王子様と雪合戦
「うわ、真っ白!」
中庭に出ると雪景色が広がる。今朝、窓越しに雪がちらついていたが、ここまで積もっているとは思わなかった。お城の屋根も粉砂糖をふりかけたみたいだ。
「あれって武蔵と小次郎?」
雪の中ではしゃぐ二頭が目に入る。屋外なのに、ノーリードでだいじょうぶなのだろうか。
「あの二頭は、敷地内を自由に行動することが許可されています。出入口は常時施錠され、監視カメラも設置していますから、脱走の恐れはほとんどありません」
彩那の懸念を察してかハインリヒが口を開いた。王族のペットなだけあって、待遇も対策もばっちりなようだ。走り寄ってきた愛犬とともにミハイルも雪原の中に駆けだした。彼はいつも公務の合間にこんなふうに愛犬たちと遊んでいたらしい。石段に腰かけ、映画のワンシーンのような光景をぼーっとながめた。
「わっ」
冷たい塊が肩にぶつかる。ミハイルが雪玉片手に笑っていた。
「やったなぁっ」
彩那も、負けじと雪玉を作り、ミハイルに向かって投げれば、すぐさまお返しの雪玉が飛んできた。
「ちょっ、ミーシャ、コントロールよすぎっ!」
突如開戦した雪合戦に、武蔵と小次郎も興奮して飛びはねている。
「おふたりとも、ほどほどになさってください」
そう呼びかけるハインリヒに、雪玉がヒットする。
「……」
彼は無言で頭についた雪の塊をはらった。投げた犯人はもちろんミハイルだった。便乗して彩那も雪玉を投げつけたが、あっさりよけられてしまった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
次回更新も読んでいただけるとうれしいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡
評価&ブックマーク登録&いいね をポチっとしていただけると、執筆作業の励みになります‼




