表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/4

第1話~私、村を救います~

目を開く。心地よい太陽の暖かさが私を迎える。


「あ、おかーさん!おねーさんがおきたよー!」

横を見ると、可愛い女の子が母親を呼んでいる。可愛い。健気で可愛い。

「あら、大丈夫なの?驚いたわよ、家の前に貴女が倒れてたんだもの……」

奥から可愛い女の子の母親が出てくる。どうやら私は気を失っていたらしい。

「すみません、ありがとうございました」


……んー?ちょっと声が違うなーって、転生したんだった。

さて、どうしようかな?取り合えず、ここがどこか訊いてみよう。


「あのー、此処はどこですか?」

「此処はダイナー村だけど……」

「ダイナー村!?」


ダイナー村。それはあのゲーム……【ブレイブラッド】の村である。

しかも、強制敗北イベントによって魔王軍に滅ぼされてしまう村。


そんな村に、私は居るのだ。

不味い、もし私が勇者だとしたら、この村は……


「……そうだ!」

もし私が勇者なら、システムデバイス……メニュー画面を開く道具があるはずだ。

私が服のポケットを探すと、スマホ型のそれが見つかった。


現状の確認をするためにそれを起動させる。すると、私の想像を超えた現実が待っていた。


「村……人?」


この世界の私の名前らしい“アイ”の横にある職業欄には、確かに【村人】の2文字が入っている。

更に、ステータスはカンスト、レベルは上限の99。スキルは【システムコマンド】の1つだけ。

持ち物は……今装備・・している服と、このデバイス【ファウル】だけだ。

ってか私可愛いな。赤いポニーテールで長身、尚且つ美白っ……!

「ご飯出来ましたよーって何してるんですか?」

ハッ!つい自分の世界に入ってしまった……


「すみません、ご飯までいただいてしまって……」

「気にしないでいいのよ。私は他人の世話をするのが大好きだから」

ご飯なう。美味しいなこのご飯。

そして何よりもっ!!幼女の隣で食べるご飯は最高だっ!



ーでも、この親子はいずれ消えてしまう。運命ものがたりが村ごと消してしまう。

そう思うと、心が苦しくなる。

「……おねーさん」

急に幼女ちゃんが話しかけてきたのでビックリして振り向くと、幼女ちゃんが変顔をしていた。

「……ふふっ」

ダメだ、可愛い!可愛い娘過ぎて笑っちゃう……

「おとーさんがいってたよ、れでぃはわらってたほうがいいって」

驚いた。どうやら顔に出ていたようだ。

「だからね、おとーさんがまおーをやっつけてかえってくるまでわらってくらすことにしたんだ!」

そう言ってニカッと笑う幼女ちゃんを見て、モヤモヤが吹き飛んだ。

ー守ろう。運命ものがたりをぶち壊して、父親の帰りを待つ、この笑顔を。

大丈夫、アイには力がある。全て変えられる、圧倒的な力システムコマンドが。

だから、勇者が来る前に、魔王を倒す。そして、この村を守る。


私は美味しそうにシチューを啜る幼女ちゃんを見ながら、そう決意したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ