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17話 相談

「イスカル様! た、大変です! に、人間が現れました!」


 騒ぎ立てる部下を横目に魔力サーチを使い人間がいるのかを確かめるが


 なんだ? 人間程度の魔力を持つ者などおらんではないか……ん? この圧倒的な魔力量を持つ二人は何者だ? これほどの魔力を持った者など魔王様の親衛隊くらいしか思いつかんが、ここにそんな大層な方が来られるはずがない……


 イスカルは思考を張り巡らせる。

 人間などいないのに人間がでたと騒ぐ部下。何かがおかしいと。何かが間違っていると、そして一つの答えにたどり着いたとき、扉は開かれた。


「し、失礼します! 私は三木タクヤと申します! イスカル様に話があって参りました!」






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 噂が広まるのはものすごく早いそれも、よく思ってないことに関しての噂はとくに。

 俺は身を隠しながらイスカルの元へ行く予定だったが、なんと突然の突風にフードが取れてしまい正体がばれてしまった。

 それからは殺気のこもった視線を受けながらの移動だった。幸いにもリンがいたおかげで殺気の中に奇異の視線も混ざったことで、いきなり攻撃されることは一度もなかった。

 そしてやっとの思いで目的地の着いた頃にはもうくたくただ。


 建物の中はやたらと騒がしい……きっと俺達のことで騒いでるんだろう。人間の僕で申し訳ない……仕事とかいろいろあっただろうに。


 よし! 気を引き締めろ俺、第一印象が大事だ。俺は知識をもらう立場だ、元気よくいこう。


「リン、入るぞ」

「うん」


 リンは返事をしながら扉を開いた。


「し、失礼します! 私は三木タクヤと申します! イスカル様に話があって参りました!」


 完璧だ! ちょっと緊張したが。上手くいったはずだ。


 そう思った俺は中を見渡す。

 中にいる魔族は皆は呆けた表情を作っているなか一人だけ真顔の魔族がいた。

 数秒後その魔族は中にいる者すべてに大声で指示をだしながら刀を取り出し構えた。


「お前たちは下がれ! 重要書類のみを集め避難しろ! 急げ! 私が時間を稼ぐ!」

「「「はい!」」」


 涙を流す者、時折支持者に御武運をなどと言う者、様々な魔族がいて、入った時よりも慌ただしくなった。


「あ、あのー」

「ちっ、ここで魔法を使えば部下が巻き添えになってしまう……ここまで計算済みとわ……」

「もしもーし」

「お前たちは避難しながら勇敢なる兵を集めよ! この者は危険だ!」

「ちょ、ちょっとー聞いてるー?」

「こ、これほどの相手……私の力で三十秒持つのか?」


 あーちょっと、ここまで無視されると流石にイライラしてきた。魔法でもぶっぱなして黙らせるか?


 イライラに支配される中いきなり建物の中に光が爆ぜた。


「ちょっと聞いてるの? 私達は話があってここに来たの。あなたでしょ? イスカルってのは、話を聞いてちょうだい」


 犯人はリンだった、まあそのおかげで静まり返ってくれた。


「あなたがイスカル様ですか……どうか手に持たれている武器を収めください。私達はお話がしたいだけなのです」


 俺とリンはそう言いながら近くにある椅子に座った。

 イスカルも我に返ったのか周りを見渡し近くにあった飲み物を一杯飲み俺達の近くにある椅子に座った。


「先ほどは見苦しいところをお見せしてしまい。申し訳ない……」


 な、何故敬語!?

 いやいや、おかしいだろ。人間は魔族より弱いから敬語を使うのはおかしいって。

 それともなんだ? 俺の動揺を誘っているのか?


 意外な対応に戸惑っているとリンが話を進めた。


「初めまして、イスカル様……私はデーモン種のリン、そして隣にいるのは人間族のタクヤ。本日はイスカル様とお話をするためだけに参りました、魔力を行使するつもりなど一切ありません……」


 いやー流石に無理があるだろ、さっき魔法で黙らせたじゃん


「そ、そうか……うむ」


 え!? まじで?


「その前に質問させてくれないか?」

「信用のためならなんなりと」


 イスカルの質問にリンは答える。


「君たちは、特にタクヤといったな……その魔力はどうした? 君は人間なのだろう?」

「タクヤは修行して魔力を手に入れた、それだけよ」


 全然納得していなさそうだが構わないみたいだ。


「なぜこの町に来た?」

「その答えを言うために私たちは来たの」


 リンはそう言うと、俺の肘でつついてくる。交代を意味していると思った俺は話だす。


「そのことに関しては俺から言わせてもらう」


 ん? 俺が話出したとたんに雰囲気が変わったな……警戒されてるのか……


「その前に質問だ。数か月前に人間族に救世主と呼ばれる人間が召喚されたこと知っているか?」

「知っているぞ。たしかその者達は強いステータスを持っており我々魔族に対抗できるほどだと聞いている……まさか君はその救世主の一人なのか?」


 お、話が早くて助かるぜ。


「その通り俺は救世主の一人だ」

「ならその強さにも納得がいくが、何故攻撃をしない? 人間は魔族に強い恨みを持っているはずだ」


 それはお互い様だろ。


「俺は人間と魔族の争いなんかに興味ないからな」

「それは信用するに値しない……魔族を殺すために召喚されたという情報があるからだ」

「なるほどな……じゃあ俺が人間に裏切られたと言えば少しは信じてもらえるか?」

「救世主を裏切るなど余計に信用できんな」


 ですよねー当たり前か……ならばこれでどうだ。


「いずれこの町に救世主共が攻めてくる」


 イスカルの眉が動いた。明らかに何か思うところがあるみたいだ。


「ダンブルの功績については知っているな?」

「勿論だ」


 俺はそうかとうなずきながら話だす。


「ダンブルが死んだことで人間が攻めてくることは明白だった、なのに何故今まで攻めて来なかったのか……不思議だよなー」


 まあまあ、そんな不快そうな顔すんなって。


「ダンブルは一人の救世主を殺した。それが原因で人間はこの町にたどり着くことができなくなった」


 分かるな? と目で語る。


「何故、攻めて来なかったのかとうと、戦力が足りなかったからだろうな。残った三人で攻め手と守り手になんて分かれられないからな」


 さあ、考えるんだイスカルそして理解しろ。


「ちょっとまて、一人足りないではないか、元より救世主五人いたはずだ」

「そう、そこだよ。元は五人、一人死んで四人なのに残ったのが三人……不思議だよな」

「ま、まさか……」

「そう、そのまさかだ」

「本当だったのか……裏切られたのか……」

「やっと信じてくれたか」

「ああ……」


 疑ったことに申し訳なさそうなイスカル。それを満足そうな笑みで見つめるリン。


 なんか奇妙ですよリンさん。


 まあいい、疑いが晴れたことでやっと本題にはいれる。

 だが、これから他の魔族の地に赴くたびにこの説明をしないといけないのはしんどいな。

 まあ今はそんなことはどうでもいい。時間がないのだ。


「本題に入るぞ」

「う、うむ」


 あーこいつ忘れてやがたな、さっきまでのは前置きだぞ。


「この町に来た理由なんだが。俺はこの町を守りたいんだ」

「「「ん?」」」


 野次馬共の反応は無視だ。


「もうじき救世主達がこの町を取り戻しに攻撃を仕掛けてくる」

「いや、さっき戦力がそろってないから攻めて来ないと言ったではないか」

「その戦力がそろったんだよ。三人になったら別のチームに加わればいい」


 魔族は基本頭悪いのか? ほんと不安になる


「四人でこの町を滅ぼしにくるんだよ。分かるな?」

「「「たった四人で!?」」」


 周りの奴らがうるさくなりそうだから一言放ち黙らせた。

 そしてイスカルは冷静に返してくる。


「その救世主一人一人の強さはタクヤ殿と同じくらいと考えて――」

「そんなわけ無いじゃん。タクヤが最強よ」


 イスカルがすべてを言う前にリンが口をはさんだ。


「リン、落ち着け」

「ん……」


 俺はいったんリンを落ち着かせ話を戻す。


「まあ救世主の魔力量はおそらくイスカルくらいと思う」


 イシュタルの魔力は俺のサーチで2000くらいと見える。他のに比べれば多い方だ。

 それでも強いのだろう。建物中に動揺が走っている。

 ここまでは計画通りだ……


「まあそれでだ、俺を雇ってくれないか」


 頭の上に? マーク立てないでくれよと思うが仕方ない。説明する。


「俺は救世主共よりも強い力を得た。俺ならこの町を守ってやれる。だから金をくれと言っているんだ」

「それはできない相談だ……」

「何故だ?」

「魔族が人間と協力したとなってはもう生きていけなくなるからだ」


 その言葉を聞いて俺は気付かされた。


 そういうもんだってこのに。



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