11話 強いステータスを手に入れた
静寂を保った教会の中で俺は思考している。
老人は自らを神と称した。神族の一人であるがゆえに世界の真実を知っていると。
老人の話が本当ならば、世界中の人間と魔族は神族にいいように遊ばれていることになる。
人間は平和を求め、魔族は神族への復讐、魔族の標的となるはずの神族は人間を利用し人間と魔族の争いを高みの見物。人間も魔族も互いの正確な目的も知らずに争い合っているのか。
気掛かりなことは聞いてみよう。
「何故神族の一人であるお前がそのことを俺に言う?」
一番気になるのはそこだ、俺の思いつく神族のメリットは俺という真実を知る駒を作りたかったからか?
そんな理由だったとしても俺が行動しなければ何の意味もなさない行為で情報をばらまいているのと変わりない。
わからんな。
「私がおぬしに話した理由は一つ、世界を元の形に戻してほしいから」
余計に訳が分からなくなった。
神族がこの状況を作り出し、その神族がこの世界を元に戻したいと願うのか、神族は高みの見物を堪能しているのではないのか?
「私は神族であるが、あのような神とは違う、あやつらは間違っておる、自らの娯楽のために人間と魔族を争わせるなど、神のやってよい行為ではない。 だから私は思う、その神を殺し平和な元の世界の形に戻すと」
なるほどね、それなら納得いくな。
だがその言いぐさだと俺に神を殺せと言ってるみたいだな。危険を冒せと。
「私は目的のために協力者を募り、おぬしら二十五人の救世主の召喚に成功した。その救世主を人間の住処の五か所に五人ずつ配置し人間の生存率を上げ時間を稼ぎ、いづれ魔族討伐に乗り出しここに訪れる救世主に世界の真相を話し共に世界を救うために行動する、という根端だ。
ここに来るためには強いステータスが必要になるからまだおぬしが一人目だ。だから頼む協力してくれ」
老人は頭を下げ頼みこんできた。
俺は一応確認の意図を込めてリンの方を見る。
「タクヤの好きなようにして」
ならば答えは簡単だ。簡潔に答えてやろう。
その前に聞いとかなきゃならないことがある。
「あなたは死んだと聞いているが、何故生きている?」
「死んだことにしといた方が動きやすいのじゃ」
あーそれだけか……これで謎は解決した、後は一言口にするだけだ。
「わかりました、引受けます」
そう言いうと老人は顔を輝かせ握手を求めてきたからそれに応じる。
俺の手は老人によって固く握られ、涙を浮べながらありがとうと何度も礼を言ってくるが、老人の声がそれ以降続くことはなかった。
『ドレイン』
簡単に詠唱を終えると固く握られた老人の手から魔力と養分を一気に吸い取り、驚愕の表情すらつくらせない一瞬のうちに老人はバタリと地面に倒れて動かなくなる。
そんな一遍した状況の中でリンは老人に近づき。
「タクヤはこれでよかったと思ってる?」
今まで会話にあまり参加していないリンだったが老人の死を確認しながら話してきた。
「俺はリンと共に生きていたいだけなんだ。この世界の人間が死のうととも、魔族が滅ぼうとも俺には関係ないね」
それにあの老人はここにくる救世主すべてに神族と戦う更なる力を与えるだろうしな。そんなことされたら俺とリンは邪魔されるにちがいないからな、ここで死んでもらった方が好都合だ。
「タクヤがそうしたいのならそれでいい」
「……ありがと」
「でも、何でドレインで殺せると思ったの? 実際に効果抜群だったし」
「それは、戦闘で負った傷を回復するには魔力か養分を使わないと回復できないと思ったからさ。それにこの世界で魔力はその個体の生命力に関係してくるらしいからな」
そして相手は生物だ、ドレインが効かないはずがない。
へーっと関心した様子のリンを余所眼に俺は気分的な問題で老人の死体に更に『ドレイン』を行使して白骨化させその骨を粉々に砕く。
「何やってるの?」
「こうでもしとかないと復活してきそうで怖いんだよ」
「そんなわけ」
まさかと笑うリン。一通りの処理を終えた俺は早速転移魔法陣を目指して歩き出そうとしたとき。
「熱い……」
体内に熱を感じる。
そのことをリンに相談すると。リンは「ステータスプレートで調べられないの?」と返してくるから、ステータスプレートを使い調べることにした。
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タクヤ 16歳 レベル270
固有魔法:植物
筋力 6700
抗力 6350
体力 6870
瞬発 6640
魔力 9870
スキル:集中Ⅳ・魔力感知・魔力操作・多重魔法・特殊植物化・養分制御・魔力吸収・投擲・早業・高速移動・精密動作・生命感知・鑑定Ⅳ・感知範囲強化Ⅴ・イメージ強化Ⅲ・炎耐性・召喚Ⅰ・神の加護Ⅰ
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なんかめっちゃ強くなってるし!
「タクヤどう?」
リンは心配そうに俺のステータスを除いき固まった。
「なんだか俺、強くなっちゃった」
「すごいよタクヤ! たぶん神を殺したからだよドレインでステータスごと吸収したんだよ!」
どのステータスも5000ずつ強化されているしスキルも増えてる。
あの老人から吸収したと考えるのが自然か、魔物以外には初めて使ったわけだし。魔物以外だったら何でも手っ取り早く俺のステータスをアップさせるのに使えるな。
とりあえずスキルを鑑定して何ができるようになったのか確認しないと。
そう思ったら即実行。早速鑑定スキルを発動した。
『鑑定』
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召喚:創造したものを指定した場所に魔力を使い召喚する
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神の加護:消費魔力を減らす
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神の加護だ。召喚を使えば家建てることできるじゃん。
「やったねマイホームゲットだぜ。よし、帰ろう! 転移しよう!」
リンは取り乱した俺をみてきょとんとしているが構うことなく地下室を探す。
「タクヤ……地下こっち……」
「お、おう」
ちょっとはしゃぎすぎました。
まあいい、何はともあれこれで人間の住む場所に帰れるんだ。
リンの誘導に従いながら転移魔法陣を目指し移動する。
歩きながら帰れることに感嘆のため息をついていると、ふと思いついてしまった。
「あれ?」
平和に過ごすだけなら、この森に住みついていた方がよくね?
最悪なことに思いついてしまった、仕方ないからとりあえず立ち止まりリンに相談してみるとリンは目を見開いて驚いていたが少しの時間うつむいて、再び顔を上げ真剣な表情で述べた。
「この森で生活していても、いずれは力をつけた救世主が森にやってきてしまうわ。戦いの火花がこの森に飛んでこないとは言えないわ」
なるほどな……
そこまでは思いつかなかったな、リンは頭がいいな。
となると俺たちはどうするべきかな?
リンと平和に暮らしたいがリンの考えを参考にすると人間と魔族の戦争が邪魔になるな……
「ちっ……結局こうなるのか」
「どうするの? 私はタクヤについていくよ?」
「俺は人間と魔族の戦争を終わらる。そして平和な世界をリンと生きる」
人間も魔族も皆殺しだ。
老人の死んだことで俺にも神を殺せることがわかった。
俺は神だって殺せるんだ。たかが人間と魔族の戦争なんて、俺たち第三陣営の自由気ままな攻撃で両者全滅にして終わらせてしまえばいい。だがあまり戦いたくない。そんな俺に取れる選択肢は。
「俺たちは基本普通に生活し邪魔されたら邪魔した奴らを抹殺するでどう?」
リンはどう思うのかを聞いてみたら少し前を歩いていたリンは振り返り笑顔で答えた。
「そうだね、私たちは誰の味方にもならない私たちがすべて……いいと思うわ」
こうして俺たちの行動の方針が決まった。
俺たちは愛する互いのためならば基本的に世界には不干渉で現れた邪魔者は殺す。
方針が決まったところで転移魔法陣の前にたどり着いた。
「これが転移魔法陣か……」
思ってたのより小さい。
俺はでっかい魔法陣が地面に描かれているものだと思っていたが今目の前にある魔法陣はA4プリントくらいの大きさしかなかった。
「大丈夫そうか?」
ちょっと不安になったのでリンに確認をとってみたが問題ないらしい、魔法陣はこれくらいが普通みたいだ。リンは何気ない様子で教えてくれる。
「魔力を流せば自動的に転移するから。タクヤいい?」
「オーケーだ、では俺が流そう。転移まで三秒前ー三、二、一」
俺とリンの手がつなぎ合わさり。
「俺たちは俺たちのために」
俺はそうつぶやき魔力を流し魔法陣を起動させ転移した。




