迷子 3-②
※一部ルビが表示されないので、()内に日本語訳を入れています。
「The conventions are remembered. I will teach her.(慣習については覚えているので、ボクが彼女に教えますね)」
「Yes, sir.」
「Please go back to work.」
ミハイルにうながされ、彼にお辞儀をするとそそくさと去っていった。
***
「ほんとに助かったよ。ありがと、ミーシャぁ」
「役に立ってよかったよ」
そう言われて彩那は複雑な気持ちになった。
本来なら自分が言う台詞なのに。図書室に向かいながら、彩那は歯がゆさを嚙みしめた。
「アヤ? 気分でも悪い?」
肩を落として黙りこむ彩那にミハイルは立ち止まる。
「ううん。これじゃ、子守りだなって」
彩那はでっかくため息をついた。
「アヤがボクを抱っこするのは難しいよね」
「え? いや、ミーシャじゃなくてわたしが子守りされてるって意味で!」
一瞬わけがわからないことを言われてとまどったが、彼は自分が子守りをされていると思ったらしい。するとミハイルは「それならだいじょうぶ」と自信ありげに笑う。
「アヤなら抱っこできるよ」
「わっ」
ひさしぶりの浮遊感。ミハイルにお姫様抱っこをされ、反射的に彼の項に腕を回してしまった。
「三回目だね。おんぶも入れると四回目かな」
「ちょっと、ミーシャおろして」
通路には他にだれもいないが、抱きかかえられるのはやっぱり照れる。
「だって“子守り”なんでしょ?」
「抱っこしなくてもいいと思うんだけど!」
彩那の抗議を無視してミハイルはそのまま廊下を歩いていく。
「おろして。自分で歩けるし」
「気負い過ぎだよ、アヤ」
「だってミーシャが記憶を取り戻せるようにしないと」
「まだ時間はたっぷりあるんだし、あせらなくていいよ。アヤが楽しそうにしているほうがボクもリラックスできるし」
微笑むミハイルに、やっぱり子守りだと彩那は思った。
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