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偽りのアムネシア~王子様とOL~  作者: 幸村 侑樹
【第2章】
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愛犬たちとフライングディスク

「取っておいで!」

 雪合戦にひと区切りがつき、今度は愛犬たちとフライングディスクで遊ぶ。不格好ながらも投げてやると、二頭はうれしそうに走っていく。子供の頃に少しだけ遊んだことはあるが、まっすぐに飛ばすのは結構むずかしい。コントロールが悪すぎて、何度もあさっての方向に飛んでいってしまう。


「手首にスナップを利かせるといいよ」ミハイルにアドバイスをもらうも飛距離が伸びず、すぐに犬たちが追いついてしまう。つぶらな瞳の二匹に退屈そうな顔を向けられ、彩那はたじたじになった。


「あんたもやってみせてよ」

「私の業務の範疇ではありません」

 苦しまぎれに直立不動のハインリヒにふってみるも、あっさり断られる。

「いっしょにやりましょう。ハインツさん」

「……承知いたしました」


 ミハイルの言葉に、ハインリヒは仕方なさそうにディスクを受け取った。武蔵と小次郎にせっつかれ、彼は無言のままディスクを投げた。


 空を切るように、まっすぐに飛んでいくディスク目がけ、二頭は弾丸のように走る。

 やはりコントロールはうまいようだ……しかし、なんだかハインリヒに覇気がないような。彩那が訝っていると、武蔵と小次郎がディスクをくわえて戻ってきた。「早く投げて」とハインリヒに催促するも、彼の口元は引きつっていた。


「——なんですか。私にだって苦手なもののひとつやふたつはあります」

 彩那の視線に気づいたハインリヒは、眉間にしわを寄せ言いはなつ。

「ふーん。あんなに可愛いのに」


 彩那はにやにやと冷やかす。彼は極まりが悪そうに、サングラスのブリッジを指先で、くい、と上げる。

「先ほどは失礼いたしました。まさか、あなたがあんなことで泣かれるとは思いもよらなかったもので」

 お堅いだけかと思ったらそうではないようだ。

「いいって別に。ミーシャがなぐさめてくれたから。わたしも今度からは気をつける。できればテーブルマナーを教えてもらいたいんだけど。高校のマナー教室しか受けたことないから」

「でしたら、ミハイル様にご教示いただけばよろしいかと」

「えっ、いいの?」

 またもや意外すぎる言動に彩那は目を丸くする。

「現時点で、ミハイル様がもっとも信頼されているのは松田さんですし。他者に教授する行為は記憶の整理にも役立つでしょう」

 ハインリヒの意見はもっともだ。実際に人に教えることで、教える側もよく覚えられるというし。彩那は、いそいそとミハイルのもとに駆け寄った。


「ミーシャ。都合のいいときにテーブルマナー教えてもらえるかな?」

「アヤ。ボクのためを思ってくれているのはうれしいけど、無理しなくていいよ。食事は部屋に運んでもらうこともできるから」

「じゃあ、今日の夕飯に教えて!」

 始めるなら早いほうがいい。

「でも、アヤ……」

「だってそれがわたしの役目だもん」

 難色を示すミハイルに彩那は断言する。婚約者のバイトとして来たのだ。

 彼がリラックスできるようにするために。彼が本来の自分に戻れるように。


 ミハイルが気づかわなくてもいいように、自分のことくらい自分でなんとかしなければ。

「わかった。そうしようか」

 やる気満々の彩那にミハイルはあきらめたように笑った。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回更新も読んでいただけるとうれしいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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