耳元のささやき、真実はまどろみに溶ける 2
「本当によく寝られる方ですね」
「平和でいいじゃないか」
すっかり寝落ちした彩那にハインリヒがあきれた声を出す。ブランケットに包まれ、すーすー寝息を立てる姿はじつに幸せそうである。
「んー……」
何やら寝言を言っている。ミハイルは自分の肩にもたれかかって眠る彩那に笑みをこぼした。
「くれぐれも深入りはなさらないでくださいと申し上げて」
「しっ。彼女が起きてしまうよ」
口元に指を当てミハイルはハインリヒの言葉をさえぎる。
「彼女たちの行為が不快だっただけさ」
ミハイルは冷たく言い放つ。書斎でゴットフリートからの報告を聞いている最中、廊下の監視カメラに彩那が映った。
どこかへ行こうとして迷子になったらしい。最初は微笑ましく見ていたのだが。すれちがったナディヤとニーナが彩那を無視している様子に部屋を飛び出していた。仮にも王族の婚約者。そうでなくとも客人に変わりはない。
「ヤンですが、先ほどダミアン様が身元引受に参りました」
直接の雇用主ではなくとも王族の権威は強い。ゴットフリートも粘ったが「これは任意だろう。いつまでも大事な護衛官を束縛しては警備にも支障をきたす」と押し切られたようだ。
「不確定要素をひとつ潰せたけれど」
「本当にその目的が中心でしたか?」
じろりとハインリヒが視線を向けてくる。
「ちょうど雲海が出そうだったし。僕を見張っているなら、きっとついてくるだろうと思ってね」
あっけらかんと言うミハイルに、ハインリヒ疑り深い目をした。
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