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10話 風の都市サート

風を操る力によって、大空に浮かぶ船のように舞い上がっていた

風が都市の下を支えている

大きな島が4つ

クジラが群れて空を泳いでいるみたいだ

「すごい……本当に空中に浮いてる」


地面は歩くのがキツイくらいの強風

住む場所の風を弱くするために、サートの住民は風に乗る事にした

それが空に浮かぶ都市の発祥である


都市に近づくと更に風が強くなる

たまにアオとミリの体を押し戻しそうになる

「こんな風の中でどうやって空の都市に行くんだろう」

ミリが不安げに言う

アオは少し考えてから答えた

「きっと、風を利用した仕組みがあるはずだ」

強風により普段の10倍くらいかかり進む

都市の影が近づいてくる


――


やがて街の入口が見えてきた

入口というよりは乗り場か?

ケーブル付きの凧のような物に乗り吹き飛ばされるらしい

ケーブルの先では街の門が口を開けている


しかし

住民しか乗りこなせないという制約にぶつかる

外部と交流が無い都市は

住人たちだけが技術を使って往来しているようだった


「この風では外部の人間は乗れないってわけか」

アオが呟く

ミリは空を見上げるとため息をついた

「でも、入らないと風の章は見つからないだろうし」


2人は顔を見合わせる

アオは、少し迷ったが石板を取り出す

「これで、何とかならないか」

「石板の力で?……雨とか」

ミリがその言葉で気づく


アオは無言で石板の表面を指でなぞる

その瞬間、周囲の空気が一変した

湿った風が吹き始め雨が降る

サートが経験した事が無い【雨】という現象だ


――


都市の羽根に水が付く

広場に水たまりが出来る

空中に浮かぶサートの都市が少しずつ高度を下げ始めた

風も少し弱まっている

「まずい! 弱くなり過ぎると、たぶん飛べなくなる 行こう!」

ミリは少し心配そうだが、アオの決意に頷いた

凧に乗り飛び上がる


その瞬間

街の異常事態により門が閉められそうになる

アオとミリはもう突っ込むしかない

アオは石板に力を込めて叫んだ

「間に合え!!」

雨が強まり都市はさらに高度を下げ傾く

門が歪み閉まりきらない

ギリギリで中に入る


凧降り場に「ガンッ」とぶつけ無理矢理止める

「大丈夫か」

横でひっくり返っているミリを起こして全身を見る

「なんとかね」

すり傷はあるが無事そう

初めて空を飛んだにしては上出来だろう


「何が起きたんだ……?」

門兵達が混乱してる間に、街の中へと小走りに進む

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