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偽りのアムネシア~王子様とOL~  作者: 幸村 侑樹
【第2章】
96/115

迷子 3-②

※一部ルビが表示されないので、()内に日本語訳を入れています。


「The conventions are remembered. I will teach her.(慣習については覚えているので、ボクが彼女に教えますね)」


Yes(かしこまり), sir(ました).」


Please(どうぞ、お仕事) go() back(戻られて) to(くだ) work(さい).」


 ミハイルにうながされ、彼にお辞儀をするとそそくさと去っていった。



***



「ほんとに助かったよ。ありがと、ミーシャぁ」

「役に立ってよかったよ」


 そう言われて彩那は複雑な気持ちになった。

 本来なら自分が言う台詞なのに。図書室に向かいながら、彩那は歯がゆさを嚙みしめた。


「アヤ? 気分でも悪い?」


 肩を落として黙りこむ彩那にミハイルは立ち止まる。


「ううん。これじゃ、子守りだなって」


 彩那はでっかくため息をついた。


「アヤがボクを抱っこするのは難しいよね」


「え? いや、ミーシャじゃなくてわたしが子守りされてるって意味で!」


 一瞬わけがわからないことを言われてとまどったが、彼は自分が子守りをされていると思ったらしい。するとミハイルは「それならだいじょうぶ」と自信ありげに笑う。


「アヤなら抱っこできるよ」

「わっ」


 ひさしぶりの浮遊感。ミハイルにお姫様抱っこをされ、反射的に彼の項に腕を回してしまった。


「三回目だね。おんぶも入れると四回目かな」

「ちょっと、ミーシャおろして」


 通路には他にだれもいないが、抱きかかえられるのはやっぱり照れる。


「だって“子守り”なんでしょ?」

「抱っこしなくてもいいと思うんだけど!」


 彩那の抗議を無視してミハイルはそのまま廊下を歩いていく。


「おろして。自分で歩けるし」

「気負い過ぎだよ、アヤ」

「だってミーシャが記憶を取り戻せるようにしないと」


「まだ時間はたっぷりあるんだし、あせらなくていいよ。アヤが楽しそうにしているほうがボクもリラックスできるし」


 微笑むミハイルに、やっぱり子守りだと彩那は思った。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回更新も読んでいただけるとうれしいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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