32話 生命の息吹き
プウを含めた組手上位二十名の精霊が集まっていた。
その面々は深刻な表情でこれから起こることへの不安がひしひしと伝わってくる。
「今回は黒竜ですが、いつも通り、いつも通りのやり方で追い払います。大丈夫、万全を尽くしましょう」
私は落ち着いた声音で言うが。周りの精霊から余裕は感じ取れない。
「タクヤさんとリンさんは何をやっていられるのでしょう……」
ふと呟いたときに声が響いた。
「ちーす! お疲れ様でーす」
「でーす!」
この声はと思い声のした方を見ると、そこにはタクヤとリンがいた。
怪我をしている様子は見られず。余裕すら感じる。
こんな大事な時に余裕こいて出てきて……約束はどうなっているんですか。
その様子を見て私にフツフツと怒りがこみ上がってくる。
そんな彼らに怒鳴ってしまった。
「何をしているんですか!」
タクヤさんとリンさんは驚いた表情になったが、相変わらず余裕な態度で告げた。
「黒竜を殺してきた」
え? 何ですって?
まさか……あの黒竜を殺したなんてことは。
耳を疑っているともう一度言い放たれた。
「黒竜を殺してきた」
そう言われて周りにいる精霊達は戸惑っている。
「本当ですか?」
と確認する精霊もいてそれにタクヤさんが答えた。
「ああ、本当だ。死体見に行くか? 死体と言っても骨だけなんだが」
私達はタクヤさんの後に続いて黒竜の骨を見に行くことにした。
そういえば、いつの間にか黒竜の暴れる音が聞こえなくなっている……本当だったのね……
「ここだ」
タクヤさんは立ち止まり、これが元黒竜ですと伝えた。
そこには体の半分くらいが地面に埋まったドラゴンの骨がある。
その異様な光景に様々な反応を示す精霊達。
なんということでしょう……
私はどうやったのかを聞いてみたが「リンにサポートしてもらいながら、俺専用の魔法でやった」としか教えてもらえなかった。
何はともあれ、危機は去りました。ここは素直に感謝するべきでしょう。それに、怒鳴ってしまったことも謝らなくては。
そう思った私はタクヤさんに怒鳴ったことについて謝り、集まってくれた精霊達に声をかけた。
「今日は稽古をしません。代わりに、折れた木々の修復などをしましょう。終わったら宴です!」
その言葉を聞いた精霊達は喜んで自分にできることを探しに散っていった。
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かくかくしかじかあって、俺とリンは道場にいる。
ステータス見ないとな。
俺はドレインで吸収した後から、体に熱を感じている。
この感覚は神を吸収したときと似ているから、期待が高まった。
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タクヤ16歳レベル458
固有魔法:植物
筋力 21350
抗力 18340
体力 20840
瞬発 24090
魔力 28610
スキル:集中Ⅶ・魔力感知・魔力操作・多重魔法・特殊植物化・養分制御・魔力吸収・投擲・早業・高速移動・精密動作・魔力放出・生命感知・鑑定Ⅶ・感知範囲強化Ⅸ・イメージ強化Ⅹ・炎耐性・召喚Ⅴ・神の加護Ⅳ・空間指定Ⅰ・座標固定・リミッター解除・威圧Ⅳ・部位硬質化・生命の息吹き
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とんでもないことになってました。
心なしか神を吸収したときよりステータスが強化されているように思える。
「タクヤどう?」
顔をのぞかせるリンにも見せてあげると驚いた表情になったあと、私も自分のステータスを見たいと言い出すから、見てみることにする。
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リン17歳レベル240
デーモン種
筋力 16890
抗力 20410
体力 19240
瞬発 21600
魔力 40090
スキル:魔法耐性Ⅴ・高性能魔力感知・自動回復Ⅳ・目覚め・魔力調整・応用魔法・多重魔法・第三の目・早業・魔力解放Ⅱ
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出会って間もない頃に一度だけ見たことがあったが……一か月でここまで成長するものなのか。
出会ったころなら卒倒していたな。
今の俺のステータスからすると。あまり差を感じないから大した感想は出てこない。
リンは嬉しそうに声を上げ喜んでいる。
そんなリンを尻目に気になるスキルを鑑定していく。
まずは俺からだ。
『鑑定』
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部位硬質化:体の一部を硬質化させる。強度は黒竜の鱗程度
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生命の息吹き:植物に新たな命を吹き込む
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あまり使えそうにないな……
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目覚め:常時発動型の魔王血統にのみ与えられるスキル。使用可能な魔法の域を広げる。
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使用可能な魔法の域ってなんぞや。
今まで雷とか水とかの魔法を見てきたけど、今度は炎とか使えるようになったのか?
俺はいまだに喜んでいるリンに今使えそうな魔法を教えてもらった。
「私が今使えそうなのは……」
雷、光、闇、水、炎、土、重力、空間の八っつだそうだ。増えたのは重力と空間らしい。
リンはどんどん化け物じみていく。
そんなことを考えているとリンから声がかかった。
「これだけ強くなったら、もうここにいる必要ない……」
それもそうだな……
確かなことを言われて、考えてしまう。
「ま、まあ。朝まで寝ようか」
「ん……」
一か月間のの約束がった……これからについては明日でいいや。
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う、うるさい……
俺は騒がしい音で目を覚ました。
「あ、タクヤおはよう」
「ん、んあ」
俺は目をこすりながら起き上がる。
そして騒がしさの原因を探し辺りを見渡すと。
「え!?」
精霊達が踊っていた。
その踊りに規則性は魅入られないし誰一人とて同じ動きをしていない。
まさにテキトウ。
「り、りんこれは一体……」
「えーと、私が目を覚ましたときにはこうなってた」
「そうかい」
場の雰囲気に置き去りにされている俺とリンはプウを探す。
あ、あそこに。
早くもプウを見つけることができた俺は近寄り話かける。
何か顔が赤いな……
「今なんの時間だ?」
俺にそう質問されたプウは首をかしげる。
「宴ですけど」
うわ、酒臭い。
「う、宴? なぜ?」
「黒竜を殺し、村の平和は保たれたのですよ! これはもう思い切って騒がないと」
おいおい、朝っぱらから飲んでんじゃないよ。
なんちゅう種族だ。
「さあさあタクヤさんも飲んで飲んで」
「いや俺まだ未成年だし」
「いいからいいから」
しつこく酒を勧められた俺は飲むふりだけしてリンの元へ避難した。
「今やってるのは宴だそうだ」
「た、タクヤ大丈夫?」
「だ、大丈夫だ」
ん? ここは日本じゃないから未成年とか考えなくていいんじゃないか?
いかんいかん、飲んではだめだ。
「タクヤ、二人っきりで話がしたい。外に……」
日本の法律について考えているとリンからのお誘いが入り俺はついていった。
「タクヤ、昨日話したことなんだけど……」
「ああ、その話ね」
「一か月ここにいても意味ないと思うの」
それで? とリンの言葉を待つ。
「だから……ドラゴンを殲滅しに行きましょ?」
……はい、でました。リンちゃんのぶっ飛び意見。
取り敢えず、否定するまえに。ドラゴンをどうやって探すのかを聞いてみる。
「私の高性能魔力感知が教えてくれる。今も感じるよ、ここから遠くにドラゴンがいることを」
ただでさえ感知を阻害されているこの場所でも、遠くの魔力を感知することができるそのスキルは……いや、魔族補正がかかっているからか。
リンはどお? と首を傾けた。
そ、それは反則だって。それされたら、おじさん何でも言うこと聞いちゃいますよぉ
「わ、わかった」
こうして俺とリンはドラゴンの殲滅に乗り出した。




