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偽りのアムネシア~王子様とOL~  作者: 幸村 侑樹
【第2章】
63/115

雨音の響くベッドで 2

意味深なサブタイトルですが、以下同文←

——いつ、記憶って戻るんだろう?


 確実な治療法がないなんて、暗いトンネルの中を永遠と歩き続けるようなものだ。


 そんなしんどさを抱えたひとを、住む世界がちがいすぎる王子様を、単なる一般人の自分なんかが支えられるのだろうか。考えれば考えるほど、不安が重くのしかかった。

 帰国後もどうなるのか。もしかしたら今の会社を辞める可能性だってある。今回のことは、大使館から説明がなされ、くわしいことは社長と副社長のみに伝えられた。所属部署には、適当な病名で傷病休暇が申請されたようだ。

——もし、使いきっちゃったらどうしよう

 やっと内定したところだったのに。就活に逆戻りすることにも気が重たくなった。アパートの更新もどうなるのか。でも、こんなふうにはなれてみると、あそこ以外でもいいように思えてくる。どうせ戻っても、手柄横取り上司にイライラするだけだ。転職するにしても帰国できればの話だが。

「期間限定だけどよろしくね」

 不安をかき消そうと、彩那はつとめて明るく声を発した。

「こちらこそよろしく。僕の記憶が戻ったらちゃんと帰れるからだいじょうぶだよ」

「ミーシャ?」

 なぜだか確信に満ちた声に彩那は、きり、と胸が痛んだ。


——別に、最初からそういう契約だったじゃん


 感じているものがなんなのか、不確かでよけいに歯がゆくなる。そのカタチの見えないやわらかな存在を噛みしめ、彩那は目を閉じた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回更新も読んでいただけるとうれしいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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