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学者との出会いと休憩

サートの空中に浮かぶ都市を歩く

アオとミリはその風景に圧倒されていた


他の都市に比べて

天気を克服しているから発展した

人も多く住環境も整っている

森から出て来た2人には未来都市のようだ


そんな中でも2人は焦りを感じていた

「風の章どこにあるんだろうな」

アオが呟く

ミリも同じ事を思っていた

「人が多すぎて見つけるの大変そう」


――


歩いていると突然声をかけられた

「あなたたち 見かけない顔ですね」

警戒して振り向く

そこには一人の女性が【きょとん】と立っていた


年齢は若く、冷静で落ち着いている

「君は……?」

アオが警戒心を見せると、女性は微笑みながら答えた

「私はマリョ 学者です あなたたち外部の者でしょう?」

「外部の者って?」

ミリが驚くと、マリョは頷いた

「この都市は閉鎖的で、外部から来る者に警戒している」

住民しか来れない入口だからそうだろう

「でも、あなたたちは風の章を探しに来たんじゃないかしら」

アオとミリは顔を見合わせ驚いた

「どうしてそんなことがわかるんだ?」

アオがミリを後ろへかばいながらジリジリと下がる


「力を持つ者が来る理由は知ってます 私も風の章を探しているのですから」

「君も探しているのか?」

アオが驚いて聞き返す


――「はい 風の章はサートの発展と深く関わりがあります 都市の創設に関わるちからが、今もこの空を浮かせている しかし、風の章は行方不明 私の研究も行き詰まりました あなたたちがそれを探しているなら、手助けできるかもしれません」――


マリョはスラスラと言った

学者というのは本当らしい、話し出すと長い

2人がぽかんとする


マリョが【またやってしまった】という表情で言い直す

「もし風の章を探すなら私も手伝います」

分かりやすい言葉にアオがゆっくりと頷いた

「わかった まずはどうすればいい」

マリョは静かに微笑んだ


「ありがとう まずはサートの古文書をお見せしましょう」

3人で都市の奥へと進む


――


別の島にある図書館へと向かう

浮島同士をつなぐ橋から下に空が見える

雲にまぎれて魚のような物が飛んでるのが気になった

「ねぇ、あれ……魚だよね?」

ミリが目を細めて言った

「うん でも飛んでるしな」

アオが真顔で言う


シアがくすりと笑う

「それ空鰹そらがつおよ 下界では見かけないでしょうね 美味しいのよ」

「あれ捕まえられるの?」

アオが目を輝かせる

「ちょうど良い場所があるわ」

そう言って、マリョは橋の横にある階段を降りて行く


――


都市の羽根の近くはちょうど上昇気流が起きている

風を利用して【上まで来てしまった鰹】を網で捕らえる

橋の横は都市の端っこで漁場になっている


「よし、やってみよう!」

アオとミリは巨大な網を両手に構える

「きた」

風に乗って飛ぶ空鰹

風を読んで網を出す

「うっ……」

何回やっても取れない


「どれ」

見ていたマリョが横からヒョイとすくう

「一発……」

呆然とする2人

「そりゃ 10年は住まないと風は読めないわよ」

マリョが得意げに胸を張る


「自慢したい所だけど……重すぎるから持って」

飛んでる時は軽いけど

網に入れてしまえばデカイだけの魚だ

「仕方ないな~」

笑いながらすっかり警戒心も溶けて3人で運ぶ


――


3人は隣の野外調理スペースに向かう

設備の充実に都市の発展ぶりが分かる

マリョの手際の良さで、すぐ焼き鰹が出来た

皮目がぱちぱちと音を立てる

空気に乗って香ばしい匂いが漂う


「いただきます!」

3人は一口頬張ると、思わず顔を見合わせた

「……これ、めちゃくちゃ美味しい!」

「身がふわふわだね!」

「この時期の戻り鰹は特に美味しいのよ」


――


「空の花は見たことないね 空に住む私達が見てないんだから、他からも見えないと思うわ」

マリョの言葉に少しガッカリする

「でもサートの伝説には、風を読む花【風花かぜはな】が空にあると言われている――1億年前の遺跡によると――」

最初に希望が持てる言葉を聞いた

長い話に途中から満腹で眠くなる


風に吹かれながら、少しずつ陽が傾いていく

束の間の休息

胃も心も満たされ、3人の表情は明るい



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