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35 はじめの

すみません。

エピソードタイトルと、

細かい箇所の修正、

あと後半の文章を差し替えました。


    *


 かなり間が空いてしまいましたけど、よろしくお願いします。



——冒頭の、

{渡来してきた者という意味をもつ精霊文字が記載}

という部分について。


 元もと伏線でも何でも無くて、なんとなくフレーバーテキストみたいな感じで、雰囲気づくりにキアス文字やルーン文字などで埋めたかっただけなのですが、未だに文字化けしないやり方が分からないし、無理そうなので、またそのまま載せてます。


 考えたら、それだとフレーバーもヘッタクレもないんですよね。



 冷気で顔がこわばる。


 寒くなったなあ。


「んーっ、んはぁ」


 ベッドのなか、縮こまったカラダを伸ばす。


 さあ、心機一転、ほどほどにがんばっていこう。


 年の初めの、この特別感、この『さあ』って感覚が、民族的な慣習からくるのか分からないけれど、一が二、二が三と他の(つき)(また)ぐのと違って、一に戻ってリセットされるというか、また一から始まるってところが、格別に高揚した『さあ』って感じになるんだよねぇ。えっ、ならない? うーむ、なるほど。


 では新年ということで、せっかくだから久しぶりに見ちゃいますか。



出身:カーサ ッチェ共 国、廃村


種族: 霊族、ハ フド ーフ

性型:雌雄型、オス

年齢: 四才

内名〈ないめい〉:{ここには渡来してきた者という意味をもつ精霊文字が記載}

外名〈がいめい〉:ロコ


視能:かなり視 る

聴覚:よ 聴 える

魔力:そこそこ

腕力:なか か

脚力:ま まあ

ピテルの欠片:0.3819660112

総評:並、も 少しが ばりまし う


 なにこれ? 文字が抜けてる、いや、消えてるのか?


 うーん、これはリィヤに聞いてみなければ。



 あとこれ、まさか四才ってことは無いだろうからね、元が十三だったし、十四で間違いないかと思うけど。

 どれくらいのペースで、果たして種族的な平均までは成長するのかとか、ちょっと気になる。できればエルフ寄りであってほしいと願うのはバチあたりですかね?


 こっちのヒトってわりと大きめだし、わたしの見た目は少し幼く見えるらしいから、せめて威圧に押し負けないくらいには背が伸びてくれたら嬉しいけど。そろそろ『わたし』で物事考えるのも変えようかと思う。それは勿論、舐められない為にね。


 オレ? いやちょっと、いきなりオレ使いはハードル高くないか? この外見からして無理がある気がする。

 やっぱり初めはソフトにいって、表向きでも使ってるボクでいいや。


 ここのところ、その幼い外見もあって、ちょいちょい絡まれてる。かといって(いか)つい外見になるのもイヤなんだけど、でも舐められるのはもっとイヤだ。


 たぶん、子どもらしくない澄ました様子に、口振りが鼻につくとか、知らず知らずにそういう生意気な感じを振りまいちゃってるのか、素で悪党な輩以外にも、日頃(くすぶ)ってる予備軍なんかも刺激してしまうのかも知れないね。


 そりゃ自覚はあるよ。でも、大人ぶってるんじゃないんだ、実際に中身が大人なんだよ。言えないけども。


 それに、この顔つきにしたって、わた、ボクが望んだものでもない。無惨にも獣に崩された顔は、タリア基準で修復したってオークスから聞いた。

 だから『きれいな顔しやがってクソガキが』なんて言うけど当たり前なんだ。キズのない顔に修復したんだからさ。


 しかし今後、路銀を稼ぐあいだ街に滞在するとして、意気がった輩などが絡んでこないように、いちいち闘気を飛ばして歩くのも面倒。それだけで追い払えない者もいると思うし。


 そうだ、従魔師にも成れたことだし、なんなら四捨五入すれば十五ってことで、なし崩し的に冒険者登録もしちゃったりして、あ、四捨したら十才だわ。あは。


 首尾よく冒険者になれれば、チャッチャと階級上げて箔付けて、世間に周知させる。うん、いいかも。

『あいつが噂の最短で二足級になったロコって野郎か』なんてね、なんてね。


 うわ、そっか! 誕生日! もっと頻繁にステータスオープンしておけばよかった。

 あーあ、でもまあ、過ぎちゃったものは仕方ないや。誕生日については来年までおあずけって事で。


 はじめは頻繁に見てたんだけど、あまりにも代わり映えがしなくって。たしか、十二の月に入ってから見るの止めたんだから。なら、今日までのあいだってことか。


 にしても、ピテルの欠片ってなんだろう。最後に見たときは無かったけど……。


「ん?」


脚力:ま まあ

ピテルの欠片:0.3819660112

総評:並、も 少しが ばりまし う


 ————————3819660109

 ——————————19660107

 ——————————————0106


 なんか末尾が少しずつ減ってる。


『……こわっ』


 ——————0108

 ——————0111

 ——————0110

 ——————0112


 いや増えて、る? どっち?


 なんだか増えたり減ったりして不安定だな。


 桁から見て直ぐにどうこうって感じではなさそうだけど、やっぱりあとで聞いてみるほうがよさそうだなと、そばで寝ているリィヤを見る。


『あけましておめでとう』


 気持ち良さそうに寝息を立てるリィヤたちに向けて小声でつぶやく。

 カーサレッチェでは、年明けってどんな挨拶をするんだろうなんて、他愛もないこと考えながら一人と一匹を眺める。

 ふと自分を見れば、領地を侵略されてしまい、今にもベッドの端から落ちそうになっていることに気づく。


 これ、宿の主人に怒られるやつだわ。ラズリを部屋に入れてもいいけど、ベッドには上がらせないでくれって言われてたんだった。はぁ、仕方ない、シーツ代払って謝っておこう。と、狭いベッドから静かに抜け出る。


「あひゃ」……つ、冷たい。


 思わずヘンテコなポーズしちゃった。


 もうさぁ、こっちは起き抜けに靴履く習慣なんてないんだから、床暖房ぐらい開発しといてほしいね。


 あ、でも床暖とか言っといてなんだけど、決して嫌いではないよ、この感じもさ。こういう早朝の冷えた空気が肌に刺さる感じっていうの? それもまた心地よくて結構好きな感覚なんだよね。けど、ログハウスを床暖房に改築するってのもいいな、考えとこう。


『キッ、ガタガタ』


 蝶番のこすれる音を鳴らせた窓を開けてみると、お正月の風物詩である、お琴や篠笛(しのぶえ)の音色がどこからともなく聞こえてきて、などということもなく、昨晩の喧騒が嘘のように、街頭は閑静な佇まいを見せていた。


 (もや)が街を覆い、まだ冬の空は薄暗く、しかしそろそろ下働きの者たちの起きだす時刻は近づき、じきに生活音が聞こえてくるはずだ。

 そうして夜ふかしをした連中も起きる頃には、きのう広場から流れていた、フィドルで演奏するような小気味のよい、賑やかな調子も聞こえてくるに違いない。


 その様子はおそらく、ここから眺める街の景色にあてはまる、まさに異国の風情と言えるだろう。

 まあ、この場合は異世界情緒と言い直した方がいいのかも知れないけども。


 景色だけなら西欧の片田舎といった感じなので、異世界と呼ぶには程遠いように思う。

 なぜなら魔法とか、魔獣とか、そういうものに触れなければ、別世界に居るなんて思えないくらい、ある意味平凡な街並みだから。



 きのうの夜、年末の残りわずかになった秒数をみんなで声を合わせて叫ぶイベント、いわゆる年明けカウントダウンに参加しなかった。というか出来なかった。

 朝起きたらベッドの上だったから、きっとリィヤが風を使って運んでくれたのだと思う。


 通常、風を使った魔法は、特殊な視覚を持った種族を除いて、操作する者も、おそらく目で捉える事はできない。

 そういった理由から、火や土とは違い、視認できないものはイメージしづらく、まだ上手く使えてない。

 だから、そんな遠隔魔法を使えるリィヤが、ときどき羨ましくなる……って、ああ、火は、また別の理由で苦手だった。ドワーフなのに、なぜか相性最悪なんだ。


 反対に物理での、主に狩猟は、自分で言うのも照れるけど、かなり得意だと思う。

 素地のおかげもあって、考えるより先にカラダが動いてくれるからだ。

 勿論、ケパレトの教えが良いということもある。クロスタータの森での戦いぶりを客観的に考えても、能力は高いと自負できる。


 うん、素地が良い。その一言に尽きる。それだけに、素材を活かしきれない自分が、不甲斐ないとも感じる。


 せっかく魔法が使える世界に居るというのに、そっち方面がいまいちパッとしないのが残念でならない。

 頭の隅に、どこか魔法を合理的に理解した上で使おうなんていう節があって、余計に上手くいかないのかもと思ってしまう。


 オークスが、収納を使えるようにしてくれた時にも『経験による常識感覚が邪魔をしている』と指摘されたことを思い出す。


 身体能力は、まあまあチートで、特に反射的な部分の制御はカラダにお任せしちゃっている。が、魔法に関しては、こっちの世界の理との認識にズレがあって噛み合わないって感じがする。


 自分の気質が原因だとは思うけど、根本的にああいう不可思議なものの捉え方が、こっちの方と違うみたいで、どうにも願った事象が起こせないときがある。もしくは非常に遅くて手間取る。


 ボクの扱える風は、大雑把に言うと気圧の差異で起こすタイプの、なんちゃって風魔法で規模も小さくて、あははは、おいおい、それ自分で言ってて悲しくならないか。


 うーむ、魔法に夢見過ぎですか? いや、そんなはずはない。だってさ、あの魔法だからね? 誰もが名前を言えないくらい恐れる、鼻のもげた魔法界最強のハゲが率いた魔法使い集団。それを、たかが数年、専門学校に通っただけの子どもの魔法使いたちが打ち破ったりしちゃう冒険活劇に出てきた、あの魔法なんだぞー。

 え? ディスってないぞ。全巻購入して読破したくらいにはファンだぞ。



 そうは言ってもね、こっちに来てから実際のところ、語れるほど魔法使いに出会えてないのよ、いまさらだけど。

 魔法がどんな仕組みで作動してるかなんて説明受けたところで難解だし、魔素の操作だなんて言われても、ほんとは、ちっともピンときてやしない。

 精霊の力を借りろとも言うけど、じゃあその精霊とやらは何処にいらっしゃるんだ。いつも声しか聞こえないし、見えないっての。もうね、愚痴っちゃうよ。


 龍形態のケパレトは、規格が違いすぎて参考にならなかったし、そのうえ爺さんで居ることのほうが多くて、基本は体術でしょ。

 リィヤは無詠唱の、しかも発動が自然過ぎる魔法だから超能力っぽくて、これも別もの。そういう意味では、まわりで参考にできる存在がいなかった。

 うん、考えてみれば、ほんと語れるほど見てないね。もっと身近になれば違うかな。


 そうだなあ、鼻でもほじりながら、それがどうした? って感じで、魔法なんて珍しくもないよ、そんなもん見たって驚かないよってくらいに慣れないとね。


 そこらぢゅう日常的にあるものなんだと認識変えて頭に染み込ませようか。そうだね、飽きるほど見ることで自分を洗脳しよう。つまりは慣れだ慣れ、慣れまくるのだ。


 それなら、魔法使い探して弟子入りするのも有りか。あれ? ちょい待ち。わざわざノルヴィレジまで何しに来たんだって話だよね。

 目的を忘れるところでした。まずは先にやるべき事があるのだ。一旦落ち着こう。



 これリィヤの前では未練たらしいから言わないけどさ、たまにね、亜空間収納みたいに強制インストールをしてもらえたらなって、あれなら間違いなく魔法使いになれるかなって、ちょっとだけ思っちゃうわけですよ。ほんと、ちょこっとだよ、ちょこーっとね。


 思うんだけど、もっと純真な心で素直に考えたほうが良いのかも知れないね。ひねくれてるとか、そういうのじゃなくてね、自分で縛っちゃってるんだなガチガチにね。もっと自由になろうって話。


 まあね、結局少しずつ練習するしかないのは分かってるんだ。物語りみたいに、トントン拍子でうまい事いくわけないんだからさ。

 特別な宮廷なんちゃらに成りたいわけじゃないんだけども、やっぱり魔法使いって憧れるよね。


 今後のこともあるし、ちょっと真剣に魔法のこと考えなおそうか。


『魔法使いのような魔法』


 これを当座の目標に、いやあ、重いなあ、はじめから大き過ぎると苦になりそうだなあ。


 もうちょい軽い見習いっぽい感じにしとこうか。


 肉の前に一回、野菜たべようみたいなね。


 日和った言わないで。


 身の丈です。


『魔法使いの弟子が使う魔法』


 うん、いいね、軽くていい、これでいこう。


「よし! 年初の所信表明、終わり」っと。



元旦にしたらよかったけど、投稿しちゃいました。

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