0 エピソード 0
第1話の作りが
全体的な作りの雰囲気なのだろうと
その後の話を読み進められた方が
『これ思ってたのと違う』と
なんとなく騙してしまう事になるのではと思い
そんな事にならないようにと考えて
エピソードゼロを追加しました。
要らなかったでしょうかね?
「あぁもう疲れたー、休みたーい。
これじゃ、わたしが担当みたいじゃないのよぉ。
『管理者が飛んだ、すぐ他の者探すから、その間だけ、ほんの五千年くらいだから』なんて言うから引き受けたのに、もう五万年よ。
早く後任見つけてよね。そもそもわたし、事務方なのに!」
〔〔歪みを検知しました〕〕
「やだもう、またなの? 帝国ったら、少しくらい間を空けなさいよー」
〔〔検出場所はテラ・アウレリアの城内ですから、帝国によるものという見解には同意致しかねます〕〕
「どこの誰がぁとか、そんなの正直どうでもいいんだけどぉ。
ほら、なんだったかしら、帝国が掲げてるのって世界統一?」
〔〔西方諸国統一でしょうか?〕〕
「そうそうそれ、まぁどこかの誰かさんの夢想なんて、正直わたしはどうだっていいんだけどね。
けど、周りも巻き込んじゃって、こうして問題ばかり起こすでしょ。
無理にあっちの空間に干渉した歪みやら、こっちの空間に穴開けちゃったぁとか、結局誰かが修復しに行かなきゃならないわけじゃない。
つまり、わたしが忙しくなるのよーぅ、わーん」
〔〔……では、付け加えて報告いたします〕〕
「聞きたくないけど?」
〔〔事故が起きた状況から、召喚の際におそらく時空間に類する等価交換にて質量の問題があったものと推測されます。
それにより、術も未完にて中断しています〕〕
「うわーん、ここに魔王がいるよー、聞きたくないって言ったでしょー」
〔〔ご存知のとおり、器のない状態に置かれた核は、長く形を保てず霧散するものですが、それは未だに漂いながら留まり続け、消滅する気配は見受けられません〕〕
「特異な性質の核なのかな?」
〔〔今のところ原因は不明ですが、核の性質に特段すべき点は無いようですね。
強いて言えば、多少頑丈である。といった表現が合うでしょうか。
これについては現在も調査中ですので、進展があれば後ほど報告をいたします。
いずれにしても、このままですと次の歪みの誘因となる可能性も〕〕
「ほらほらぁ、あっ、わたし、これが済んだら絶対休むからね。代わりの、手配してよね。
そういえばアウレリアって、あの子の名前ディアンヌだったかしら、あの子も確か転生者だったわねぇ、今頃どうしてるかしら」
〔〔その者、というのは、齢十八にて前世の記憶に覚醒し、卓越した内政知識をもって十年ほどの歳月をかけ、同志と共に国を興した、あの初代皇帝であるディアナ・アウレリウスの事でしょうか〕〕
「なんだか説明が過ぎるけど、でもそうね、そんな名前だったと思うわ」
〔〔申し上げなくても分かっておいでかと思いますが、あの者たちは既に存命して居りません。
あなたがあの地に出向いてから、およそ四百年以上は経っています。
君主としては現在十九代目まで継がれています〕〕
「やだ、もちろん分かってるわよぉ。
わたしとあなたの記憶に齟齬がないか確認したのよ、ふむふむ大丈夫そうね、うんうん」
〔〔機構母体のウーヌス、ドゥオ、トレースも、史実の正否に問題は無いと判断しました〕〕
「や、やーねぇもう、そんなこと報告しないでよ……、えーと、そろそろ啓示でも与えようかしら?」
〔〔二国間の衝突による惑星への影響は、最小限の予測値を示しています。
よって、過度に干渉する行ないは、おすすめいたしません〕〕
「暇なのよぉ」
〔〔先ほど忙しいと……いえ、何でもありません。
我々惑星健康増進及び改善維持機構では、帝国と友好的な関係を結んでいない周辺諸国のうち、こうした行動を起こす可能性のある国々の状勢を十分精査した上で、対応方針を決定しています。
ただ、現時点で当機関から、これといった明確な指示は下っておりませんので、様子見で良いと受け取ります〕〕
「そうね、わかったわ。
それはそうと、ちょっとあなた、うちは、いつのまにその何とか機構なんて名前に変わったのよぉ、わたし聞いてないんだけど?
また勝手にそんな名前付けて広めたりしてると、叱られちゃうんだからね」
まぁいいわ、要するに、注視はするけど当面は放っておくということね。
「あとぉ、何度も言うようだけど、わたし、その話し方あまり好きじゃないの。
すごーく事務的だし、堅苦しいわ。
お願いよ、いつものやつに戻してくれないかしら?
ここの職場って娯楽も潤いもないんだから、せめて、楽しんで働きたいのよねぇ」
〔〔####、承知イタシマシタ、善処シマス……〕〕
「まあね、放置するとは言っても、一応監視体制に抜かりは無いし、大規模魔法の中でも自滅しちゃう系の表裏一体善悪紙一重的な超弩級のやつは今までも未然に阻止できてるし、開発自体もさせてないはずだから大丈夫だと思うけど。
あの辺境惑星みたいにウッカリ見逃して、科学兵器で惑星自壊なんて事になれば、使えない頂点主種族どもを交代させろって話も出るだろうし、最悪巻き戻さなきゃならなくなれば、すべての次元宇宙から苦情が殺到よ。
わたしの評価にも関わるんだから、もし兆候の欠片でも見つけたら即刻報告入れてね、いいわね、絶対よ」
〔〔ところで、地精龍に会いに行くのではなかったのですか?〕〕
「あはは、怒りすぎちゃって、すっかり忘れてたわぁ。
そうなのよ、地脈も活性化して安定したみたいだし、頃合い的にも、そろそろ転勤するでしょう、その前にね」
〔〔彼らは昇華と呼んでいますが〕〕
「やーねぇ、格好つけちゃって、転勤は転勤よねぇ。
彼、わたしと違って、お友だちが少ないみたいだから、会いに行ってあげないとね」
〔〔……ソウデスネ。では、予定に入れます〕〕
* * *
とある惑星の、とある国。
その地方都市に於いて唯一と言って良い、ありふれた量産型の駅ビル。その周りを取り囲むように乱立する、これまたよく見かける中規模のオフィスビル群。
そのうちの一つに構える、とある会社の一室にて——。
「……さん、……ろ子さん、聞いてます?」
「あ、ごめん、聞いてなかった、ちょっと寝不足で」
「もう仕様がないなー、どうせ昨日は遅くまで、推しの生配信見て拝んでたのぉテヘペロ、とか言うんでしょ?」
「や、やだなー、そんなことないぞー」
「目が泳いでますよ、まーいいけど。
それより明日、誕生日でしょ? きょう夜、いつものメンバーで、お祝いしますよ。どこが良いです?」
「ごちそうしてくれるの!」
「もちのろんでっせ、オヤビン」
「だれがオヤビンか、うぇーい、やったー」
「ハイハイそこの人、騒がない騒がない。
あ、休憩終わっちゃう、もうじゃあ、いつもの〝鳥家族〟で良いですかね?」
「良いよー、おっけー、まるー」
「じゃ、七時に予約入れときますね、夜にまた」
「はーい、ごちそっ、ほい、ごちそっ、あそぉれ、ごちそっ」
「あ、そうだ、マスターに言ってケーキもお願いしとくんで、お昼も食べ過ぎちゃダメですからね〜」
「それは、内緒がよかったぞー」
目を瞑ると眠ってしまう奇病にかかってしまいました。
根治は難しいけど書き続けたいと思います。