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偽りのアムネシア~王子様とOL~  作者: 幸村 侑樹
【第2章】
98/115

耳元のささやき、真実はまどろみに溶ける 2


「本当によく寝られる方ですね」


「平和でいいじゃないか」


 すっかり寝落ちした彩那にハインリヒがあきれた声を出す。ブランケットに包まれ、すーすー寝息を立てる姿はじつに幸せそうである。


「んー……」


 何やら寝言を言っている。ミハイルは自分の肩にもたれかかって眠る彩那に笑みをこぼした。


「くれぐれも深入りはなさらないでくださいと申し上げて」

「しっ。彼女が起きてしまうよ」


 口元に指を当てミハイルはハインリヒの言葉をさえぎる。


「彼女たちの行為が不快だっただけさ」


 ミハイルは冷たく言い放つ。書斎でゴットフリートからの報告を聞いている最中、廊下の監視カメラに彩那が映った。


 どこかへ行こうとして迷子になったらしい。最初は微笑ましく見ていたのだが。すれちがったナディヤとニーナが彩那を無視している様子に部屋を飛び出していた。仮にも王族の婚約者。そうでなくとも客人に変わりはない。


「ヤンですが、先ほどダミアン様が身元引受に参りました」


 直接の雇用主ではなくとも王族の権威は強い。ゴットフリートも粘ったが「これは任意だろう。いつまでも大事な護衛官を束縛しては警備にも支障をきたす」と押し切られたようだ。


「不確定要素をひとつ潰せたけれど」

「本当にその目的が中心でしたか?」


 じろりとハインリヒが視線を向けてくる。


「ちょうど雲海が出そうだったし。僕を見張っているなら、きっとついてくるだろうと思ってね」


 あっけらかんと言うミハイルに、ハインリヒ疑り深い目をした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回更新も読んでいただけるとうれしいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡


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