「わかった」


 俺とリンは最終手段に移行した。


 男が動かない今しかない。この機会を逃せばもう次の手は打てないだろう。

 この判断が正しいことを信じて俺達は動き出す。


「魔力解放Ⅱ」


 リンがそう呟くと、リンの体内から大量の黒い魔力が吹き出しリンを包む。

 黒い魔力を身に纏ったリンの頭から二本の角が生えていて前に見せたときよりも強化されているのが伝わってくる。


「ほう、魔力を身に纏うとは面白いな」


 相変わらずの余裕で構える男に俺は言い放つ。


「第三ラウンドに入ろうか」


 俺がそう言い終わったときにリンはすでに男の後ろに立っていた。


『雷光』


 至近距離で光が男に放たれるが男はそれに構うことなく男はリンを殴るように魔法を行使する。


『ディルガルク・クロウ』


 竜化した男の右腕がリンを襲うがリンはそれを受け止めた。


『大樹』


 動きの止まった男の足を固定する。

 

「邪魔だ人間!」


『テイル・ブレアス』


 男の尾が接近した俺を貫くが問題無い。

 その間にリンが魔法を完成させた。


次元切断ディメンション


 リンは腕を横に払うと空間が切断される。

 いち早くそれを危険と察した男は受け止めるのではなく、全力で回避行動に専念しだす。


 縦に横に空間を切り刻んでいくリンの攻撃を翼を使い空中などに移動して回避する男。


 あと十秒も、もたないな……


 このままではリンが魔力を切らせる方が早いとふんだ俺は賭けに出る。

 立ちあがった俺はスキルを発動させた。


「リミッター解除」


 スキルの発動と同時に体から力が抜け倒れる。


 なんだよこれ……


 そう思ったとき効果が現れた。


 全身が痛みだしたかと思えば直ぐに治まる。

 何が起きたのかわからないが立ち上がると


 体が軽い、それに時間の流れが遅い?


 俺の目にはリンと男の戦闘が今までよりも遅く映っている。

 

 もっと別の効果もついていてくれよ。


 俺は期待を込めて今も攻防を繰り広げるているリンの援護をしようと移動を開始しようと地面を蹴ると。

 距離にして二十メートルはあったはずの距離が一瞬で詰まっていて三者三様の反応があった。


「早くね?」

「なッ!」

「タクヤ——」 


三人は一瞬動きを止めてバラバラに分かれた。







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