Amnesia-アムネシア- 2
——入ってみたい
試しに扉に触れると、開いた。
そーっと取っ手を引いて中に入ると、バラの香りに包まれた。春のように暖かい室内はまるで秘密の花園だった。
色とりどりの花々に目移りしていると、見覚えのあるはかない色彩をとらえる。吸いよせられるように彩那はそのバラのほうに足を向けた。
薄紫色とも薄茶色ともいえない不思議な色。外側の花びらはほのかな緑色をしている。大使館に飾られていたものと、ティーセットの絵付けのものと似ている。
「アヤ? いる?」
「ミーシャ! こっち」
迷いのない足音が近づいてくる。バラたちの間から現れたミハイルは、まさに少女漫画の王子様だった。「武蔵たちは中庭に戻ってきたから、だいじょうぶだよ」微笑み、彼はとなりにしゃがむ。
「やっぱりご主人様にはかなわないね。ごめん。またよぶんなことだったよね」
彩那は苦笑する。わざわざ探しにきてくれてうれしかったが、結局彼の手をわずらわせてしまった。
「そんなことないよ。武蔵と小次郎を心配してくれたんだよね」
そっとフォローしてくれる言葉に、心がじわりと熱をもつ。きっとこれだって王族としての素養なのだろう。特別な意味なんてないのに。
それでも浮かれてしまう気もちに下唇を噛みしめた。
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