雲海 3
「そばにいてくれてありがとう。アヤのおかげでいつも居心地がいいから」
まるで空の色と重なって見える花びら。
『思い出を重ねたぶんだけ』
記憶を塗り替えるように、時間の経過とともに色を変えている儚さに、不意に切なさが差しこむ。
もしかして、こうやってすごした時間もなかったことになってしまうのか。期間限定のバイトなのに、何を感傷に浸っているんだろうか。
「アヤ?」
困ったようなミハイルの声に彩那は我に返る。
「ありがとう」
それでも彼からのプレゼントに顔がにやけた。「よろこんでもらえてよかった」ミハイルは笑顔をこぼす。
太陽の光に呼応するかのように彼の髪もさん然と輝く。
「美術の教科書とかのギリシャ神話の絵みたい」
「ここからの景色はきれいだよね」
「景色じゃなくてミーシャが」
「僕が?」
「うん」
ミハイルはきょとんとした表情になった。他に何があるっていうのか。
「それならアヤのほうがきれいだよ。可愛い」
「っ」
その反則でしかない笑顔に彩那は手元のブーケに視線を落とす。
「……なんか、わたしばっかりしてもらってる」
「アヤ、そんなことないよ」
「だって、わたしここにきてからミーシャに助けてもらってばかりだよ。ミーシャと嫌味SPがいないと他の人と会話もできないし」
これではただの愚痴じゃないか。彼は目を丸くしている。なんだか困ったような、悲しそうな顔だ。
——やばい。また心配かけちゃうかも
「あ、あのっ。もっとちゃんとやるから! もともとそういう目的でここに来たんだし、えーと」
うまく言葉が出てこず、彩那は目を泳がせた。
「わたし、ずっとミーシャのそばにいるから!」
思わず叫んでしまい赤面しているとぬくもりに包まれる。
「ごめん。アヤ」
「ミーシャ?」
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