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晴れの都市フェニックス

風の都市を出発した3人

旅路はずいぶんと賑やかになった


「――その記録だと【晴れの章】がある都市は【2つ目の太陽を生む】とまで言われてる きっと晴れすぎて暑いんだね 都市はどういう状態だと思う? そもそも大気が温まると――」

「マリョ ちょっとだけ静かにして……」

ミリが苦笑いしながら言う

「えっ ごめん……じゃあ小声で話すね フェニックスの伝説によると――」


小声とかそういう事じゃないんだけど

ミリとアオは2人して苦笑いした

「前は静かだったね」

「うん こんなに情報が無かった」

「でもちょっと……楽しいかも」


マリョが振り返ると笑顔で言う

「この道を進むと【太陽の観測塔】があった場所のはず! 記述の通りにまだあるかな~ワクワクするね!」

マリョは両腕を広げてスキップしながら進んだ

学者は体力無いと思っていたけど

研究対象が近くにあれば無限なのか?


雲の切れ間から陽が差し、3人の影がクッキリし出す

晴れの都市フェニックスは近い


――


丘を越えた瞬間――風が止まった

「……熱い」

ミリが汗を拭きながら吐き捨てるように呟く

視界いっぱいに焦げついた地平線

かつて土だったものは白く乾いてひび割れていた

「ここが……フェニックス」

アオの声は熱気に溶けるように消えていく


建物らしき影は、ほとんど崩れ落ちている

残っているのは、陽炎の中に歪んで立ついくつかの塔

高層建築だったものの骨組みだ

かつてここが都市であったことはわかる


「植物も……ないね」

ミリが周りを見渡す

マリョがフムフムと学者の顔になりながら言う

「ここだけ日差しが異常だ まるでここを狙って太陽を当てているような」

マリョが昔の地図を広げたが無駄だった

目印になるような物は全て太陽に消されている

「ふぅん 何も分からないわね でも太陽の書は確実にこの都市にありそう」

アオは遠くに見える、奇妙な白い構造物を指さした

「……あそこが、1番【陽の中心】っぽいかな」


近づくにつれ

影はほとんどできない

真上からの日差しが痛い


――


かつて都市だった中心部

崩れた石と鉄骨が、影1つ作らず突き刺さる

「……無い」

アオが汗を拭きながら言う

「こっちも」

「もう探す場所無いわよ」

足取りが重い

「日差しのせいで、頭が変になる」

マリョが座り込む つい空を見上げるが光に目を焼かれる

この都市には【光】しかない

真上からの日差しには影さえも少ない


「この異常な日差し……絶対に原因のはずなんだけど」

アオの言葉にも勢いが無くなる

「【晴れ】はあるけど【章】が無い」

ミリがぽつりと呟く


どの都市でも、章は変化の中心に眠っていた

「……もしかして、晴れの章は【誰かに取られた】んじゃないの?」

マリョの言葉に2人は顔を上げる

そんな事を考えた事が無かった

誰かが章を持ち去ったなら、この日差しは名残に過ぎない

「それなら誰が? どこに?」

アオが言うと石板が震え、鞄から勝手に落ちた


石板を拾った

表面が削れた少し違う土質の地面に

「……足跡?」

わずかに残る靴の跡

今よりも強烈な熱に焼かれたように黒く残っている

「ここに、誰かが来ていた 私たちより先に」

マリョがしゃがみこみ、土を指でなぞる

「章を……持ち去った誰かが」


アオはその足跡の先を見つめる

瓦礫の中で不自然に真っ黒な空間がある

地下へと続く鉄製の入口

「こんな所が残ってたなんて……」

地下は暗く、冷たい空気が流れてくる


暗闇の先へ、アオたちは足を踏み入れた

フェニックスの陽光が届かない場所へ――


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