防衛ライン
参謀本部はかつてないほど重い空気に包まれていた。敵対国が軍事侵攻の準備を進めているとの情報を入手し、緊急対策を講じなければならなかった。
「ううむ、向こうとの距離はかなりある。敵が攻めてくるまでには、まだ時間があると思いたいが……」
「だが、今入った情報ですら、すでに過去のものだ。悠長に構えている暇などないぞ」
「迎撃システムの強化を進めている。それに加え、こちらからも艦隊を派遣するべきだ」
「いや、戦争に積極的な態度を取れば、国民の反感を買う可能性がある。それに、国内に潜む敵の工作員に付け入る隙を与えるかもしれない。厄介だ」
「ならば、防衛ラインの強化に専念するべきか」
「機雷を設置しよう。敵艦が接近すれば即座に爆発し、連中に大きな損害を与えられるはずだ」
「うむ、景色に溶け込むよう工夫して、奴らの航路上に設置するのだ」
「異議なし」
そして、時は流れ、ついに敵国の大艦隊が防衛ラインに迫ろうとしていた。
その頃、地球の宇宙局では……。
「ちょ、長官!」
「ああ、わかっている。これは各地の天文台で観測されている事実だ。もはや世界に隠しておくことはできまい。大統領に連絡を取り、全世界に向けて発表してもらうしかないだろう」
「ええ、ですが、連中はいったい何の目的で地球に……」
「……わからない」
「ははは……もしかして、ただの素通りで、我々なんて眼中にないなんて可能性……ないですよね……」
「そうであってほしいがな……それにしても、この事実を発表しても信じられないだろうな。惑星ほどの大きさの宇宙船が地球に接近しているなどと……」